第111話:決心
明が部屋から出て行った後、ベッドから体を起こし座る。若干、ふらつきが残るがそれ以外に体の不調は残っていないようだ。
「何かしっくりきたような来ないような」
最初の目的である美花の死の真実を知るということは、達成できた。けど、これで良かったのかと思う自分もいる。もちろん、これ以上儀式による被害者が出なくなるという点は喜ばしいことだけど。
もしかしたら、この胸にうずまく感情が完全に晴れるということはないのかもしれない。だから、それでも前を向いて歩いて行くことが美花を含む他の被害者の為に出来ることなのかと思う。
「生きている者がしなければいけない事か」
その為には、自分の目で一つずつ確かめていかなければ。
「よし、決めた!」
美智は、ある事を決意をする。その為に行かなければいけない。
(そうと決めたら行動あるのみ)
美智は、ベッドから降りると籠にあった服に手を伸ばし着替える。そして、部屋の外へと出ると時折ふらつきながらもしっかりとした足取りで向かった。燃え落ちた社務所へと。
「広田君。美智、目が覚めたよ」
「そうですか、良かった」
診療所の病室から出た明は、玄関の外で煙草を吸う広田を見つけた。なので、彼に美智の覚醒を知らせる。すると、彼はホッとした笑顔で見せた。
その表情に明は、内心複雑な気持ちを覚える。何故ならこれまで行動を共にしていたせいか、彼の美智に対する気持ちが分かってしまったから。
「じゃあ、先輩の様子見てきますね」
広田は煙草の火を消すと吸殻を携帯灰皿へとしまい、中へと向かって行った。しかし、途中で立ち止まるとこちらを振り返る。
「明さん。これで美花の件も一応の決着がつきました。だから、いいんじゃないですか?」
「何が?」
「素直に自分の気持ちを伝えればいいと思いますよ。…………まぁ、それは美智先輩もですけど」
最後の呟きは、本当にかすかな声で明には、聞こえなかった。実は美智が目覚めた時、彼も病室のすぐ近くにいたのだ。ただ、二人の間に入っていくことが出来なかったのである。
(あーあ、失恋決定か。まぁ、正直自分の気持ちが本物なのかも分からなかったし。どう見たってあの二人は両想いだしな)
明も美智も互いに鈍いせいか、気がついてないけれど。
(まぁ、あとは自分達でどうにかしろって話だ)




