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蛍籠  作者:
28/119

第27話:お墓

 美智は朝からカメラを持ちあちこち歩いていた。

 村の資料館の外観の写真を撮っていると突然後ろから声をかけられる。


 「美智!」

 「あれー、由佳? どうしたの?」

 「どうしたののはこっちのセリフよ」


 由佳は、光泉高校時代の陸上部の仲間である。


 「私は、夏休み兼仕事。タウン誌で記者やってて、村のこと書けないかなって」

 「そっかぁ。私は結婚して市内に住んでるんだけど、親が子供を儀式に参加させろってうるさくて」

 「そうなんだぁ。男? 女?」

 「男女の双子」

 「マジ?」

 「マジ。それにしても女っぽくなったじゃん。後ろ姿見たら美花かと思ったよ」

 「失礼な。元々女だって」

 「はは、ごめん。でもさすが双子、そっくり。いや、あの日の前日の朝さ、美花を見かけたのよね。その姿にかぶって見えたの」

 「へー、どこにいたの?」

 「寺。熱心に手を合わせてたから身内の墓参りじゃない?」

 「そうだったんだ。おばあちゃんのかな? せっかくだし、墓参りしてこよっかな」

 「そうしな。儀式来るでしょ? その時、旦那紹介するから」

 「うん、楽しみにしてるよ」


 由佳と別れた美智は、早速寺へと向かう。

 ああは言ったが、祖母の墓というのは安直過ぎる。

 とりあえず、行ってみるしかないか。


 寺に着くとすぐ、我が家のお墓に向かう。

 ここは、祖母が死んだ時に建てたもので先祖代代の墓は山の中にある。

 とりあえず、このお墓には何もないだろう、もしあったとしたら美花の納骨の時に誰か気付いていたはずだ。

 美花がここに来た目的とは一体何なんだろう。


 「美智?」

 「住職さん。お久しぶりです」

 「どうしたんだい? こんな時期に。いつもならお盆あたりだろう? ここに来るのは」

 「早めの夏休みで来たものだから」

 「そうかい。でも、ボーっとしてどうしたんだい?」


 (住職さんはこの寺の婿養子だったから、聞いても大丈夫よね)


 「さっき友人に会って、そしたら美花が亡くなる前日にここに来たって聞いて」

 「ああ、確か2,3日前から来ていたよ。ここにある無縁仏に関心を抱いたようだったが」

 「無縁仏?」

 「君達の高校の先生の友人らしい。身内がいないその友人を弔って欲しいと頼まれてね」

 「へー。その無縁仏って?」

 「あそこの奥の花が飾ってあるところだよ」

 「じゃあ、代わりに手を合わせておこうかな」


 住職に挨拶をし、そのお墓に近づいた。

 そこには簡素なお墓が一つ建っていた。手入れはよくされているようで飾られたお花も最近のもののようだ。


 それにしても問題は何故このお墓に美花が興味を持ったかだ。

 美智は、腕を組み考えていたが、自分が来た道から足音がし誰かがこちらに向かってくるのが分かる。

 とっさに美智は近くのお墓の影に身を隠した。


 (もしかしてこのお墓を守ってる人?)


 息を殺して待っているとそこに現れたのは、川辺だった。


 (川辺先生?)

 

 


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