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蛍籠  作者:
27/119

第26話:動き出した明

 翌日、明は姉の失踪の謎をどうとこうか考えていた。

 ちょうど定期試験にぶつかっていたので、採点作業に入るまでは考える時間がもてる。


 (さすがに、両親には無理だな。あとは、爺やか婆やだけど………………)


 「どうした? めずらしいな、こんな時間まで」

 「川辺先生」

 「おいおい、お前も先生だろうが」

 「仕方ないじゃないですか、我々の担任だったんですから」

 「美智達が帰省してるらしいな」

 「さすがに村に知れ渡るのは早いですね。ええ、昨日、皆で飲み会でした」

 「そうか、元気にやってるか? あいつら。特に美智や功は」

 「はい。美智はタウン誌の記者だそうで、功はあいかわらずですね」

 「………………そうか。時間があるなら俺のとこにも顔を出すように言っておいてくれ」


 川辺はそう言うと荷物を手に取り職員室を出て行った。

 川辺は文芸部の顧問をしているので放課後はもっぱら図書室にいる。


 「そう言えば、美花の日記に姉と先生が一緒にいたとか」


 しかし、さすがに直接尋ねるのも、気が引ける。


 「まずは、姉の友人達に話を聞くしかないか」


 明は、昨日姉の部屋から持ち出した手帳を取り出す。

 そして、姉の会話によく出ていた 上原 高美に連絡を取ることにした。


 「深見と申しますが、高美さんいらっしゃいますか?」

 「私ですけど、深見って灯の弟さん?」

 「はい。弟の明と言います。姉のことで聞きたいことがあるんですけど………」

 「灯!? 彼女、見つかったの?」


 (やっぱり、神隠しのままか…………)


 「いえ、友人から姉の噂を聞いたので何かご存知ではないかと」

 「噂?」

 「はい、姉が生きていると」

 「知らないわ、それだったら私達に連絡があるはずよ」

 「そうですか…………。僕、姉のことを調べているんです。行方不明になった当時の話を聞かせていただければと」

 「でも、行方不明になったのは村ででしょ?」

 「はい。今どき神隠しというのはふに落ちないんです。だから、学校や寮での姉のことを知りたいんです」

 「分ったわ。私でよければ」

 「ありがとうございます。当時、姉に恋人と思われる人物はいたんでしょうか? 僕の幼馴染が市内で男性といる姿を見かけているんです」

 「いるとは聞いたことがある。でも、それが誰かは学校の人間は知らないわ。ただ……………」

 「ただ?」

 「昔から決められていた相手だとは言ってたの。だから、村の人じゃないかしら?」

 「そうですか…………ありがとうございます。あの、携帯の番号を教えるので何か当時のことで気になったことがあったら教えて下さい」


 明がお願いすると高美は心よく引き受けてくれた上、他の友人達に話しを聞いてくれることになった。


 (姉さんに決められた相手? それなら僕も話を聞いていてもおかしくないのに…………)


 明は、腕を組み考え込んでいた。

 その姿を窺っている人間がいるのにも気付かずに。

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