第94話:真相を知って
「以上が君のお父さんが亡くなった時の話だ。本当に申し訳なかった」
神主は、更に深く頭を下げた。妻はというと、その場にしゃがみ込んだまま項垂れている。その横でおばばが彼女の背をさすり何か声をかけていた。
「つまり父は、自分の地位と名誉の為に動いた。その結果、殺されたと…………」
「広田…………」
じっと黙って話を聞いていた広田は、そう呟くと肩を落とす。それを励ますように功は、肩を叩いた。
「全ては、私がやった事なんだ。私があまりにも愚かだったから」
「確かに先生のとった行動は、あまりに短絡的です。でも、もし僕が同じ立場に置かれたなら結果は、同じだった気がします」
「おばばは、知ってたの?」
神主の話ぶりでは、おばばや奥さんはその日居なかったはずだ。それに一つ気になることがある。
神主の妻が儀式に傾倒していった理由。それはもしかして…………。
「あの日、私とこの子は市内に出ていた。出産の準備の為に色々とすることがあってな。全てを知ったのは、それから数週間がたった頃だよ」
「そんなに時間がたってから?」
「あぁ。帰宅すると家の中の空気がどこかおかしかった。しかし、あの頃は儀式の事で夫と息子が喧嘩をするのが日常茶飯事になっていたから、また喧嘩でもしたんだろうと思って気に留めなかったんだ。だけど、しばらくして嫁が気になることを言い出してね」
「気になること?」
「息子が深夜うなされては跳ね起きて、時々嘔吐もしているようだと」




