第14話:裏バージョン
この回から少しばかり残酷なエピソードなどが出るので
苦手な方は気をつけてください。
「とにかく中に入れば?」
功を部屋に招きいれ、美智は部屋に座り込んだ。
「次から次へともう。何なのよ」
「そう言うなって。確かに夏美の件は俺のせいだよ」
「本当にどうするのよ、もう逃げられないわよ?」
功は、畳に座り、壁に背をあずけて心底困り果てた声をあげる。
「………………逃げてるつもりはなかったんだけどな。でも、ああもはっきり言われると逃げてたのかなとは思うよ」
「次の恋に進むのに十年は十分な月日だと思うわよ」
「あのな、別に今までだって付き合ってた彼女はいたさ」
「あれで? あれは付き合ってたとは言わないでしょ? 単なるセフレでしょ」
「おーい、女がそんなにストレートに言うなー。…………まぁ、事実だわな」
「今回の件、私達に時間を動かせって美花は言ってる気がする」
「俺も一応この件に決着が着いたら夏美にも答えを出そうとは思ってる」
「そっか」
「だから、お前も出せよ、答え」
「何の?」
「明にだよ。いいかげん、アイツにも答えてやれ。いい答えでも悪い答えでも。じゃなきゃ、アイツだって前に進めないだろ」
「…………分ってるわよ。じゃあ、二人で決着を着けましょ。十年前の事件の」
「ああ」
二人は、お互い視線を合わせ誓い合う。
果たして、事件の決着を着けたときに私達にはいったいどんな道が開かれるのだろうか。
「で、本題に戻すけどさ。裏バージョンってどんなの?」
「ああ、あんまり言いたくはないんだけどさ」
功の歯切れの悪さからさっするにかなりの重たさを感じとれる。
「人柱って聞いたことあるか?」
「あるけど、まさか…………」
「そのまさか。人柱ってのは工事の時、神の心を和らげて完成を期するための犠牲として生きた人間を埋めたりすることなんだが。どうも、ここら辺一帯では昔から飢餓とかの時に人柱を立てていたという説がいくつかあるんだと。つまり、龍神の花嫁はその人柱。つまり生贄ではないかって話」
「うぇ、何その血なまぐさい話は」
「だから、それをカモフラージュする為にあの龍神の花嫁の話はあるんじゃないかって説を唱えていたのがその助教授なわけだ」
「でも、それって大昔の話でしょ?」
「いや、一番最近に近いのは、明治あたりじゃないかってことだけど」
「最悪!!」
「まぁな、文明開化の頃って言われてもこの辺りはまだまだ開けてない土地だったわけで、俺は別にめずらしい話ではないと思うぜ」
「裏バージョンねぇ、おばあちゃんの遺言もそれが関係してるのかな?」
「遺言?」
「うん、神楽を踊ることを禁ずるって遺言。そうそう、美花の机にね、日記があって。どうも、美花もこの村の民話とか神楽に関することとかを調べてたみたい」
「まじか?」
美智はノートと美花が残したファイルを取り出す。そのファイルをパラパラと見ていた功は、言った。
「このファイル借りていいか?」
「いいけど。日記はどうする?」
「日記はお前が読んでみてくれ。さすがに他人の俺は読めねぇよ」
「分った。そうだ、明日の飲み会忘れないでね。夏美はあんたに聞かれたこと気付いてないから」
「いつも通りでってことだろ?」
「そう言うこと。でも、なーんか憂鬱だよ」
美智の口からはつい本音が出てしまう。
明日の飲み会、何事もなく終わればいいんだけど。




