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第百十一の話 恐怖!?少し早めの肝試し! 1

今回は少しジャンルを変えてみました♪


〜アルス視点〜



「は?旧校舎?」


お昼休み、屋上でリュウジさんが作ったお弁当を食べながらリュウジさん達の会話を聞いているボク。今日のおかずは昨日のハンバーグです…とってもおいしい。


「そそ。この学校の裏にある雑木林の中に、ひっそりと佇む旧校舎があるのよ。こないだ見たばっかりだから確かよ。」


カナエさんが口に卵焼きを放り込みながら言った…旧校舎?


「旧校舎ねぇ…そんなん聞いたことなかったんだけどな。」

「私もなんだけど…実際にあったのよ。」

「見間違いじゃないか?第一旧校舎とは限らないし。」


クミさんがサンドイッチを齧りながら言った。


「結構近くで見たから間違いないわ。それにその後図書館で資料を漁った結果、この学校には元々四つの校舎があったっていうのがわかったの。一時学生人口が減少、結果、そのうちの一つの校舎が廃止されたんだって。多分、それがあの旧校舎なんだと思う。」

「そんなら何で今まで取り壊さなかったんだ?」

「う〜ん…そこまではよくわかんなかったなぁ。」


深い事情でもあったんでしょうか?


「…つーか何で近くで見たよお前?」

「何かノリ的に。」


ノリってリュウジさんですかあなた。


「…それで?その旧校舎がどうかしたのか?」

「フフフ、今日はそのことについてお話しようと思ったのよマサピン。」

「誰がマサピンだ。龍二が付けた仇名をお前まで言うな。」


それはそれで可愛いと思いますけど…不服なんでしょうね、本人にしてみれば。


「実はね、あの校舎って一部の人達から噂がたってるんだよね。」

「噂?」

「そ。」


噂…ですか?


「あの校舎、実は大昔の墓場の跡地の上に建設されたんだって。」

「ほほぉ。」


は、墓場…。


「…すまない、初っ端からオチが読めたぞ俺。」

「今はまだ黙ってて雅くん。でね、昔あの校舎では夜な夜な泣き声みたいな音がするとか…。」


な、泣き声…。


「…ヒゥ。」


隣を見てみれば、お弁当にお箸を突っ込んだまま小さく悲鳴を上げて動かない魔王が…。


「で、さらにはどこからか何かが軋む音がするとか…。」

「「「…………。」」」


それを聞いて、すでにお弁当を食べ終えて顔面蒼白になってしまった恭田さんと花鈴さん、そしてボクの肩で震えるフィフィ…。


「他にもあるらしいけど、わかってるのはそれだけ。しかも今まで全然解明されなかったそうよ?」

「ふ〜ん。」


…特に何とも思っていなさそうな感じでお弁当をパクつくリュウジさん…。


「…なぁ、さっきも言ったけど、オチが読めたぞ俺は。」


今食べ終えたマサさんが挙手した…顔はどことなく引き攣っている。


「…もしかして…。」

「フフフ、そうよ。






私達がその謎を解明しに行くのよ!」

『やっぱりですかあああああああああああああい!!??』


見事にボクらの声が重なった。


「つーか何でそういう発想にいたる!?」

「嫌でもいたるわよ。」


へ?


「実はね、生徒会に依頼が来たの。『昨日の夜、部活から帰ろうとしたら雑木林から不気味な声が聞こえてきました。恐くて学校に来るのも嫌になりそうです。お願いします、助けて』だって。」

「……そういうのって生徒会の仕事か?」

「生徒の学生生活を安全で楽しくっていうのがモットーだからね…幽霊騒ぎなんて今までの中では異例だけど。」


…そもそも、依頼っていう時点でおかしいんじゃ…。


「…じゃ生徒会の皆で行けよ。何で俺らなんだよ。」

「いやぁ実はね…皆用事があるっていうから。仲いい人達だと何だか心強いし。」


テヘッと舌を出すカナエさん………絶対生徒会の人達、用事があるっていうの嘘ですね、恐いからですね…何故かそう思ってしまう自分。あながち間違ってないかも…。


「とゆーわけで、お願い!私一人じゃ無理だから!」

【パン!】


音をたてて手を合わせて懇願するカナエさん…いえ、でも…。


「えと…アタシパス。そういうのちょっと…。」

「お、俺も…。」

「あたしもダメ…。」

「勘弁してくれ…。」

「あ、じゃ俺行くわ。」

「ぼ、ボクもダメです…。」

「私も〜…。」

「ま、まぁ私は恐くないけど都合がね。」


満場一致でカナエさんの願いは却下され






って、え?






「…お、お前、今何て?」

「だから、俺行くわって言ったんだっつーの。」


皆が断る中、明らか一人だけ承諾した人がいた。




…当然リュウジさん。




「…正気か?」

「いや、だって夜見たい番組ないし暇だから。」

「そんだけの理由で!?」


いえ確かに見たい番組はなかったですけど〜…。


「エル、お前も行くよな?」

『…ふん、どの道貴様のことだから連れてゆくのだろう?幽霊騒ぎなどバカバカしい。』


…意思を持った剣であるアナタが言うセリフじゃないと思います。


「よかった〜!リュウちゃんがいれば何にも恐くないよ〜!」

「おう、そりゃよかったなとりあえず離れろそして死ねバ香苗。」


一瞬にしてリュウジさんの手に擦り寄って腕にしがみ付く香苗さん。当然叩かれてました。


「じ、じゃあ龍二が行くなら大丈夫よね?」

「あ、そうだな。じゃ俺らはお役ごめんとゆうわけd」

「当然お前らも来いよ?」

『………はぁ!!??』


また皆と声が重なりました。


「な、何であたし達も!?」

「そりゃお前、肝試しは大勢で行った方が楽しいからに決まってる。」

「そんな理由かよ!?」

「リュウジさん…今回ばかりは勘弁してください。」

「私も…。」


ここぞとばかりにボクらも抗議。いやだってこれはさすがにボクらも…。


「…ん〜…そうかぁ…んしゃーないな。」


ホッ…納得してくれたみたいd


「んじゃこうしようか。」


…へ?







〜夜十時 学校正門前〜



「よ、お待たせ。」

「遅いよリュウちゃ〜ん。」


………。


「ありぇ?リリアンとスティルとロウ兄弟も来てたのか。」

「【コクリ】」

「ええ、一応。」

「魔王様が行くとこどこまでも!」

「バカか。」


………。


「…なぁ龍二?」

「?どした久美?」

「…アルス、どうしたんだ?」


………。


「いや、さっきからこの調子でよ。」

「顔色悪いし。」


………。





〜ライター視点〜



はいアルスがちょっとヤバ目なのでここからは俺ことライターの視点とさせていただきます♪




龍二達は一旦、学校の正門前で待ち合わせをしていた。皆それぞれしっかりと装備(懐中電灯とか)を整えている。


ついでにアルスとクルルを覗いた全員はいたって普通の服装。つまり私服。


アルスは前の世界で着ていた白銀の鎧と聖剣を、クルルは漆黒の鎧と同色の剣を装備しておりしっかり戦闘態勢万端。因みにクルルの鎧は元々ブカブカだった為、魔法をかけて縮小したそうな。実に都合のいい話である。


まぁ彼女ら以外にも場違いな装備をしている奴と言えば…リリアンは戦斧を、スティルは杖を携えてる。ロウ兄弟とフィフィは元々武器は持たないため、素手。


龍二も一応、エルを持ってるけど…。


「いやぁにしても夜の学校って何だかワクワクすんなぁ♪」

『貴様は小さな子供か…。』



まったく緊張感の欠片もなかった。



「…何でアンタって人はそう呑気でいられるのよ。」

「花鈴、それがこいつなんだから深く追求はしない方がいい。」


香苗と雅が若干沈んだ感じで言った。同感である。


「ところで、リリアン達も武器持ってるけど…。」

「私は…一応。」

「こういうのは念には念をって言いますし。」


そう言ってリリアンは背中に負った斧を、スティルは右手に持った木の杖を持ち上げて見せた。


前の世界では、何が起こるかわからない場所、ダンジョンなどではかならず武器は携行していたという。


まぁそんなわけなんだけど…少なくともリリアンもスティルも、そういう時にはレベルの高い防具を身に付けていたが、今は付けてません。


ロウ兄弟は元々、防具に頼った戦い方はしません。


「ところでよぉアルスクルル、大丈夫かお前ら?」

「だ、だだだ、大丈夫です!」

「へへへ、へっちゃらぴー!」



…で、勇者と魔王が完全武装と来ましたか。



「…龍二。」

「ん?どしたリリアン。」

「…アルス…実はこういう系苦手」

「うわああああああああああああ!!!違います違いますボクの鎧は悪霊除けの加護がついてますからこれはれっきとしたお守り代わりです!!」

「…別に鎧がどうとか言ってねぇんだけど?」

「!!??あ、あぅぅぅぅ……。」


はいアルス自滅。


「…アルス…前の世界でも…アンデッドが出るって噂があった暗い洞窟の前に怖気づいて腰抜かして」

「リリアンストップううううううううううううう!!!」


…何気にリリアン、遊んでるし。


「ふぅん、お前ホラー系苦手なんか。」

「ち、ちちちちち違いますよ!幽霊とかが恐くて勇者やっていけますか!?」


アルスさん、読者の皆様にはわかんないと思いますけど普段よりものっそ声高なってますよ?


「そ、そんなことありません!!」


…ナレーターに語りかけるなや。


「うぅ…私、暗いとこダメ…。」

「…僕らが住んでる城って一日中暗かったですよね?」

「うん…だから普段、お部屋からあんま出ない。」

「…さいですか。」

「魔王さま!僕がお守りいたします!」

「引っ込んでろバカ。」


クルル達はクルル達で何かコント繰り広げてるし。つーかクルル、お前魔王やろが。魔王が暗闇恐がってどうすんねん。


「…ま、まぁともかく、旧校舎に行きましょ。ここでじっとしてるのも何だし。」

「そうだな、夜が明けちまう。」

「じゃ夜が明けるまでトランプすっか?」

「お前それ本来の目的と全然違うだろ。つか人の話聞いてた?」


最もだ雅よ。第一なんでわざわざここまで来てトランプするのだ龍二。



一応説明しておくと、この学校の裏にある雑木林は、昼間でも鬱蒼と茂っており、暗くて奥まで見えない。生徒はもちろん、教師陣でさえ滅多に近寄らない。近寄ることと言ったら、近くにある焼却炉に燃えるゴミを出しに来る時くらいである。


そんな場所の奥まった所に旧校舎が建ってるのだから、当然誰にも分かるはずがない。唯一知ってる人物は、校長先生か一部の教師陣だけである。それでさえ旧校舎の全貌を知っているのか疑わしいところ。



で、まぁ龍二達は普段通っている、今は明かりの消えた校舎を通り裏へと抜ける道に入り…



雑木林の前まで来た。



「うっわぁ…やっぱ昼間だけでも恐いだけに、夜だとより一層恐くなるわねぇ…。」

「…俺、帰っていい?」

「帰った時点でお前朝無事に起きれると思うな恭田?」

「ごめんなさい。」


…ところで何故、アルス達はあれだけ拒んでいたのに今こうしてここにいるのかと言うと…。




〜回想〜



『そうだな、来なかった奴は全員明日の朝俺のドッキリイベントを開催するというのは』

『絶対行かせてもらいます。』



〜回想終了〜




短い回想…まぁそういうこと。


「…やっぱ龍二のドッキリイベントの方が恐いしな…。」

「?何か言ったか久美?」

「!?い、いや何も。」


すでに経験済みの彼らにとって、龍二のドッキリイベント程恐いものはないらしい。



それにしても、ここの雑木林はホントに真っ暗である。昼間もだが、夜になるとさらに深みが増し、全く向こう側が見えずに漆黒の闇に覆われている。


「…ホントに行くの?」

「行くしか…ないでしょう?」


クルルとアルスはマジで不安な面持ちである。




【ザワザワザワ……】




…少し風が吹き、枝が擦れる音が木々から聞こえてきた。


『……………………………………………。』


一瞬にして固まる一行…。




「お〜い、さっさと行くぞお前ら〜。」

『アンタすごいっすねぇ!!??』




すでに雑木林の中に入って行った龍二に全員がツッコミ入れた。














―――キタヨキタヨ


―――アタラシイオトモダチガキタヨ


―――ハヤクオイデオイデ


―――コンヤハタノシモウヨ




闇はまだ、動かない。


二回続けて長編て……


今回は若干ホラー要素混じってます。前からやってみたかったんです♪


ってなわけで、続きます。

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