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蛍籠  作者:
41/119

第40話:川辺 通 <2>

 巫女守なんて名目は嘘で実質は監視者だ。

 どんどん現実を知るにつれて息をするのも苦痛だった。

 村中の人間から見張られているみたいで、本当に死にそうだ。

 そんな自分を救ってくれたのは、早くにこの村を飛び出した叔母の娘夫婦。

 彼等の進めもあり大学入学をきっかけに村を出た、それが許されたのは灯がまだ小さい為だ。


 村から出ると自分の世界が閉塞したものだったのが分る。

 最初はとまどったがいとこ夫婦のおかげで楽しい学生生活を送れていた。

 そして教職を取り、村に帰ると今度は入れ替わりで灯が外の学校へと進学させられた。

 そうしたのは、深見の当主夫妻だった。

 彼等は、村の因習を自分達の代で終わらせると言い、もう巫女守でいることはないと言われた。

 

 正直、ホッとした。村から離れて外の世界を知れば知るほどこんな馬鹿げたことはないと感じていたから。

 しかし、そうは簡単に行かないのが現実というものだ。

 神主達は、その決定を是とはせず監視の役目を続行するようにと告げられた。

 

 そして事件は起きた。

 民俗学を学んでいた従姉妹の夫が、この村に訪れて村の秘密を暴いたのだ。

 彼は、論文として発表することとこんな事はもう止めるように迫った。

 その結果、彼を殺すように命じられた。

 そして、優しい兄のような存在をその手にかけた。

 きっとあの時からだ、自分の中にあった良心が無くなったのは。


 そして数年後、今度は自分の教え子を死においやってしまった。

 どこで間違えたのだろう、きっとあの時だ。

 巫女守になることを承諾してしまったあの日。あの日に血に塗れた人生の始まりの鐘が鳴ったのだ。

 

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