15歳の母
これは実在する出来事ではありません。筆者の空想上の物語です。
スマホのアラームの音で起きた。カーテンを開ければ朝日がギラギラと部屋を照らしてくる。冷蔵庫を開け、朝食の準備をする。私は今年で15になるそこら辺の女子高生。ここまでは普通の女子高生とは変わらない。ただの真面目な女子高生だ。ここまでは、ね。私には息子がいる。まだ1歳になったばかりの。息子の名前はカズキ。自分で考えた名前だが我ながら素晴らしい名前だと思っている。カズキは中3の頃、当時付き合っていた彼氏との間にできた子供だ。そして私には両親がいない。母は小さいころに他界、父は多大な借金によって自殺。そんな私は母方の祖父母から養ってもらっていた。それ故に彼氏から愛されてもらったときは嬉しかったのだろう。初めて人からの愛情を感じて気持ちよくなっていた私は何の抵抗もなく彼との性行為を承諾してしまったのだろう。本当に後悔している。カズキが生まれてからは周囲の目が辛く、高校は中退した。はじめの頃は彼氏ともスマホでのメッセージ通信でやりとりをして彼との親とも相談し、2人で責任を持って育てようと決まった。しかし彼氏は私に何の連絡もなく引っ越した。それからパタリと連絡を寄越さなくなり、私から連絡をしても沈黙を貫き通すだけで音信不通となった。それでも私は諦めなかった。高校を中退してからは祖父母のコネで個人商店のレジ打ちのバイトをしてなんとかカズキの分も食いつないでいた。とはいえ、私はカズキを無事に育てられる自信はない。インターネットを用いて調べた結果、どうやら児童相談所に引き取ってもらえる可能性があるらしい。私は木漏れ日のようなかすかな希望を感じた。そんな決意を胸に霧がかる未来へと歩き出すことを決意した。