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第18話 できるよ!

「ええと、妖精君。君は何ができるのかな?」


 見た目が子供に近いのでまずは丁寧に話してみる。レンがおかしそうにしているが、そちらは無視だ。


「えっとね、作るの得意だよ! あと、集めるのも! でも、まず、ご飯ください!」


 妖精が甲高い声で返事をする。言葉はわかるようなので、意思疎通に問題はない。


「ご飯だな。この実でもいいか?」

「いいの!? やったー! 三つちょうだい!」


 妖精はくるりと回って喜びを表現した。


 スキルの実でいいなら、こちらとしても助かる。維持コストが高いと聞いていたが、スキルの実三つでいいなら大したことはない。体のサイズを考えるとかなり大飯喰らいだと思うが。


「これでいいか」

「わーい♪」


 適当な実をもいで与えると、体の半分くらいありそうなそれをしっかりと抱えながら妖精が喜ぶ。


「いただきま~す!」


 そして、むしゃむしゃ凄い勢いで食べはじめた。


「凄い食べっぷりだなぁ」

「ほ、本当ですね」

「ピコも食べる!」


 俺は呆れ、レンは少し引いている。で、どういうわけか、ピコは対抗意識を持ったようだ。ちょうどいいから朝食にするか。


「早く、早く!」

「はいはい」


 鑑定しようと思ったが、ピコが急かすので、仕方なく適当にもいで手渡す。


「いたたたまーす!」

「僕、おかわり!」

「うな!?」


 ピコが食べはじめたところで妖精からのおかわりコール。本当に食べるのが早い。


 というか、おかわり? もしかして、三つという要求は三食分ではなく一食でか!


「これでいいか……?」

「ありがと♪」


 本当に大丈夫かと思いながらも実を渡すと、妖精はにっこり笑って食べはじめた。その勢いは一個目と変わらない。


 口周りをベタベタにしたピコの顔に焦燥感が広がる。


「うなっ! 勝てない……!」

「いや、対抗しなくていいから。ゆっくり食べな」

「そうだよ、ピコちゃん。味わって食べないともったいないよ」

「うな!」


 レンのとりなしで、ピコも納得したようだ。今度はゆっくりと咀嚼して「うまい!」と笑う。


「ほら、口が汚れてるぞ。綺麗にしような」

「ん〜」


 ベタベタの口をハンカチで拭ってやる。これも雑草加工術で作った一品だ。少しゴワゴワするが、まぁ使えなくもない。


「せ、先輩がお父さんしてる!」

「にひ〜」


 レンが茶化してきて少しイラッとしたが、ピコが嬉しそうにしているのでこの場は見逃してやろう。


「おかわり!」

「あー、はいはい」


 続けて、妖精が三つ目を要求。変わらずむしゃむしゃ食べる姿はちょっと異様だった。これにはノアさんたちもたじろいでいる。


「にゃ、にゃあ?」

「ニャ……」

「胃の中って、どうなってるんですかね。絶対、自分の体積以上食べてますよ……?」


 レンが口に出した疑問に、ノアたちも一斉に頷いている。妙な連帯感が生まれたようだ。


「ふぅ、食べた〜!」


 あっという間に三つ目を平らげた妖精が満足そうに笑う。恐ろしいことに、あれだけ食べたというのに体型にまったく変化がない。


「お仕事、何をすればいいの?」


 くるんと回った妖精が、俺の目の前にやってくる。普通に宙を浮いてるんだが、どうなってるんだ。まぁ、妖精だから、そんなものなのか。


「作るのが得意って言ってたけど、家を建てることはできるかな?」

「家だね。できるけどね、時間がかかるよ。あと、道具がないとうまくできないかも」


 俺の要求に、妖精が軽い感じで頷く。

 

 マジか。駄目元で言ったつもりだったのに。


「え、本当に作れるのか?」

「ゲームでは作ってましたけど……でも、どうやるんでしょうね。指示を出して、後々結果を知らされるだけなんで、実際の作業がどうなるか想像もつきません」


 レンとこそこそ話し合う。


 あの小さな体でどうやって家を建てるというのか。口ぶりからすると、魔法でポンと出す感じじゃないみたいだが。


「試しにちょっとだけ作業してくれないか」

「いいよ!」


 にぱっと笑った妖精は、ふよふよと近くに転がる木のところまで飛んでいった。


「えっとね。本当は木をまっすぐ切るんだよ。でも、道具がないから、このまま使うよ」


 妖精が両手を前に突き出し、ぬぬぬと力んだ。すると、ビックリ。倒木が少しずつ起き上がっていくではないか。


「待て待て! 一旦、その木は置いてくれ!」

「わかったよ!」


 ニコッと笑って妖精が腕を下ろすと、支えを失ったように木が落下した。どうやら念動のような力で木を動かしているみたいだ。人力でやろうとすれば、かなり大変な作業だが、それを一人でこなすとは。


「思ったよりもとんでもなかったな」

「そ、そうですね」

「よーせー、凄い!」


 これなら労働力としては申し分ない。だが、倒木をそのまま建材として使われては困るぞ。枝を落としてすらいないのに。


「道具があれば木も切れるのか?」

「できるよ!」

「こっちで板にした物を使うのも問題ないな?」

「うん!」


 なるほどなるほど。少々判断力に不安はあるが、適切に指示すれば仕事はこなせそうだ。


「となると、問題になるのは道具だなぁ」


 結局、それがないとどうにもならない。木を真っ二つにするくらいならノアにもできるが、細かく長さを揃えたりはできないからな。ちゃんとした家を建てるなら、大工道具が必要だ。


「だったら、その道具から作ってもらったらいいんじゃないですか?」


 レンが切り口を変えた提案をする。それができるなら助かるのだが。


「そんなこと、できるのか?」

「できるよ!」


 妖精はニコッと笑って頷くが、流石に鵜呑みにはできない。倒木をそのまま使って家を建てようとしていたくらいだからな。


「試しにやってもらえばいいじゃないですか。材料集めからやってもらえば、思わぬ発見があるかもしれませんよ」


 レンが重ねて言う。


 まぁ、それはたしかに。せっかく呼び出したのだから、何か仕事はしてもらいたい。それなら駄目元で頼んでみるのもありか。作業を通して、適性も見えてくるだろうし。


「よし、わかった。それなら妖精君には家づくりに必要な道具を作ってもらう。まずは素材から集めてもらうことになるけど、できるかな?」

「うん、できるよ! まずは素材だね!」


 レンの意見を採用して指示を出すと、妖精は敬礼のポーズをとってから、凄いスピードで森のほうに飛んでいった。


 さて、どうなることか。良い報告を聞ければいいんだけど。

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