第九十九の話 エルの恥
〜龍二視点〜
・・・。
【チッチッチッチッチ・・・】
・・・・・・。
【チッチッチッチッチッチッチッチッチ・・・】
・・・・・・・・・。
【チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ・・・】
・・・・・・・・・・・・。
【チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチ・・・】
【ガバッ】
「・・・眠れん。」
深夜一時・・・ベッドに入った時間が十時。そっから目を閉じても全然睡魔が襲ってこない。しかもさっきから時計の音がものっそ耳障りだコンチクショウ。
これは・・・あれか?昼間寝すぎたか?あまりにもポカポカ陽気だったから夕方まで昼寝ぶっこいたせいか?
それとも夜の八時ぐらいににっがいにっがいブラックコーヒー飲んだからか?アルスがココアと間違えて買っちまって、捨てるのももったいないしってな理由で飲んだあれが原因か?
・・・ともかく眠れん。これはまずいな・・・。
『スー・・・スー・・・。』
・・・。
で、俺を差し置いて夢の中に突入中の剣が一本、机の上に。
・・・。
『スー・・・スー・・・。』
・・・。
『スー・・・スー・・・。』
・・・。
(怒)
【ガイン!】
『あぎゅ!?』
何かムカついたんでこいつの心臓部である銀色の部分、通称“コア”を殴りつけた。
『こ、殺す気かあああああ!!??貴様自分の握力考えろ!!!』
「できれば永眠してろ。」
『え、マジで!?』
うっせぇなこの剣・・・。
『・・・何の用だ。』
「眠れん。付き合え。」
『すっごい簡潔に理由と用件を述べたな・・・。』
それ以外どう説明せえと?
『まったく・・・眠れんからって私を起こすか普通?』
「テメェだってこないだ同じ理由で夢ん中に土足で踏み込んできただろが。」
『う!・・・し、しかしあれは・・・。』
「しかしもおかしもへったくれもねぇよバカ。」
ポスンとベッドの淵に座り込む。エルは机の上。
「とりあえず俺が眠くなるまで付き合え。」
『・・・何故に上から目線なんだ?』
「返事は?」
『付き合います。』
掌に氣を集めると即座に承諾した。物分りのいい奴でよかよか。
『で?具体的に何をするのだ?』
「ん、じゃ最近考えた技でも出してや」
『するな。絶対するな。』
むぅ、したかったのに・・・新技。
「・・・じゃしゃーねぇ。しりとりだ。」
『ほぉ、シリトリか・・・あれは私も好きだ。』
「よし、決まり。」
我ながらなんて素晴らしい暇つぶしを見つけたんだろうなぁ・・・しりとり考えた人物は、ラーメンを考案した人の次に偉いぜきっと。
「じゃまずはしりとりの“り”で。」
『貴様からか。』
「おうよ。」
どっちからでもいいけどなホントは。
「行くぞー。リンゴ。」
『ゴマ。』
「マサイ族。」
『・・・口。』
「チーカマ。」
『何故あえてチーカマ?・・・饅頭。』
「海。」
『ミゾレ。』
「レンタル延長。」
『延長した!?・・・ウサギ。』
「技糸術。」
『ぎ、技糸術って・・・つ、積み木。』
「キンモクセイ。」
『インコ。』
「コアラ。」
『ラッパ。』
「パパイヤ○木。」
『何故人名にする・・・ならば、きちがい。』
「お前。」
『貴様に言われたくない。』
「うそうそ。イソップ童話。」
『わんこ。』
「わんこ・・・・・・・豆柴、可愛いよなぁ・・・/////////////」
『・・・・・・・しりとりをしろ、しりとりを。』
「おっとすまんな。昆虫。」
『また“う”か・・・うなぎ。』
「シルバー。」
『?リュウジ、“ぎ”だぞ?』
「“銀”なんて言ったらアウトだからな。英語。」
『それは反則だろう!?』
「世の中のルールは俺がぶっ壊す。」
『何だその目標!?』
「ほれお前だお前。」
『・・・バリア。』
「アンドリュー。」
『誰だ。』
「さぁ?」
『・・・。』
「・・・。」
『・・・やめないか?』
「だな。」
飽きてきた。
「ふむ・・・じゃこれだ。モノマネ。」
『?モノマネ?』
「おう。好きな芸能人の真似をするのがモノマネ。」
『・・・ほぉ。』
「興味あっか?」
『・・・まぁ、少しは・・・どんなものか見てみたいんだが。』
ふむ・・・手本か。
「・・・じゃまずは俺から・・・
『これにて一件らぁくちゃく!!』
・・・どうよ?」
『・・・何だそれは。』
「遠山の○さん。」
『誰だ。』
「何ぃ、金○ん知らないだとぉ?」
『伏字の意味が無いぞ!?』
「あ、やべやべ。」
修正修正・・・ってもう遅いか。
でもなぁ、遠山の○さんメジャーなのになぁ。主にお年寄りに。ってあ、これ考えてみれば歴史上の人物だった・・・ま、気ニシナーイ。
「ほれ、次お前。」
『う、うむぅ・・・いざやれと言われたら恥ずかしいな・・・。』
「じゃ指名してやろうか?」
『あぁ、頼む。』
うむ・・・こいつには・・・。
「・・・よし。
『小島よ○お』やれ。」
『・・・・・・・・・・・・・は?』
「だから、『小島○しお』。」
『・・・・・・・・・・・・・できるかああああああああ!!!!』
うっせぇなぁ。近所迷惑だろが。
『何故に私があの海パン一丁で変てこりんなダンスを踊る男の真似をせねばならんのだ!?』
「説明口調だなおい。つーかよくテレビ見てるなぁ。」
『そーゆー問題じゃない!!』
「いいじゃんよ、やってみろ。“史上初、小島○しおダンスを踊ったアホ剣”だぞ?ある意味有名になれっぞ?名誉名誉。」
『不名誉だバカ!つーか誰がアホ剣だ!そんなことで有名になりたくないわ!第一手足が無いから踊れるか!!』
「いろいろツッコんだが、心の中で踊ればいいじゃないの。口だけでそんなの関係ねぇ!って言えば。」
『だからできるかああああああああ!!!!』
「ドリアンって知ってるか?」
『?な、何だ急に・・・。』
「あれってすっげぇ臭ぇんだよな。もうそりゃすっごく。でも臭いの割に中身はすっげぇうまいんだよね。あれは忘れられねぇなぁ。今度切ってみるか?他の包丁で切ったらしばらく臭い取れないからさぁ。」
『やります。踊ります。』
物分りのいい剣だな。まぁ体にあの臭いが付くのだけは勘弁と思ったんだろう。でも包丁に臭いが付くかどうかは俺も知らん。作者も知らん。
「じゃどうぞ〜。」
『くっ・・・で、では行くぞ・・・。』
おう、やれやれ。
『コホン・・・・・・・・えと・・・み、右の刃より・・・うぃ〜・・・左の刃の方が・・・うぃ〜・・・じ、若干キレイだよ・・・でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!はい、オッパッピー!!・・・ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・。』
お〜、結構うまいじゃん。“そんなの関係ねぇ!”が早口だったけど。
『ま・・・満足か・・・?///////』
「もっかい。」
『ええ!?』
「ドリアン。」
『やりますやります・・・。』
ドリアン、そんないやか。切ったこともねぇくせに。
『・・・・・・・・ら、雷撃撃ったら停電した、でもそんなの関係ねぇ!』
関係あるんじゃね?
『牛を骨ごと切りました、でもそんなの関係ねぇ!』
エグいね。
『鶏肉は若干切りにくい、でもそんなの関係ねぇ!』
まぁ結構切りにくいよな、鶏肉。
『トマトは潰れて切りにくい、でもそんなの関係ねぇ!』
熟したトマトは確かに切りにくいな。
『まな板一緒に切れかけた、でもそんなの関係ねぇ!』
・・・。
『雷撃撃って魚焼く、でもそんなの関係ねぇ!』
・・・・・・。
『・・・自分で言ってて悲しくなる、でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!はい、オッパッピー!!!!・・・はぁはぁはぁはぁはぁ・・・ど、どうだリュウジ・・・。』
・・・・・・・・・・・・・・。
『?リュウジ?』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「くー・・・くー・・・。」
『・・・・・・・・・・・・・・。
寝るなあああああああああああああああああああああ!!!!!!(泣)』
〜翌朝〜
「ふぁ〜あ・・・。」
ん〜・・・よく寝たぜ・・・。
『・・・。』
「おう、おはようエル。」
『・・・あぁ。』
?ありぇ?怒ってる?
「どしたエル?」
『別に!!』
「?」
その日、エルは一日中ほとんどを俺に対する愚痴に費やした。Why?
あれ、結構恥ずかしいですね・・・赤面しました、学校でやって。
さて、次回は百話!まぁ何するっていうか・・・とりあえず人気投票の中間発表しまーす!