第百七の話 レッツゴー渋谷!での出会い1
やっと更新できたです〜…って昨日更新する予定だったのに〜!(泣)
しかも今回は文章微妙な気がする〜!
〜アルス視点〜
「いい天気だねぇ♪」
「晴れてよかったな。」
「何ていうか、暑いくらいね。」
「そうですね。」
天気予報では快晴って言ってましたけど。
…あ、ごめんなさい今何してるか説明してませんでしたよね。
ボクらは今、この町の天分町駅ってところの前の広場に来ています。石畳の広場の真ん中に噴水があって、それを取り囲むようにレンガで出来た色とりどりの花壇が広がっています。それでここは、市民の憩いの場となっているそうです。
…それで今回、ボクらがここにいる理由なんですけど…。
「私、デンシャって初めてだから楽しみ〜♪」
「そんなおもろいもんかね?」
「そりゃアンタにとっては慣れたもんだと思うけどさぁ…。」
そう、今回はデンシャという乗り物でお出かけです。
理由は、こないだマサさんとリュウジさんが電話でいろいろお話してて、その時に皆でラーメンを食べに行こうという約束をしたらしいんです(第百三の話)。行き先はトウキョウ・シブヤってとこらしいです。リュウジさん曰く、トウキョウはこの国の首都らしいです…てことはすごく広いってことですよね…正直楽しみです。
ですから、ボクらは集合場所であるここで皆を待ってるんですけど…そろそろ集合時間かな?
えと、今集合してるのはボク、リュウジさん、魔王、フィフィ、カリンさんです。
「…にしても今日は人多いね。」
「まぁ、休日だかんな。」
…確かに広場には子連れやお年寄りの人が多いです、はい。
「ここにアタシ達がいるの、皆わかる?」
「さぁな。」
何も考えてないでしょリュウジさん…。
「…しゃーねぇなぁ。」
?
「……お前ら早くこっちに来ないと例のあれバラすぞ〜。」
『待てやあああああああああああああ!!!』
速っ!?皆一斉に集まってきた。
「はい全員集まったな。」
「ぜぇ、ぜぇ…な、何を言い出すかテメェは…。」
「さぁ?」
うわぁ、白々しい…とゆーより例のあれって何ですか一体…。
「とゆーより!普通に呼べばよかったのではないか!?」
「おもしろければ何でもよしだ。」
「じゃおもしろくなる代価としてあたし達に生き恥を晒せというのか!?」
「そうなるわな。」
「コローーーーーーーーース!!!」
「久美…落ち着く。」
「勝てないって久美ちゃん…。」
悪魔のような形相でリュウジさんに迫ろうとするクミさんと、それを抑えるリリアンとカナエさん。
「で、これで全員か?」
そして華麗にスルーするリュウジさん…。
「え〜と、龍二いる、アルスいる、クルルいる、フィフィいる、雅いる、スティルいる、久美ちゃんいる、リリアンいる、香苗いる、ロウ兄弟いる、でアタシ…全員ね。」
カリンさんが点呼を取った。
「あれ?美紀ちゃんと美香ちゃんは連れてかないの?」
「二人は今日学校で修学旅行があるからいないわよ。」
「北海道だったっけ?最近の小学校ってのはリッチになったもんだ。」
「お前そのセリフオッサン臭いぞ龍二。」
「そういう雅こそお姉さんいないじゃない。どこよ?」
「姉さんは大学のイベントで急遽来れなくなっちまったんだよ。」
「とても残念そうにしてましたけど…。」
全員来れるってわけじゃなかったんですね。
「ん?リュウジ、エルは連れてないのか?」
「そりゃ剣なんて街中に持ってったら…。」
「持ってるぞ?」
「「マジ!?」」
マサさんとクミさんが揃ってツッコんだ。
「ほれ、ここ。」
『…狭いぞ。』
…リュウジさんが肩に担いでいる黒くて細長いスポーツバッグの中で話すエル。持ち運びには便利だろうけど、本人にしてみたらきついみたいです。
「…何でわざわざ持ってくんだ?」
「いや、一人は寂しいだろぉな〜って。」
『さ、寂しくなどないわ!』
「じゃここで置いていってやろうか?」
『いやそれだけは勘弁…。』
相変わらずです。
「ところで、今日の二人の服は余所行きか?」
「あ、はい。」
「えへへ〜♪リュウくんに買ってもらったんだ〜♪」
えっと、どうでもいい話なんですけど…ボクは白いTシャツの上に水色のパーカーで、膝まであるデニムの短パン、頭には白い帽子。付けてる理由は、この髪が目立つからです。元から目立つのは苦手だから…。
で、魔王が白いワンピースを着て、胸にピンク色のリボン…チャームポイントらしいです。ボクに比べてシンプルだけど、一番目立ちそうだなぁ…ワンピースとかスカート系ってボク苦手なんですけど…。
因みにリュウジさんとフィフィはいつもと同じ服装。フィフィの理由は余所行きの服を買い忘れたことで、リュウジさんに関しては…その…服を一々変えるのはめんどくさいとのこで…。
…まぁ、リュウジさんらしいかな?
「よし、そんじゃ行くかー。」
「ってオイコラ!誰か忘れてねぇか!?」
あれ、キョウタさん…いつの間に…。
「お、いたのか影薄。」
「最初っからおったわ!」
「え!?」
…あ、思わず声が…。
「………グスン。」
「ご、ごめんなさいキョウタさん!えっとその、気が付かなくって…。」
「アルス、それフォローなってないぞ。」
「ドンマイ。」
あぅぅ…何だか罪悪感が…。
「つーかさぁ、こないだのテスト以来全然お前見かけなかったんだがどこ行ってた?」
「………。」
?キョウタさんの顔が曇った。
「…罰のトイレ掃除の時に、こっそり仲間二人に集まってもらって全員で共同作業に移ったんだけど…。」
仲間?
「…一人でやるべきことを三人でやったもんだから、ペナルティとして学校中のトイレ全部を三人で掃除してたんだ…。」
…………。
「で、筋肉痛でしばらく学校休んでたってわけで。」
…あの学校のトイレ、全部ですか…。
「自業自得。」
「言うべき言葉が無いわね。」
「情けない…。」
「アンタら悪魔っすねぇ!?」
「あの…お疲れ様でした。」
「!!あ、アルスちゃん…うおおおおおおおおおおおおおおん!!!!」
キョウタさんがボクの前で泣き出した…せめて誰か慰めてあげましょうよ…。
「じゃとっとと行くぞー。」
『さんせーい。』
「あ、待ってくださいよ!」
「ってやっぱり俺は置いてけぼりですかい…。」
皆が先に行ってしまったので、ボクは慌てて追いかけた。
…キョウタさんはさらにその後をトボトボと追いかけてきた…すいません。
〜電車内〜
………。
「うわぁすごいすごーい!」
「クルル、あんまはしゃぐな。周りに迷惑だ。」
………。
「うっひゃ〜速いわねぇデンシャって。」
「電車にしては普通くらいじゃね?」
「これよりもっと速い電車ならいくらでもあるわよ?」
「ほぇ〜…。」
………。
「?アルス…どうしたの?」
「ううん、ちょっと考え事してるだけ。ごめんリリアン。」
「いや…気分悪くなったら言って。」
「うん、ありがとう。」
リリアンに笑いかけてから、もう一度ボクは窓の外に目を向けた。
デンシャの中の座席は、お互いが向かい合ったような位置取りになっていて、それぞれ四人座れる。とゆーわけで、ボクとリュウジさんが向かい合って、隣にリリアンが座っているという形になったわけなんですけど…さっきまで席の取り合いをしてて(主にカナエさんとクミさんとカリンさんが)、全然収まりそうになかったからリュウジさんが席を指定して事なきを得ました。
…まぁ、『今すぐ黙らないと電車の外に放り出す』って言われたら…静かになりますよね。
「すごいねーアルス。デンシャって。」
「そうですね。」
フィフィがボクの肩から語りかけてきて、ボクは外の後ろへと流れていく木々を見ながら答えた。
…正直言って、ここまですごいなんて思ってなかった。最初駅で見た時も圧巻だったけど、大きな鉄の箱をいくつか繋げながら走ってるのにこの速度の方が驚きだった…リュウジさんからデンシャのことは聞いたことあるけど、頭の中で思い描いていた物とは全然違っていた。もっとゆっくり動くのかと思った。
これがボクらの世界にあったら、わざわざ魔物がうろつく道に出て遠い町に行かなくて済むのになぁ…そうすれば皆安心して出かけられるのに…。
「そういや龍二ってやろうと思えば競歩で電車追い抜かせられるんだっけ?」
「マジで!?」
「まぁな。」
「あっさり認めるな。」
「…じゃ龍二って…デンシャに乗るより、徒歩で行った方が速いんじゃ…。」
「ま、そうだけどさ。そこはノリだノリ。」
「…お前のノリってさっぱりわかんねぇな。」
「気ニシナーイだぜ雅。」
「…はぁ〜。」
…やっぱりデンシャよりもリュウジさんにおんぶしてもらった方が早く着くかな…?
「ふぅ…。」
それにしても…このガタンゴトンっていう揺れ具合が心地いいなぁ…ふぁ〜…眠い…。
「…リュウジさ〜ん。後何分で着くんですかぁ?」
「んあ?あと十五分ちょいしたら乗り換え。」
十五分かぁ………。
「…すいません、ちょっと眠いんで着いたら起こしてもらっても…。」
「おぉいいぞ。」
「ありがとうございます…。」
そういえば昨日魔王が寝返りで蹴ってきたから眠れなかったっけなぁ…。
「あ、リュウくん見て見て!あの家変な形してるー!」
「どれどれ?」
…蹴った本人、メチャクチャ元気だし…。
「…おやすみなさい。」
誰も聞いていないことを知りながら呟いて、ボクは窓に頭を寄せた…。
…窓から伝わる振動…気持ちいい…………………
………スゥ………
【コチョコチョ】
……。
【コチョコチョコチョ】
……ん……。
【コチョコチョコチョコチョ】
……?……。
【コチョコチョコチョコチョコチョ】
……ぅ……。
【コチョコチョコチョコチョコチョコチョ】
……ぅぅ……。
【コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ】
……ぅぅぅぅ……。
【コチョコチョコチョチョコチョコチョコチョコチョコ】
「チョコって何ですかあああああああああああ!!!」
「きゃは☆起きた起きた〜♪」
あぅ〜!耳がくすぐったい〜〜〜〜!
「ぅぅ…魔王何してんですか!?」
「暇つぶしよ〜ん♪」
「暇つぶしに寝てる人の耳くすぐるのやめてよ!」
「だっておもしろいもん。」
「そんな理由で睡眠妨害!?って何で魔王とリリアン席入れ替わってるんですか!?」
「…クルルが遊びたいから…交代してって…。」
「しないで!!」
こんの〜…せっかく気持ちよく寝れると思ったのに〜…!
「ありぇ?怒った?(笑)」
「………。」
ムカッ!
「……あ、魔王何あれ?」
「ほぇ?」
隙あり!!
【パッコーン!】
「うぎゅにゃ!!??」
余所見してる隙に頭に拳骨落としました。昨晩のこともあって威力はかなりあったと思います。その分スッキリしました♪
「うみゃ〜!やったにゃあああああああああ!!!」
「日頃の鬱憤、ここで晴らさせてもらいます!!!」
「上等!表でろー!」
「こっちのセリフです!」
【ゴゴゴゴン!!】
〜で……〜
『渋谷〜、渋谷〜です。お降りの際、お忘れ物無きようご注意くだしゃいあヤベ噛んだ。』
「オイこら車掌。」
途中でデンシャを乗り換えて、ようやく目的地に到着。さっきのはマサさんがどこからともなく発せられた声にツッコミをいれたとこです。
にしても…すごい人の数だなぁ…。
「そういや君らってこういう人がごった返してる所に来たのって初めてじゃないか?」
「…こっちの世界では…確かに初めて…。」
…いたた…また頭が…。
「うきゅ〜…。」
「ま、魔王様大丈夫ですか?」
「アルス、しっかり。」
「大丈夫?」
「あ、ありがとうスティル、フィフィ…。」
…結局、魔王とボクのケンカはリュウジさんによって止められた…鉄拳制裁という形で。
「いやぁ渋谷に来るのは久しぶりだなぁ。」
拳骨落とした張本人はボクらに目もくれずに周囲を見回していた…うぅ。
「やっぱ休日だけあって人でごった返してるな。」
「しょうがないよ、休日なんだから。」
「ともかく行こうぜ?駅でじっとしてんのもなんだし。」
そう言うなり、さっさと歩き出したリュウジさん…あの、せめてボクらに一言かけてもらいたいんですけど…さっきからずっと蹲ってるんですけどボクと魔王。
「おいアルスクルル、置いてくぞ。」
「「はぁい…。」」
…もういいですよ…クスン。
「で?結局どういうとこ行くの?」
「ん、道玄坂に新しくオープンしたラーメン屋。何か坦々麺がうまいとかいう情報。」
リュウジさんが懐から取り出したのは、いつも愛読している『ラーメン命』という雑誌。ソファに寝そべりながら読んでるのをよく見ます。
「リュウくん、タンタンメンてなぁに?」
「ん?坦々麺ってのはなぁ………………。」
?急に考え込んだリュウジさん…
…あ、今微かに笑った。明らかよからぬことを考えてる顔だ。
「……すごい甘口のラーメンだ。」
「へぇ…どう甘いの?」
「チョコみたいなもんだ。」
「えぇ!?そうなの!?」
「おうよ。」
「すっごーい!」
………確かこないだリュウジさんの雑誌チラっと読んだ時に見たタンタンメンって赤くてかなり辛そうだったような…それに魔王って辛いの苦手じゃ…(第八十八の話参照)。
「早く行こ行こ!」
「焦るな、ラーメンは逃げんよ。」
「って言いながら一番早歩きしてんのはお前だろが。」
マサさんが容赦なくツッコミを入れた。
「…クルル、だまされてる…。」
「言うなリリアン。相手は龍二だ。」
「…そうね。」
…魔王、舌の機能失わないでね。
「!うわぁ、すごい!」
「やっぱごった返しとるな〜。」
いつの間にか出口まで来ていて、魔王とリュウジさんが先に外に出た。すごいって今も人が多くて十分すごいんですけど…。
「皆も早くおいでよ〜!」
魔王が手招きしてるけど、言われなくても行きますって…………………ば……。
「…すごい…。」
「おっき〜!」
「「……。」」
「……。」
ロウ兄弟とスティルに関しては、驚いて言葉も出てないです。
…ボクも言葉なんて出ませんでしたけど。
そこはホントに広くて…上を見れば巨大な建造物が陽光を受けて輝いてて、前方を見れば所狭しと並んだ建物…多分、高い塔の上から数えても途中でわからなくなりそう。
そして何より一番インパクトがあるのはそこを行き交っている人の数。今ボクらが住んでいる町なんて目じゃないくらいで、目が回りそうだった…これボクらの世界にある王都といい勝負なんじゃないかな?あっちもかなりの人の数だけど、ここの道の広さとか半端ないし…。
「おし、じゃ道玄坂行くぞ。」
「ほらほら、こんなとこで棒立ちしてると人にぶつかるぞ?」
「あ、はい。」
やっぱりリュウジさん達はさして驚いた様子もなく、人でごった返している道を進み始めた。まぁ、何度も来たことあるなら当然だと思うけど…。
とにかく、これだけの人がいるんだから、迷ったらシャレになりそうもないな〜…。
「お前らちゃんと付いてこいよ。」
「はーい!」
「クルル…一番不安…。」
リリアンに同意です…。
「しっかしまぁ…すんごいわねぇここ。」
「ええ…。」
フィフィは今、ボクの髪から頭を覗かせてる。やっぱり目立つからなぁフィフィ。
【ドン】
「あ、ご、ごめんなさい。」
うっかり他人に肩をぶつけてしまった…気をつけないと。
【ドン】
「あ、すいません。」
【ドン】
「ご、ごめんなさい。」
【ドン】
「あぅ、ごめんなさい。」
【バキ】
「す、すいませんでした!」
…ホントよく当る…最後の人なんてぶつかっただけで吹き飛んだんですけど。どんだけヤワなんですか。
「アルス、気をつけないと。」
「ど、努力はしてるんですけど…。」
だってスペースが狭くて…リュウジさん達の姿を確認できるのがやっとのほど。一度でも見失ったらいっかんの終わりだから集中しないと…。
「…!あ、アルスアルス!」
「いだ!な、何?」
いきなりフィフィが髪の毛を引っ張った。これ結構痛いんですけど…。
「あれ見て、あれ!」
「あれ?」
あれって…………お店?
「あのお店がどうかした?」
「よく見てよあれ。」
?…………あぁ。
「あれかぁ。」
「でしょ!?」
フィフィの言うあれっていうのは…装飾品屋の前に並べられたアクセサリーの数々。
言ってなかったと思うけど、フィフィは装飾品には結構こだわるタイプなんです。特に腕輪とか。
…でもアナタ、大きさ的に付けられないじゃないですかって随分前に聞いたところ、『見た目がいいの!』と返されました。
「うぅ〜、すっごい数の装飾品がある〜…。」
「…ダメですよ今行ったら。」
「え〜!?」
「え〜!?じゃないよ。今からリュウジさん達とお昼食べるんだから、その後でいいじゃない?」
「うぅ〜…わかったわよ。」
…なんだかんだで、年上ぶってるけどフィフィもボクらと変わらないと思う…。
「さ、行こう。」
「は〜い。」
フィフィをたしなめて、改めてリュウジさん達の後を
…………。
後を……
…………。
「…………。」
「…………。」
「…見失ったわね?」
「…………。」
あ、あれれ〜……………?
「…なぁにしてんのよアンタはあああああ!!」
「え、ええぇ!?ボクのせい!?」
「立ち止まったアンタが悪い!」
「よ、呼び止めたのはフィフィなんじゃ」
「うっさああああああい!!」
り、理不尽ですぅぅぅ!!(泣)
「…はぁ…どうすんのよ。」
「あぅぅ…。」
下手に動き回れないボクらは、駅の近くにある犬の銅像の傍でへたり込んだ…周囲にはたくさんの人達が集まっていて、お喋りしたり休憩したりしてる人が多い。
…今のこの状況では関係ないですけど…はぁ。
「連絡取ろうにも手段がないんじゃしょうがないですよね…。」
「まぁねぇ…。」
フィフィはというと、ボクの肩の上で体育座り…。
「ねぇ、テレパシーとか送れない?」
「こんな人が多いとこじゃ使えないよ…。」
意思伝達魔法は、こう人が大勢集まる場所じゃ使えない。多くの思念が飛び交ってる中で使ったら、頭が割れそうになるから。
いっけん、この魔法は便利だなって思うけど、場所を選ぶっていうのが欠点なんだよね…。
「…ホントどうしよう…。」
「…待つしかないよ…。」
逆に探しに行ったら、変なところに迷い込んだりしそうだし…。
「……。」
「……。」
…とりあえずやることも無いから、周囲の人達の話声に耳を傾けてみた。
『ねぇ、それブッチじゃない?」
『わかるぅ〜?昨日買ったばっかなんだ〜。』
『マジ〜?』
『チョ〜イカスって感じ〜?』
『ねぇねぇ、今から俺らと遊びに行かない?』
『えぇ〜?どうしよっかなぁ?』
『いいじゃ〜ん、行こうぜぇ?』
『う〜ん…行っちゃおっかぁ?』
『そんでさ〜……。』
『うっそマジで!?ありえねー!』
『ぎゃははははは!』
『最近出来たばっかのゲーセン行こうぜ!』
『いいねぇ!』
『え〜?ちょっと待ってよ来れないってどういうことよ〜?』
『え〜マジ〜?どんだけ〜?』
『テメこないだどこの男と一緒に歩いてたんだよ!?』
『知らないわよそんなの!』
『だ〜れだ?』
『あぁ、この声は…お前だなぁ〜?』
『青い海のバカやろおおおおおおおおおお!!!!』
『ここ海じゃないわよおおおおおおおおおお!!!!』
『ここのどこかに埋蔵金が…。』
『兄さん、徳川の埋蔵金探すって言ってなかったっけ?。』
『アイ・ラブ・ハゲ!!!!!』
「……。」
「……。」
お、落ち着けない…+何言ってるのかさっぱりわかんない…。
「…やっぱ賑やかね、ここ。」
「…そだね。」
静かな場所って存在してるのかな、ここ…。
「…しゃーないわ。」
「?」
フィフィが肩から立ち上がった。
「私、ちょっくらリュウジ達探してくるわ。」
「え?ダメだよ下手に動いたら…。」
「大丈夫だって。高いとこ飛ぶし、そんな遠くまで行かないから。」
「で、でも…。」
「そこら辺一通り探したらすぐ戻ってくるからさ。」
……まぁ、連絡手段が無い限り、そうするしかないかなぁ……。
「…ゴメン、フィフィ。お願い。」
「オッケー!」
ヒョイと肩から飛び降りると、すぐさま上昇していったフィフィ。速く飛んでいったから、周囲の人達にはバレてない…と思う。
「……。」
あ、考えてみればフィフィいなくなったらボク一人だ…。
「…孤独です…。」
…まぁ、しょうがないですけど…。
………。
あ、そういえば…。
「えっと…【ゴソゴソ…】…あった。」
ズボンのポケットから取り出したのは、小さな革袋。ボクが昔から使っていた、愛用の財布だった。こっちの世界では元の世界の通貨は使えないから、今はリュウジさんからもらったお小遣いを入れてる。つまりこっちの通貨。
【チャリン】
「えぇっと………よし、いける。」
中からわずかなお金を手に出して確認してから立ち上がった。
喉渇いたし、どこかで飲み物買おうっと。
「え〜っと…。」
銅像から離れて周囲を見回す…あまりここから離れない方がいいよね。
ん〜…そういえばどこで売ってたっけなぁ…えっと、ジドウ…なんとか?
「…どんなのでしたっけ〜…?」
うぅ…リュウジさんに詳しく聞いておけばよかったなぁ…。
「テメェふざけんじゃねえぞ!?」
「!?」
へ、へ、へ!?
「いいから金出せって言ってんだよ!」
「早く出せよ!」
…あぁ、ビックリした…ボクじゃなかった…。
ふと声がする方を見てみれば、狭い路地のところで三人の男の人がたむろしていた。そのうちの一人が男の人二人に囲まれていた。
…これって、カツアゲっていうんでしたっけ?
「だ、だから言ってるだろ?今金持ってないって。」
「あぁ?渋谷来て無一文なんてことねぇだろ?」
「嘘ついてんじゃねえよあぁ?」
「だ、だからぁ…。」
明らか二人ムチャクチャ言ってる…
周囲の人もカツアゲに目もくれてないし…多分、恐いからあえて視線外してるんだろうけど…
これは見捨てておけないですよね…そう思ってボクは三人に近づいた。
「あの。」
「「「?」」」
声をかけたら、全員一斉にボクの方を見た…う、すっごい派手だぁ…。
「あんだテメェ?ガキじゃねえかよ。」
「邪魔だよ、あっち行ってろ。」
う…ダメダメ、下手に暴力なんてしたら騒ぎになっちゃう。
「そんなの関係ありません。その人困ってるじゃないですか。」
「…なんだこいつ?ガキのくせに正義の味方気取り?」
「やべ、マジ受けるんですけど〜?ぎゃははは!」
ガ…ガマンガマン。
「ですから!もうやめてあげてください!アナタ達後悔しますよ!?」
「んだとテメェ!?」
あ、怒らせちゃった…うぅ、ボクのバカァ…。
「この野郎…調子乗りやがって!」
「もう許さねえ!」
……“野郎”?
【*○○野郎=男 ←アルスの脳内方程式】
「……。」
「あんだあんだぁ?急に黙りこくりやがって。」
「もしかしてビビっちゃったかなぁ?」
…………。
「…ボクは…。」
「あ?」
「女だああああああああ!!!!」
【バキボガベキグシャ!!】
「「ぎゃああああああああああああああああああ!!!???」」
……………あ゛。
「…や、やっちゃった…。」
足元には、見るも無残な派手な男二人が…や、やり過ぎちゃった…。
「………。」
恐る恐る背後を振り返ってみると、さっきまでの光景を見てた人達が一斉にボクから視線を外して歩き出した…。
………………。
「…はぁぁぁぁぁぁ…。」
…ボクって…ホント大バカだぁ…。
「…な、なぁ…?」
「…はい?」
一人座り込んで落ち込んでるところを、誰かが声をかけてきた…。
「その、そんな落ち込むなよ…。」
「…別に落ち込んでなんかいません…はぁぁぁぁ。」
「いや誰からどう見ても落ち込んでるだろ。」
声かけてきたのは、さっきカツアゲされてた人だった。
でも何だかこの人、マサさんの同じ臭いがする気がする…。
「まぁともかく立ってくれよ。」
「…はい。」
手を差し出されたので、その手を掴んで立ち上がった。
「すいません…。」
「いや、礼言うのはこっちだ。さっきはサンキューな。」
「そ、そんな別に…ただ助けるのは当然で…。」
「なら礼を言うのも当然だろ?」
…な、何だか照れます…/////////
「あ、あの…次からは気をつけてくださいね?」
とりあえずさっきの広場に戻らないと…フィフィも帰ってきてるかもしれないし。
「あ、ちょっと待ってくれ。」
「へ?」
立ち去ろうとしたら呼び止められた。
「なぁ、今忙しくなかったらせめて礼はさせてくれないか?」
「え、そんな…悪いですよ。」
「これくらい当然だろ?」
で、でもなぁ…悪い気がするし…。
「じゃ、何か飲み物奢る形でいいからさ?」
「喜んで!」
「即答!?」
ココア!
「…ま、まぁいいか…。」
…そういえば、リュウジさんが『人の恩は素直に受けるのが吉』って言ってなぁ…そんな時間もかからないと思うし…まぁ、これくらいならいいかな?
あ、そうだ。
「自己紹介してませんよね。ボクはアルス・フィートです。」
知り合ったらまずは自己紹介、ですよね。
「ああ、俺は天介っていうんだ。桜田天介。よろしく。」
〜一方…〜
「あれ?アルスとフィフィは?」
『あ。』
龍二達がアルスがいないことに気付いたのは、龍二が坦々麺を店長が泣き出す程食べた頃だったそうな…。
最近、家に帰ってバタンキュ〜なことが多いコロコロです。とは言っても時々暇な時間を見つけてはこの小説をチョコチョコ書いていったり、最近買ったばかりの狩猟ゲームやったりで、自分なりの方法でリラックスできてます。
感想、メッセージでの応援コメントはすっごい励みになりました、皆さんありがとうございました!これからも自分なりのペースで頑張ります!
で、今回の話なんですけど…桜田天介って誰かわかる人、います?
答えは、次回のあとがきにて!ヒントは短編←ヒントじゃねぇ!?