第54話:禁足地へ
美智の家を後にした明達は、闇に紛れながら禁足地と神社へと続く山道へとたどり着いた。
そして、禁足地へと続く橋の影に身を潜めると最終の打ち合わせを行う。
「じゃあ、夏美達はここにいてくれ」
「分かった」
「もし、様子がおかしいと思ったらすぐ警察に通報して欲しい。この人は親戚だしすぐ動いてくれると思うから」
明は、一枚の名刺を取り出すと夏美にそれを託す。
「三人ともくれぐれも気をつけてね?」
「まかせとけって。お前こそ気をつけろよ?」
功の言葉に夏美は、微笑む。
「大丈夫よ。護身用の道具はいくつも持ってるから」
「俺もいるんだ、それに女のほうがいざって時は強いぞ」
「当然だ。私ら女は、生命を生み出し未来へと繋げていく。男なんかより、よっぽど肝はすわってるさ」
おばばの言葉に夏美は当然といった笑みを浮かべ、男性陣は少しばかり気をくれする。そんな明達を見て楽しそうにおばばは笑って言った。
「さぁ、さっさと行け。息子達は、表の本殿に呼びつけておいた。少しは時間かせぎになるはずだ」
「おばば。おばばも気を付けてくださいね」
「大丈夫、さすがに実の親にどうこうするほど愚かな人間ではないさ。それに一応保険はかけてある」
その迷いのない力強い声に後押しされた明達は、橋を渡り禁足地への門を開くと中へと消えていった。
「さぁ、私も行かせてもらうよ」
「神崎さん」
「何だい? 記者さん」
「馬鹿な真似だけはしないでください。あなたには、村の真実を明かし伝えていくという役目が残っているんですから」
自分が内に秘めていた考えを見抜かれ先手を打たれたおばばは、顔を強張らせたがすぐにいつもの笑みを浮かべた。
「そんなことあんたに言われるまでもないさ。じゃあ、夏美を頼むよ」
そう言い残すとおばばは本殿へと向かって行った。




