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蛍籠  作者:
16/119

第15話:意外な人間関係

 翌朝、起きるともう夏美は仕事へ行ってしまっていた。

 気まずかったのだろう、ドアの隙間にメモが差し込んであった。


 『昨日は、ごめんなさい。今日の飲みのご飯は母に頼んであるので受け取ってください。仕事が終わり次第参加するから』


 「うーん、逃げられた? まぁ、お酒が入ったほうがお互い楽に話せるか…………」


 とりあえず、今日は、美花の日記を読みつつ、広田からのデータを待つことにした。

 

 最初の日付から、しばらくは本当に他愛も無いその日あった出来事が書かれている。

 次に事件に関係がありそうな内容が書かれていたのは、二ヶ月後のことだった。


 今日は、皆で買い物をしに市内まで車で行った。

 美智が、部活用のシャツを買いに行っている間、本屋で時間をつぶすことにした。


 雑誌コーナーで立ち読みをしていた時に、川辺先生がいるのに気付いたけど、声をかけることが出来なかった。


 なぜなら、女の人が一緒にいたから。


 最初、後姿しか見えなかったけど、チラッとだけ横顔が見えて驚いたよ。

 何と、一緒にいたのは灯ちゃんだった!!


 市内の全寮制の学校に行ってるのは聞いたけど、まさか。

 明日会ったら、先生のことをひやかそうと思ってたけどやめとこ。

 だって、相手が灯ちゃんだし。とりあえず、美智にも内緒。


 「確かに、驚くわ…………」


 この日記に載っている、灯ちゃんというのは明のお姉さんである。美智達より、二つ年上で小さい頃から体が弱いってことで余り会ったことがない。

 中学からは、市内の全寮制の学校に進学したからなおさらだった。


 その灯ちゃんと一緒にいたのが川辺先生? おかしくない?


 だって、灯ちゃんは光泉高校の生徒じゃないから面識ないはずだよね。

 まぁ、二人の関係は、謎にしといたほうがいいか。


 気を取り直して日記を読もうとした時、手元に置いていた携帯が鳴った。


 「はい、広田?」

 「おはようございます。変わりありませんか?」

 「変わりなし。電話をくれたってことは、データ送ってくれたの?」

 「はい。でも、先輩が知ってることばっかりだと思いますよ」

 「ねぇ、広田は龍神の花嫁の裏バージョンって知ってる?」

 「裏バージョンですか? いいえ、知りません。どんな話ですか?」


 私は、昨日、功から聞いた話を手短に広田に話した。


 「うぇー、マジですか? 僕、その手の話は苦手です」

 「私だってあんまり好きな方面ではないわよ。でね、お願いがあるんだけどその裏バージョンがあるって説を唱えてた元助教授にコンタクトを取って話を聞いてきて欲しいの」

 「分りました。確かそのゼミに知り合いがいたはずなんで聞いてみますよ」

 「よろしく!」

 

 美智は、自分が追っていたダム工事について話を聞いてみようとおばばの家に行ってみることにした。


 そして、一応、美花の日記は持ち歩くことにした。何となく、置きっぱなしにするのが不安だったから。


 日記を手に取りながら美智は、美花の日記に書かれていた意外な人物達関係などから、もしかしたらもっと意外な人間関係がこの村にはあるのかもしれないと思った。

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