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変わらなければならない場所1 血縁に並ぶ絆


首都洛華へと戻って来た趙炎は多くの疑問を抱えながらも司馬艶の待つ城へと向かった

城からは艶本人から出迎えられ 手厚い対応で食堂へと招かれる

縦に長いテーブルの上には四人分食事が用意され 趙炎は召使いに誘導されるがまま席に座った


「あの…… これは」


「陛下のご命令です」


そのとき扉が開かれて

司馬軌とその後ろから孤橋も現れる


ーーもう会えないとか言っていた癖に……


趙炎の視線が孤橋に向いていると 艶が席に着きながら話し出した


「その若さで大業を果たしてくれるからな…… 今日は気まぐれの褒美って奴だ」


「いえ…… それが」


何も得られなかった前提で話そうとしていた趙炎に気まずさが生まれる

司馬軌と孤橋も席に着いたところで本来御目にかかることのない料理が次々と並べられた


「さて趙炎 報告を聞こうか」


「それが…… 特に怪しい動きは見当たらず 収穫は出ませんでした」


「ほぉ……」


「申し訳ございません!」


趙炎は席から外れて床に額を付けて艶に謝る

それを見ていたその場の全員は沈黙していが彼だけが気軽に口を開く


「座りなさい趙炎」


「いいえ…… 私に褒美を頂く資格はありません!!」


頑なに断る亀の様な男に 孤橋は趙炎の料理が盛られた皿を持ち上げて床に置いた


「食べて…… 趙炎」


「なっ……!!」


孤橋の行動に目を疑う趙炎だが

それを無視するように孤橋はスプーンで二口分掬い上げるとそのまま趙炎の口の中に押し込んだ


「ムグゥゥ!!」


「もう一度言うわ趙子炎 食べなさい

この野菜は農家の人が種を導き水を与えた

この肉は放牧している人が一匹一匹を大切に育てて殺した命よ

貴方が大切にしている民が貴方の為に大切に生んだ食材

さぁ席に戻って頂きましょう」


趙炎は意味が分からず席に着くと 目の前にはニッコリと笑う艶がいる


「何かを背負ったね趙炎?」


「!!?」


「隠さなくてもいい…… いや趙炎は嘘が下手なんだね」


「…………」


隠していた事を悟られた どんな罰をも受けると趙炎は覚悟するが


「さぁ…… 食事を続けよう」


「え?」


「君はあの火女桜本部に一人で出向いた 後で司馬軌と孤橋に怒鳴られたよ……」


ふと二人を見る しかし司馬軌と孤橋は微動だにせずに黙々と食事を続けていた


「内部抗争の事は知っていた 一人でそんな危険な場所に行かせたことを後悔しているよ

無事で本当に良かったぞ趙炎」


ーー周りを見渡して感じる

さっきと変わらない静かな食堂の筈なのに温かい さっきの孤橋の言葉はきっと……


「ありがとうございます 孤橋様も」


「おいおい俺には無いのかよ趙炎」


「司馬軌様も」


ーーあれだけ喉に通りにくかった目の前の料理に食欲が湧いてくる


時間が過ぎて食卓の上は空の食器だけとなっていた

従者が次々と皿を下げていき 艶達もその場を立ち上がる

趙炎もすぐに立ち上がり一歩下がって一礼を行った


「有り難き幸せでした」


「そうかそうかぁ」


艶は趙炎の目の前に移動して優しく肩を叩いた


「お前はこの大国を引く一人であり 行く末は先頭を歩く将軍になる男なのだ

器の有る君にはこの先多くの者が後ろを付いて行くだろう

だが後ろを見るだけではいずれ孤独を覚えてしまう だから……」


手で合図を送る艶の近くに司馬軌と孤橋が近付く


「趙炎の少し手前を歩くかもしれない…… だが俺はお前を見捨てはしない お前だけはな」


「司馬軌様…… それは少し考えようですが 有り難いです」


「まぁ私しに関しましては…… 言わずとも良いでしょう?」


「孤橋様も…… ありがとうございます」


三人が奥へと戻るのを見送った後 召使いに見送られながら城を出る趙炎は自宅に戻る為

昼間に賑わう繁華街や市場が並ぶ城下を歩いていた


ーーあの時の孤橋も〝司馬孤橋〟の方だったな……


ふと足を止める趙炎は装飾品が並ぶ店へと足を止めた


「…………」


何気なく店内へ足を踏み入れようとすると 最近聞いたことのある声へと振り向く


「ヤコ?」


「…………」


藍色の髪が印象に残るヤコは無言で頭を下げる


「どうしんだ?」


「お手紙です」


二日前に手紙を送ると孤橋が言っていた


ーー言いたい事があれば食堂で言えばいいのに……


手紙を開くと


〝 最初に言っておくけどあの時の私は〝孫孤橋〟だから!!

そして思ったんだけどあの料理まぁまぁじゃなかった? 絶対私の方が作るのが上手いわよ

火の通し方とか無駄に高級ぶってやろうとしてるのが見え見えなのよね お陰で味薄いし

これじゃぁ農家の人達も報われないって思うわね!!

それはそうと趙炎!! 火女桜の話が出た時ちょいちょい私を見過ぎ!! 疑われたらどうするのよ!!

司馬軌や父上は親子揃って勘が良いで有名なのよ!?

隠したいなら構わないけどさぁ もうちょっと上手くやってよね!!

以上!! 〟


ーー言いたいことが山ほどあるが…… この手紙さっきの後にすぐ書いたのか?


ただただ笑うしかない趙炎の顔をヤコはじっと見つめていた


「そういえば返事書く約束だったな」


「はい」


「家に戻ってからでもいいか?」


「では同行します」


「なんで!?」


「それが私の仕事ですので」


「いや…… これから色々と寄り道したいんだが……」


「お構いなく 地の果てまで付いて行きますので」



ーー……怖っ!!



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