06話 魔法習得
やっと更新できました。
僕の目標は「2年以内に魔王軍幹部を一人討伐」というものだ。
そのためには何が必要なのかと考えた。
能力?
いや、魔法だ。
もちろん能力も必要だ。
しかし、強力な攻撃手段がなければ敵は倒せない。
氷の狼討伐冒険者依頼を受けたときに嫌というほど学んだ。
できれば、敵を一掃するほどの強力な魔法が良い。
でもそんなに甘くはないみたいだ。
なんでも、冒険者はそれぞれが能力が異なる。
その項目は、
体力、力、敏捷、知力、魔力の5つだ。
魔法を使うときに最も重要なのは『魔力』だ。
言わずもがな、この数値が高くないと高火力の魔法は出ない。
それどころか、値が低すぎると魔法すら使えない。
ちなみに僕の能力は
Lv.8
体力:152 力:43 敏捷:56 知力:98 魔力:34
魔法:なし
スキル:なし
やはり全体的に弱い。
確かレナは魔法が上手だったはずだ。
魔法すら使えない。スキルとか超気になるのに。
魔法の使い方について教えてもらえるかもしれない。
さっそく聞いてみよう。
僕はレナに魔法を教えてもらうため彼女のいる場所に向かった。
なんでも今は、町の外れにある本屋にいるとのことだ。
町の人に本屋の場所を聞き目的地へ向かう。
10分ほど歩くと本屋が見えてきた。
一言で言うと四角い。
そんな建物だ。
外観は白。そんでもって内装は落ち着いた木のフローリングが施されている。
僕は一瞬でこの店が好きになった。
「レナ〜。いるの〜?」
「「静かにしなさい、坊や!」」
店の店主らしき人に起こられてしまった。
大きい声は出せないので店の中を回ることにした。
それにしても、中は相当広い。
一体何冊の本が置いてあるのだろうか。
当然だが僕が知っている本は何一つなかった。
見た感じおとぎ話の品揃えが豊富である。
さすが異世界だな。
おとぎ話の本棚を過ぎたところにレナはいた。
何やら本を読んでいる。
「ねぇ、レナ。ちょっとお願いしたいことがあるんだけど、いい?」
僕は小さな声で声をかけた。
彼女はきれいな声で静かに答えた。
「内容にもよるけど、何?」
そう言われたので僕は理由を説明した。
魔王軍幹部を倒したいこと。
そのために魔法を覚えたいということ。
「事情はわかったわ。でも、あまり期待しないでね?」
「それまた、どうして?」
「魔法を習得できる人は決まっているの。もともと習得できる魔法の種類も決まっている。まずはそれを確かめないといかないんだけど、ここじゃできないから場所を変えよっか。」
そういって、「ちょっとついてきて。」といい町の外へ来た。
地平線まで広がる緑の世界。
近くには大きな川もある。
川の向こう岸では農業をしている。
穀物を育てているのだろうか。
しかし、どうしてこんな場所なんだ?
別にこんなに広い必要なんてないんじゃ...。
と、思ってた矢先に。
レナが魔法の詠唱を始めた。
『我が力は無限にして、絶対。我が意志は不屈にして不滅。爆炎之王。哀れな我に力を貸せ。この一撃にかけるのは、我の魂全て。燃え盛れ、爆炎の業火よ。爆裂爆炎!』
魔法を言い終えると、100mほど離れた場所に魔法陣が展開された。
最初に展開された魔法陣はとてつもなく大きい。
その上には一回り小さい魔法陣。
更にその上にも一回り小さい魔法陣。
計8個の魔法陣が円錐形に展開された。
そして、轟音とともに魔法陣から半径50mは消滅した。
僕達がいる場所にもその威力は伝わってくる。
目を瞑ってしまうほどの光。
身震いするほどの地響き。
汗が吹き出てくるほどの熱気。
思わず耳を塞ぎたくなるほどの轟音。
一瞬の出来事だった。
たった一瞬で直径100mのクレーターができたのだ。
中心部分は、岩が溶けたのか赤い液体が溜まっている。
これをレナがやったのか?
信じたくないが信じるしかない。
思ったが、レナって実はすごいやつなんじゃね?
そう思っていたら、
「どう?私ぐらいになるとこんなのもできるんだけど。褒めてくれてもいいのよ!」
と、無い胸を張って(←超失礼!)ドヤ顔で腰に手を当てていた。
反応に困るがとりあえず褒めてみた。
「僕も今のできるようになりたい!」というと、
「今のタクヤじゃ微塵の可能性もないけどね。」とあっさり断られた。
「じゃあ、僕ができるくらいの魔法ってあるの?なるべくかっこいいやつ。」
そう、男ならかっこいいというのは非常に重要だ。
なんせ、爆発魔法なんて男の浪漫でしか無い。
多分。
「なら、タクヤにもできそうな魔法教えるね。」
そういうと、魔法名を教えてくれた。
火の爆弾というものだ。
名前の通り、火の爆弾を出せる魔法。
威力はさっきのに劣るが、それでも1mぐらいのものなら破壊できる。
一番難易度の低い爆炎魔法なのに威力が高い。
しかもこの魔法、無詠唱で魔法名を言うだけで発動できるみたいだ。
練習すれば、魔法名すら言わないでも発動できる。
本当に有能すぎやしないか?
早速魔法を試してみることにした。
魔法を初めて発動させる上で重要なのはイメージらしい。
妄想が得意な僕の得意分野だ。(←可哀想...。)
イメージするのは小さな火の玉。
しかし、それだけじゃだめだ。
もっと熱く。
もっと大きく。
もっと赤く。
そうイメージすると僕は唱えた。
『火の爆弾!』
僕は右手を開き、そして伸ばした。
左手は右手の肘に添えてある。
すると、右手の手のひらに何かを感じる。
右手には熱さを感じないが右手以外は感じる。
そして、その熱いモノはどんどん大きくなる。
手のひらからはみ出ようとしたその時。
手のひらから火の玉は離れた。
そして、真っ直ぐ飛んでいく。
的にしていた20mくらい離れた木に直撃した。
せいぜい木に傷を付ける程度だろう。と思っていたがそれどころではなかった。
木の幹に当たった火の玉は、木の幹を貫通した。
信じられない。
木の幹に風穴を開けた火の玉は穴を抜けた後勢いよく爆発した。
その衝撃で周りの木2,3本が吹き飛んだ。
レナもその威力に驚いているようだ。
彼女の見立てでもせいぜい木に傷を付ける程度かと思っていた。
しかしそれ以上威力だった。
その原因として考えられるのは何個かある。
1つ、僕のイメージのスケールが大きすぎた。
2つ、なんらかの特殊な力が僕にある。
3つ、僕には魔法の才能がある。
レナにも聞いたが、おそらく1つ目と2つ目が要因であろうとのことだ。
今まで僕がしてきた妄想は無駄じゃなかったんだ。
そう思っても虚しいだけだった。
魔法の才能があるかも、というのは結構珍しいそうだ。
1万人に一人いるかいないからしい。
上級冒険者と言われる者たちでさえ魔法をうまく扱えないのもいる。
そう考えると結構すごいことみたいだ。
とりあえず今日の魔法練習は引き上げることにした。
魔法初心者がバンバン使っていたら、魔力が尽き倒れてしまうらしい。
僕達二人はハンナさんの仕事場に戻ることにした。
向かってる途中、レナが僕に質問してきた。
「タクヤ、本当に魔法を使ったことがないの?
今日の貴方を見ていたら、とても初めてには見えなかったんだけど。
何かコツとかある?」
「そんなの僕が知りたいよ!」
そんな会話をしていたらあっという間にカフェに着いた。
ハンナさんは僕達二人に「おかえり」と言ってくれた。
そして、3人で夜ご飯を食べ始める。
ご飯を食べてる途中、ハンナ3に今日の出来事を話した。
魔法の練習に行ったこと。
レナの魔法がすごかったこと。
僕が初魔法に大成功したこと。
ハンナさんは僕に一言だけアドバイスをした。
「いい、タクヤ。あんまり魔法を外で使わないほうが良いよ。
魔法を扱えるものはそういない。妬まれる対象になりやすいの。
上級魔法を操れる人が裏路地で惨殺されるっていうのも少なくない。
だから、気をつけてね。」
なんて物騒なんだ。
僕は気をつけようと心で誓った。
裏路地で惨殺されてオシマイなんて嫌だ。
転んで頭打って死ぬくらいに嫌だ。
「ハンナさん。教えてくれてありがとう。気をつけるね!」
僕はそう言うとハンナさんは嬉しそうに答えた。
「タクヤがいなくなったら私が仕事をサボったとき誰かするんだよ。
だから死なないでね☆。」
この彼女のの発言がなければ僕の彼女へ対する評価は高いままだったのに。
この発言で、彼女に対する評価は随分下がった。
こうして僕は魔法、『火の爆弾』を覚えた。
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冒険者:タクヤ
Lv.8→9
体力:152→167 力:43→45 敏捷:56→63
知力:98→112 魔力:34→129
魔法:火の爆弾:火の玉の爆弾を打ち出す。
スキル:なし
やっと、異世界らしい展開になってきました。
次回あたりに戦闘シーン書きたいです。
今日中に次話更新できるかも。できなかったらスマソ。
次話もよろしくおねがいします。