第18話:パンドラの箱
功と別れ、美智はとりあえずおばばの家へと向かった。
そして敷地に入ろうとした時、おばばの家の方から怒鳴り声が聞こえるのに気がついた。
「儀式前の大事な時期に山に人を入れるなんて何を考えてるんですか!!」
「別にかまわんだろう。花を供えるだけじゃないか」
「儀式前の山への立ち入り禁止は昔からの決まりごとです。母さんも元神主なんだからそれぐらい分るでしょう?」
「何をそんなにイライラしてるんだい」
「別にイライラなんてしてません」
「十年前のことがそんなに恐ろしいかい?」
「別に…………」
「だから、私達は言っただろう。あんなことはもう終わりにするべきなんだと。それをお前達が…………」
(十年前? もしかして美花の件? それにしては…………)
神主の目を見て、戸惑った。
その目はどこか血走っており、何かを恐れているようであり、それ以上にどこか狂気すらも感じられる。
この場から離れよう、そう決心し美智はこっそりとその場を離れた。
そして自宅へ向かいながら考えた。
おばばは、終わりにするべきと言っていた。ということは、神主さんの言う十年前の出来事は美花の件じゃない。
昔から続いているものということは、やっぱり儀式関連。でも、蛍狩りの儀式なんてそんなに神経質になることではないと思う。
じゃあ、この村には他にも儀式があるってこと?
何だろう、何か嫌な予感がする。もしかして自分達は開けてはならないパンドラの箱を開けようとしているのかもしれない。




