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蛍籠  作者:
20/119

第19話:彼女が知った秘密

 美智は、実家に着くなり居間のソファーに寝転がる。

 少しづつだけれど、十年前のことが分りかけてきていた。

 バッグから美花の日記を取り出し、昨日の続きから読みふける。

 そして、事件の一ヶ月前の日の日記が目に止まった。


 今日、図書室の書庫の整理をしていると昔の新聞記事が出てきた。その内容に私は驚いた。昔、この村に滞在していた蛍のおじさんの記事だったから。そしてその記事は、おじさんが研究室で行方不明というものだった。


 日付的に見て、この村から帰ってしばらくしてからの事件だと思う。私達にあんなに優しくしてくれたおじさんが行方不明だなんてショックだ。


 その新聞におじさんの経歴が小さく載っていた。市内にある大学の民俗学の助教授と書いてあった。この近くの民話や伝承について調べていたらしい。


 確か、祖母の所にも何か聞きにきていた気がする。けど、思い出せない。

 でも、もしかしたら蛍のおじさんはおばあちゃんが神楽を禁じた理由を知っているかもしれない。


 そうだ、来週の模試の後、この大学の研究室を訪ねてみよう。おじさんも見つかったかもしれないし、何か知っている人がいるかもしれない。


 美智は日記を読んで驚いた。確かにあの頃の美花は熱心に何かしていた。でも、まさかこんなことをしていたなんて。

 その行動力に美智は、感心した。

 もし、美花が生きていたらきっと私より遥かに優秀な記者にでもなっていたかもしれない。

 美智は日記を飛ばし、模試の日のページを見る。

 

 早速、研究室に行った。こんな事をするのは初めてだからドキドキした。

 さすがにおじさんのことを知っている生徒さんはいなかった。でも、運良くこの研究室の教授に会うことが出来た。


 最初は、不信がられたけど理由を説明して頭を下げたら教えてくれた。

 結局、おじさんは見つからず、事件は迷宮入りしてしまったらしい。おじさんがしていた研究についての詳しいことは分らないということだった。


 おじさんの資料は、すべて家族の方に渡したということだったから。これで全てが振り出しに戻ってしまう。そう思っていたら、教授がご家族に連絡を取ってくれた。


 その結果、次の休みに訪ねていらっしゃいと返事を貰うことが出来た。場所は、市内の外れで私達の村から一時間くらいの所だった。

 よし、ここが正念場だぞ!!


 「美花ってば、家族の所も訪ねていったの? すごすぎ………………」


 そして助教授宅を訪れた日の日記は…………。


 今日、蛍のおじさんの家を訪ねた。私が光泉村の出身でおじさんと面識があると伝えるとおじさんの奥さんは驚きながらも、「もしかしてこの中にあなたはいる?」と一枚の写真を見せてくれた。


 それは、私達とおじさんで川で遊んだ日に撮った写真だった。

 この双子の一人ですと答えると奥さんは「そうなのと」何かを懐かしむ表情を見せた。


 私が来訪の目的を告げると、奥さんは何冊かのノートを見せてくれた。「コピーしたい」と私が言うと「どうぞ持っていってください」と言われた。

 「頂けません」と最初は断ったけど、「必要な人に持っていて欲しい」と言われたので受け取った。

 その代わり、おじさんが何を調べたかったかが分ったらまた訪ねますと約束をして。


 「ノート? そんなものあったかしら? あの子のことだもの一緒に保管してそうだけど」


 美智は、もしかしたらまだ部屋にあるのかもしれないと思い、探しに行こうとテーブルに日記を置こうとしたのだが手がすべりノートは、床に落下してしまう。

 そして拾い上げた時、偶然に開いたページを見て驚いた。

 そこにはこう書かれていたから。


 私は、大変なことを知ってしまった。おばあちゃんが神楽を禁じる理由も分った。そしておじさんが何故行方不明になってしまったのかも見当がついてしまった。


 どうしよう、こわい、こわい、こわい。


 一つだけ言えるのは、これは秘密にしなければならないということだ。

 どうしよう、このおじさんのノートはどこかに隠さなきゃ。でも、この村で隠せる所なんてそんなにない。


 そうだ、明に頼もう。明の家ならいい隠し場所があるかもしれないし。この秘密に関わっている家なら直のこといい。


 そんな所にこれがあるなんて誰も思わないだろうから。

 でも、明にも言っちゃいけない。明が一番ショックを受けるもの。


 その日の日記はそう締めくくってあった。とても乱れた文字で。

 この秘密は、そんなにも恐怖を与える事なの?

 とにかく明にそれとなく聞いてみるしかない。


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