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蛍籠  作者:
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第50話:広田 真

 ――――僕の中にある父との最期の思い出。


 それは研究の為に滞在した村の自然の素晴らしさやそこで知り合った子供達との思い出を嬉しそうに語る父と一緒に過ごした時間だった。

 その間、母と二人で淋しかった僕にとってはちょっとだけ不愉快だった覚えがある。理由は簡単でただの焼きもちだ。

 写真の中で自分より少し年上の子供達が父と一緒に笑う姿がうらやましかったのだ。父の膝の上で腰掛けながら頬を膨らませる僕に父は言った。


 「来年は、母さんと真も一緒に行こうな」


 その言葉を聞いて渋々とだが機嫌を治す僕を母とニ人、優しく微笑んでいた。それが、父との最後の思い出。

 何故ならその1週間後、父は行方不明になったからだ。


 学校から帰ると母が泣いていた。そして怖い顔をした数人の男達が家の中を物色していた、その姿を見て何だこいつらはって思い睨みつける僕を抱きしめながら母は、泣いていた。

 母の目から零れおちる涙が首筋に伝った感触を今でも忘れられない。


 男達が帰った後、あの人達が警察の人間だということと父が行方不明だということを祖母から聞いたのだった。

 しかし、小さかった僕はそのことを信じられなかった。だって、今までも仕事で数日帰ってこないことは当たり前だったから、きっと父はけろりとした顔をして戻ってくると思っていた。

 「ただいま」の言葉とあの笑顔と共に。


 だけど、父が戻ることはなかったのだ。

 高校生になる頃には周囲の噂や昔の新聞記事などで事件の内容も分かり、父が生きていることはないだろうと諦めていた。


 そんな時、一人の少女が僕の前に現れた。その少女こそ美智先輩の妹の美花さんだった。

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