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蛍籠  作者:
71/119

第70話:最後のピース

 美智とおばばが話している頃、功達は舞台下で息をひそめ、その時を待っていた。川辺の話では、儀式の準備は終わっており、あとは合図を待つばかりという事だった。


 そして今回の儀式はおばばが取り仕切ることになったらしい。

 その話を聞いた時、功と明は言葉を失った。そして、あれ程、美智の安否を気にしていたおばばが、何故そんな事をと、自分達を裏切ったのかと嫌な考えが頭の中を駆け巡った。


 そんな二人を見て川辺は、苦笑する。随分と成長したと思っていたが、どうやらまだまだらしい。


 「二人とも話は、きちんと最期まで聞きなさい。あの方の、美智への愛情は確かなものだ」

 「でも…………」


 広田は、二人の顔をちらちらと見ながら言いにくそうに口を開く。それを、川辺は軽く手を上げて制した。


 「あの方は、もしもの時を考えて自ら申し出たんだ。いざという時に美智を逃がす為にね」


 禁足地の入口で別れた後、おばばはそのまま真っ直ぐ舞台のある社へと向かいそこで息子夫婦の説得を始めた。

 しかし、どんなに言葉を重ねても二人の意志がゆらぐことはなかった。そればかりか、邪魔をするようなら、儀式が終わるまでその身柄を拘束するとまで言ってきたのだ。そんな事になったら、美智を助けることも出来なくなる。そう判断をして、逆に説得される振りをして、自らが儀式を執り行うと宣言したのだった。


 「そういうことか…………」

 「冷静さを失ってはいけない。特にこんな状況だと。あらゆる局面に対応する為にもな」


 川辺の言葉に功達は、正気に返った。こんな時こそ、冷静さを欠いてはいけない。


 「あの、ちょっといいですか?」

 「何だい? 真君」

 「美智先輩を助ける、これは絶対に失敗してはいけない目的です。いざという時は、神崎さんの助けを借りて逃げ出す。しかし、これは最終手段です。神主夫妻の決意は固い、だから絶対に妨害しようとするでしょう、上にいる人たちを使ってね。だから、よくよく策を練らないといけないと思うんです」

 「神崎さんは、自分が皆を説得すると言っている。そうすれば、最悪の事は防げるとね。確かに村に住む人々にとって彼女は、尊敬と畏怖の対象だから成功すると思うよ」


 功と明がその言葉に頷き合う。


 「そうでしょうか? だってそれなら、神崎さんが儀式の廃止を宣言すればいいだけの事でしょう? そもそも今回の原因はこの村の生命線である水だと聞いてますけど、それをどうにかしないかぎり無理じゃないですか?」

 「確か、功は水のサンプルを取りに来たって聞いたけど」

 「ああ、役場が水質調査を依頼した研究所の知り合いに頼まれてな。一応、すぐに送ったからもう結果が出てる頃だとは思うけど」


 功は携帯を取り出してみる。すると、一通メールがきていて、開いてみるとその研究所からだった。


 「水質の汚染は、土壌汚染のせいで起きたかもしれない。なので、近日中に県の捜索が行われるだと」

 「良かった、これで人々の説得材料が出来ましたね。つまり、水質が変わったのは人為的な事が原因だと伝えれば彼等も思い留まるでしょう」

 「功、そのメールを父さんにも送ってくれないか? これなら父さんも動くことが出来るはずだから」

 「分かった。一応、夏美達にも送っておく」

 

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