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蛍籠  作者:
39/119

第38話:対峙

 目を覚ますとそこは見知った場所だった。

 明は体を起こしながら状況確認をする。

 額を触ると包帯が巻かれているようだった。


 「ここは…………はなれ?」


 見知った場所であるはずだ。何のことはない、自宅のはなれの一室だ。

 部屋の調度品などで判断出来る。

 ここは、昔自分と姉の部屋があった場所。

 明は、起き上がり、ドアを開けようとするがドアには鍵がかかっている。


 (嫌な感じだ。閉じ込められた? もしかして僕の両親も関わっているのか)


 このままではらちが明かないので扉を叩く。


 ――――ドンドン!


 「誰かいませんか?」


 するとその音で気付いたのか誰かが部屋に近づいてくる。

 そして扉の鍵が開いた。

 そしてそこに立っていた人物を見て明は驚くのと同時にやはりと思ってしまう。


 「どういうことですか? 川辺先生!」


 そう、立っていたのは自分達の元担任であり、姉の恋人と目される人物だった。


 「…………すまない。君を巻き込むことになるとは」

 「そんなことはどうでもいいんです。美智はどうしたんですか!!」

 「彼女は駄目だ。彼女は知ってしまった、だから」

 「だからどうだというんだ!!」


 明は、川辺に詰め寄り胸倉を掴む。


 「彼女は、花嫁に選ばれた」

 「花嫁って、人柱にですか? あなた達はいつまでそんな時代錯誤なことを信じるんだ!!」

 「君に何が分る? 深見の跡取りとして何不自由なく育った君に、この村の因習を知ることなく育った君に何が分るんだ。分らないだろう? 生まれた時からこの村の闇と狂気にさらされて生きてきた私と灯の何が分るんだ!!」


 川辺は、明を突き飛ばし叫んだ。


 「すべては今夜終わる。私の血にまみれた人生も何もかも。君はここで全て終わるのを待っていればいい」


 川辺は、再び扉に鍵をかけると部屋を出て行ってしまう。


 「待て!!」


 ガチャガチャとノブを回すが扉が開くことはない。


 「くそっ!!」


 明は、ドアを力まかせに拳で何度も叩き続けた、その拳から血が流れ出しても。


 (美智!! どうか無事でいてくれ)


 やがて、びくともしないドアに脱出を断念した明は、その場にくずれ落ちると心の中で必死に美智の無事を願うしか出来なかった。

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