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蛍籠  作者: 楓
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第21話:反撃・夏美編

 「やべぇ」


 功は、枕元に置いた携帯を持ち上げるなり叫ぶ。

 美花が残したという資料を明け方まで読んでいたら、寝過ごしてしまったらしい。

 夏美と明は、仕事があるので早めに来て準備を手伝えと美智に命令されてたのでタイマーをかけていたがいつもの癖で止めてしまったようだ。

 美智のキレた姿が目に浮かぶ。


 (しまった、ただでさえ神経質になってるってのに)


 普段より何割か増しの怒鳴り声をくらうことを覚悟するしかないようだ。

 功は手早く支度をすますと母屋に周り母親に声をかける。


 「母さん! 今夜、美智の家でみんなで飲むから飯いらねー」

 「じゃあ、これ持ってきなさいよ」


 そう言って、手渡されたのは茹でたばかりの枝豆と煮物だった。


 「サンキュー。多分、帰らないから。んじゃ」


 功は、美智の家と向かう。そして地蔵堂の前まで来た時、後ろから声をかけられた。


 「功?」

 「夏美? よぉ、お疲れさん。今日は、じじばばからすぐ解放されたみたいだな」

 「何とかね。本当はもっと早く来たかったんだけど。美智に準備を任せっぱなしになっちゃって悪いことしちゃったな」

 「お前は、働いてるんだからいいんだよ」

 「功は、手伝う気なかったの?」

 「寝坊した」

 「あはははっ。怒るよ、美智」

 「だよなー。どうやって機嫌とろうかな」

 「大丈夫。明が今日は仕事終わるの早いから手伝いに行ってる」

 「明が!?」


 (うわー、なおさらまずい)


 夏美の言葉に功は頭を抱える。

 そんな功の様子を見て夏美は、どこか不満げな顔をしているがそれに功は気付かない。


 「ねぇ、功。二人は何をしてるの?」

 「は? 何の話だよ」


 功はいつもの口調で夏美の言葉を流そうとした。


 「………………ごまかさないで」

 「え?」

 「ごまかさないでよ!! 功はいつもそう、私や明には肝心なこと話さないでいつも美智と二人で決めちゃう。そんなに私達信用できない?」

 「別にそんなんじゃないって。ただ………………」

 「美花のことなんでしょ? じゃなきゃ功がこんなに熱心に何かするなんで在り得ない」

 「いや、俺だって何か熱心になることくらいあるぞ?」

 「嘘!! …………………もう十年だよ? 功はいつになったら、いつになったら他の人のことを見るの?」

 「夏美………………」

 「教えて、何をしてるの? 私達だって手伝うよ!!」


 功はいつもとは違う夏美に押されてしまう。涙を浮かべてまで食い下がってくる夏美に功は、負けを認めざるをえなかった。


 「とりあえず、美智のとこ行くぞ。話をするならそこでだ。いいな?」


 功の言葉に夏美はコクリと頷いた。



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