第12話:新たな疑問
美智は、早速送られてきた資料に目を通すことにした。
ざっと斜め読みしてみたが特にこれといっておかしい点はない。
どの地方でもある公共工事の一環だ。
(別にこんなもんよね、やっぱり関係は無いか………………)
諦めかけたその時、とても気になる部分が出てきた。
それは、当時の内部資料の一部だろう、村の賛成反対派の構成が書かれていた。
「さすが、編集長。どっからこんなネタを引っ張り出してくるんだか」
反対派の代表は、やっぱり深見家だ、それに神社の神主夫妻。
「賛成派は………………えっ!? 神崎のおばばが賛成派? どうして…………」
息子の神主夫妻は、反対派なのにおばばが賛成派?
どうして?
他におかしな点はないかと探していると賛成派には共通点がいくつかあった。
まず、おばばと同年代の老人達であること。次にどの人も村の長老連の一員で村の重鎮であること。そして村の祭りや儀式のまとめ役、神楽の演奏を伝える家のものだということだ。
「普通なら反対派になるであろう人がこぞって賛成派になる。これってありえないよ」
美智は、困惑した。
その時、携帯が鳴った。相手は功である。
「もしもし、美智。ちょい、気になる事が出て来たんだけど…………」
「私も」
「何か分ったのか?」
「うん。ダム建設の賛成派の代表って誰だと思う?」
「……………村長とか役場のえらい人達じゃないのか?」
「違う。神崎のおばばや長老連の人達」
「ありえなくねーか、それって」
「そう思うけど、資料ではそうなってるの。で、功の気になる点は?」
「今、ネットで情報をあさってたんだけど、『龍神の花嫁』に裏バージョンがあるっていう噂話」
「裏バージョン?」
「そう、今伝わっている話っていうのは御伽噺ように作られたもので本当の話があるらしい。それを唱えていたのが俺らの出身大学で民族学を教えてた元助教授」
「元ってことは今はいないの?」
「ああ、研究室自体はまだあるからそのゼミにいた人間なら知ってるだろ? だから今、昔のダチに頼んで調べてもらってる」
「そうなんだ。裏バージョンねぇ…………」
話ながらふと入口に目を向けると少しドアが開いている。
(私、ドア閉めてたわよね。………………誰?)
調べていることがことなのでドキリとした。
(女は度胸!!)
美智は、ドアの死角から周り込み、扉を思い切り開け叫んだ。
「誰!?」




