表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛍籠  作者:
43/119

第42話:編集長の過去

 「おばば、何でここに?」

 「詳しい話は山を離れてからだ。おいで」


 突然現れたおばばに驚いた二人だったが、おばばの迫力に押されて一緒に山を降りる。


 「うちだとちょっと危ないからね。どこで合流するんだい?」

 「え?」

 「お前達がちょろちょろと動いて何かを調べていることぐらいお見通しだよ」

 「…………おばば、おばばは俺達の味方なのか?」


 功の問いにおばばは、真剣な顔で答えた。


 「美智の味方さ」

 「…………分った。美智の家に行こう」


 三人は、急いで美智の家へと向かった。

 美智の家に止めた車の前では、夏美達が待っていた。


 「どうだった? って、おばば?」

 「怪我をしたと聞いていたけど、大丈夫そうだね」


 夏美に近づき、様子を確認したおばばは、安堵する。

 そして夏美の隣にいた人物を見るなり、驚きの声を上げた。


 「あんたは!?」

 「お久しぶりです。神崎さん」

 「…………年寄りをおどかさないで欲しいねぇ。記者さん」

 「いえ、もう記者はしていません。今はタウン誌の編集長ですよ」

 「そうかい。じゃあ、美智の?」

 「上司です」

 「とりあえず、中に入ろうか」

 「でも、鍵がないのよ」


 夏美の言葉におばばは、にんまりと笑うとポケットから鍵の束を取り出した。


 「家の管理を美智の父親から頼まれてるんだよ」


 一行は、おばばの後に続き家の中へと入った。


 

 「で、夏美達のほうはどうだった?」


 リビングに入るなり、功は情報交換を始める。


 「私達が追った人影は、明のお屋敷の裏口から中に入って行った。功達は?」

 「禁足地に入って行った」


 その言葉に夏美は色を失う。


 「禁足地に!?」

 「あのいいですか?」


 それまで黙っていた広田は、手を上げて発言する。


 「編集長と神埼さんは知り合いなんですか?」

 「ああ。十年前に知り合った」

 「十年前、その記者さんは、ダム建設について取材に来ていたんだよ。表向きはね」

 「表向き?」


 編集長以外の三人は、おばばの言葉に疑問符を投げかける。


 「本当に調べに来ていたのは、この村で根付く宗教だよ」

 「宗教って、おばば。俺達、そんなこと知らないぜ」


 功の言葉に夏美は、頷く。


 「そりゃ村人に対しての宗教じゃないからね。信心深い政治家や金持ち向けのものだ。だからこそこの村は栄えてきたのさ」

 「そう、とある政治家がここの宗教に傾倒していた。それを追って行くうちにこの村で行われている人柱に行き着き神主であるこの人に話を聞きに行ったんだ」

 「街から離れた山の中にある村が生き抜くには必要悪だった。しかしね、私はずっと悩んでいたんだ。こんなことを続けていて何になるのかと。一人の少女と若者の人生を捻じ曲げてまで続ける必要があるのかと」

 「それって、灯ちゃんと川辺先生?」

 「ああ。そして十年前のあの頃、ダム建設で揺れる中、裏では儀式についてももめていたんだよ」


 思いもがけない方向に行き出した話に三人は、ただ呆然と言葉を失うばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ