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愚者を仰げ  作者: 柊 要
0章
5/50




いつも見てくださり、本当にありがとうございます。



カラン、カラン、


店の扉を開けると、心地よい音が耳を打つ。

中に入ると、辺り一面が結麗な花で蔽われていた。

思わず花に見とれてしまう。

奥で音が鳴ったと思うと、胡桃色の髪を持った中性的な顔立ちの青年が扉を開けた音だった。


「おやっ!黒ローブの方々!お久しぶりですね~!」


そういいながら花が咲いたような満面の笑顔で此方に駆け寄ってくる。

この方は花屋の店長をやっている。

因みに黒ローブとは、最初会ったときに名前を尋ねられたため、

好きに呼んでいいというと、黒ローブ二人組という珍妙な名前になった。


「おや?買い物帰りですか〜?」


私たちが持っている食材いっぱいの籠を見て、問いかけてくる。


「まぁ、はい。」


「そうなんですか!いいですね〜!旬の野菜がいっぱい!!」


毎回思うがここの店長はどんな客に対しても明るい。


だからこそ人気なんだろうが…。


「今回はどんな花をご所望で?」


おっと危ない。当初の目的を忘れるところだった。

そうだな…。どれにしようか。


「白…白い、白い花がいいです」


私の後ろにいたルナが声を上げた。白い花…。確かにいいかも知れない。

まだ買ったこともないだろうし。


「よろしいですか?」


ルナが決めたからか、私に確認を取ってくれた。


「はい。大丈夫です」


「では此方へ」


案内されている間でも、沢山の花に魅了される。

黒い花や赤い花、一色だけでなく二色の花だってある。

今度はあの花を買いたいな。なんて考える。


「ゆっくりご覧ください」


花を見ている間に着いたらしかった。

店長さんはカウンターへと戻っていった。

沢山の白い花があった。彼女に会う花はどれだろう。

妹はもう決めたらしく、花を持っていた。

う〜ん.…。

これにしよ。


「はい!ありがとうございます!銀貨二枚頂戴いたします」


銀貨二枚渡すと、花を渡してくれた。


それは、とても綺麗な純白の花だった。




カラン、カラン




「ありがとうございました〜~!またの起こしをお待ちしております!」


「それじゃ、行こっか」


そういうと妹はこくり、と頷いた。

家から少し離れた場所に、沢山の花が置いてあった。

そこは墓だった。

花を添え、しゃがんでから手を合わせる。



ありがとう。何もわからない私たちを拾ってくれて。


ありがとう。大切に育ててくれて。


ありがとう。宝物をくれて。







ねえ、なんで自殺しちゃったの?母さん。



ありがとうございました。それではまた次回。

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