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蛍籠  作者:
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第9話:龍神の花嫁

 光泉村には、昔から伝わる民話がある。村娘に恋した龍神様とその村娘の話だ。


 昔々、光泉村に舞が上手な娘がいた。

 その娘は、村の神主の娘で神社の近くの泉の畔でよく舞の修練をしていた。

 その舞のすばらしさに泉に住んでいた龍神は、すっかり惚れ込んでしまった。そしてその舞を時折眺めることが楽しみとなった。

 ある年、村を飢饉が襲う。雨が降らなかったのだ。

 龍神は、娘が死んでしまったのではと不安だった。

 そしてある時、娘はふらふらとした足取りで泉に現れた。

 龍神は目を疑った。娘の体は、やせ細り今にも死んでしまいそうだったのである。


 「この泉に居られる龍神様、どうかこの村をお救いください。その為ならなんでもいたします」


 そんな悲痛な娘の願いに龍神は心うたれ、その姿を現した。


 「いいだろう。その願い叶える代わりに、そなたは我が花嫁になり、我の為だけに舞を踊るのだ」

 「はい」


 娘が返事をした瞬間、雨が降り出した。

 そして娘は、龍神の花嫁となった。

 これが光泉村に伝わる昔話。


 その加護は現在まで残り、この村の清流を守っていると言われている。

 <光泉村・郷土資料館より>


 そして現在、この民話は神楽となり村に伝わっている。その舞は、娘役と龍神役による舞である。

 昔からのしきたりにより、龍神役には深見家の者がそして娘役には村一番の踊り手がなる。

 本来、祖母亡き後、次の舞手は美智か美花がなる予定だった。しかし、事件の後、美智達一家はこの村を後にした。

 実を言うと祖母は亡くなる前に私達にこう言い残していた。


 「私が死んだ後、神楽の舞を踊ることを禁じる。それがお前達を守ることになる」


 そう言うと祖母は亡くなった。

 そして、両親は村長達にこの家からもう神楽の舞を踊る者は出ないとだけ報告した。それが、美花が亡くなる一年前のことである。


 功が、この村の民話や伝承が事件に何か関係しているのかもしれないと言った時、美智の脳裏にはこの事が浮かびあがった。


 関係は無いとは思う、でもまったく可能性が無いとも言いがたいのだ。

 この村には自分達に教えられていない何かがあるのだろうか。


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