Ⅲ
見てくださっている方、ありがとうございます
「ねえ、姉さん。今日ちょっと人多くない?」
ポケットからメモを取り出して食材を確認していると、妹から声をかけられた。
確かにちょっと騒がしいかもしれない。
なんだろう。野菜の特売日かなんかか?と思いながら
目線をメモ用紙から放し、周りを見る。
確かに前に来た時よりは人が増えている気がする。
妙に人だかりができているところがあった。
「あれは…」
よく見ると兵士だろうか?
「なんか事件があったのかな…」
「そうかもね…。早く買い物済ませよっか」
別に個人的にはゆっくり買い物をしたいところだが、
実は今の私たちの格好は、黒いローブを着ているので、顔も隠れている。
要するに怪しいのだ。
こんな怪しいのが二人も歩いていたら疑われるに決まっている。
なぜこのような格好をしているかというと…髪色が非常に目立つからである。
桜色と萌黄色という世間からしても珍しい髪色なので、
目立ちたくないし絡まれてもめんどくさいという理由でローブを着て外に出ることにしてたのだが.....
「どうしようお姉ちゃん」
声色が焦っていた。
「大丈夫大丈夫、気配を消していけばバレない!」
そうそう、村とはいえ、人は沢山いるしね!
トマトを買おうとお店に意識を向ける。
「おい、そこのローブを被った二人組!動くな!」
見つかった。見事なフラグ回収である。
妹が恨めしそうにこっちを見てきた。ごめんなさい。
「お姉ちゃんが余計な事言うから…」
全くその通りです。すいません。
兵士たちが私たちを取り囲む。その中で隊長らしき人が前に出てくる。
鎧の紋章を見る限り、王都から配属された兵たちなのだろう。
「フードを取ってもらおうか」
と、私たちの前に立ち、剣を向ける。
「あ、あの、すみません。ちょっといいですか?」
と、声をかけると鋭い眼光で此方を見てきた。怖い。
「何だ?」
「この村で何かあったんですか?」
「…そうだな。俺たちは犯罪者の捜索を任されている」
なるほどね。犯罪者か…この人らも大変だな。
まぁ確かにこのまま渋るのも怪しがられるし、しかたないか。
フードを取る。それに合わせて妹も取る。
「これでいいですか?」
「…ああ」
少し驚いたような顔をしてから、隊長さんは剣をしまう。
「引き留めて悪かった。その髪色を隠すためにその恰好をしていたのか」
「ま、そんなところです」
と、軽く笑い飛ばしてフードを被りなおす。
「それではお仕事頑張ってください」
「ああ、ご協力感謝する」
そしてそのまま通り過ぎ、食材を買いに行く。
「よかったの?結構目立っちゃったけど…」
「いやもうあれは仕方ないでしょ…」
「それはそう」
どっと疲れが襲い掛かってきた。久々に人と緊張して喋ったからかもしれない。
早く家に帰ろう。
そう思いながら買い物を進めていくのであった。
ありがとうございました。それではまた次回。