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04話 レナ  前編

今回はレナと出会った場面だけ書くことになって、少し短くなってしまいました。すいませんm(_ _)m




 僕は、『レナ』と出会った。

 それはとても偶然の出来事だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 「僕の名前は、北見卓也。タクヤって読んでくれ!」


 「私は、レナ。助けてくれてありがとう。」


 ()()は今ひたすらに走っている。

 それは何故かって?

 

 レナが何者かに追われているからだよ。

 レナ本人はどんな人達なのかは知っているかもしれない。

 でも、そんな事考えている余裕なんてない。

 僕は少し焦っている。 

 何故か、レナの方が僕よりも脚が速いのだ。

 僕は結構足の速さには自身のある方だった。

 だけどそんな僕を彼女は圧倒するほどの速さだ。

 

 「タクヤ。大丈夫?」


 「うん。なんとか...。」


 息を一切切らさず、僕のことを心配するくらい余裕があるみたいだ。

 しかし、僕は全然大丈夫ではない。むしろ、だいぶまずい。

 このままのペースで走り続けたら間違いなく10分も持たないだろう。

 そしたら、彼女の足を引っ張ってしまう。 

 そうならないためにどうにかして追手を撒かなければならない。 


 でも、どうする?

 僕はここらへんの土地勘はあまりない。

 レナはどうなのだろう?

 いや、こんな時に女の子を頼ってどうする。

 僕がなんとかするしかない。


 とりあえず、闇雲に曲がったりしてみてはどうだろう。

 相手側もだいぶ疲れているように見える。

 僕と接触するずっと前から走り続けていたのだろうか?

 闇雲に曲がる案を僕は採用することにした。


 「レナ!あいつらを撒くために曲がり角があり次第曲がろう。相手を撹乱させるんだ!」


 「う、うん。タクヤに任せるね!」


 任された。

 そう心で言うと、早速行動に出る。

 まずは右に曲がる。

 次も右だ。

 二回連続で同じ方向に曲がることで、相手の死角が多くなる。

 それを利用するのだ。

 

 現にそれで僕は撒かれたことがある。

 小学校の時、美月達とした人生最初で最後の町内鬼ごっこ。

 僕の住んでいる町内は曲がり角が多い。 

 なので、二回連続で曲がられると相手の姿が見えなくなってしまうのだ。

 僕はそれが悔しくて、以来鬼ごっこをしていない。

 誘われても「絶対にやらない!」といって拒んできた。

 

 その経験が今役に立っている。

 男たちはみるみる引き離されていった。

 しかし、それだけではだめみたいだ。

 しつこく追いかけてきている。

 しまいには周囲に向かって「そのガキ二人を止めてくれ!」なんて言う始末だ。

 

 走っている途中、もう一つの打開策が脳裏に浮かんできた。

 曲がったらすぐに店に入るのはどうだろう。

 今は、だいぶ距離がとれたので店に入ったと勘付かれないだろう。

 それに、もう少しでハンナさんのいる仕事場。

 そこで少し匿ってもらおう。

 そうと決まれば実行しよう。


 僕はレナにその考えを教えた。

 もしも、だめだったときの策略を決めてからなら大丈夫だとのこと。

 それならやるしかない。

 僕達は(←後に分かったが僕だけだった。)残りの力をありったけ出す。

 そして、ある程度追手との距離がとれたのを確認したら、作戦実行だ。


 あの角を曲がればハンナさんの仕事場。

 

 「レナ!あそこの角を曲がったらすぐ建物の中に入るよ!」


 「分かった、タクヤ!」


 僕達は角を曲がりそのまま店内へと入った。

 追っても角を曲がってきた。

 しかし、作戦通り相手は気づいていない様子。


 うまくいった。

 僕は不安に押しつぶされそうになっていたからか、急に足に力が入らなくなった。

 そして、情けなくも地面に膝をついてしまった。

 そんな僕をレナは不安そうに見つめてくる。

 

 「レナ、怪我はない?」


 満身創痍な声で僕は質問した。

 けれど、予想を裏切るような返事が聞こえた。


 「私は、大丈夫。タクヤこそ大丈夫なの?」


 ぐうの音も出ない。

 それほどまでに僕は疲れていた。

 でも、レナが無事でよかった。

 今日あったばっかりの子だけど僕が助けてあげられたのだと思うと嬉しい。

 

 しかし、疲れていようがまだ僕がやらなければならないことがある。

 それは...。


 「ちょっと、タクヤ〜。女の子連れ込んで何する気〜?」


 この人をなんとかしないといけないのだ。

 なんでこういうときに限って店にいるんだ?

 今日は定休日のはずなのに。

 

 「別に連れ込んでなんかないし。ただ、この子を助けたて...。」


 自分で言ってて恥ずかしい。

 顔が赤くなったのを見てハンナさんはニヤニヤして口を動かした。


 「助けたくて?何?もしかして、エッチなことでもしようとしてた??」


 「「してません!!」」


 今度は僕達二人が反応した。

 流石にレナも我慢の限界みたいだった。


 「だいたい、私はこの人と面識なんて全く無いんですよ。そもそも、タクヤとは今日出会って、成り行きで助けてもらったことになってるけど全然助けなんて求めてなかったし、むしろ助けてもらわなかった方が早くあいつらを撒けたかもしれないのに...。 ごめん...言い過ぎた。 でも、今日出会ったばっかって言うことは本当だよ?」

 

 恐ろしいほどの早口である。

 よくそんなに早く口が回るなと感心するほどだ。

 しかし、言っていることは少し気になる。

 助けないほうが良かった?


 フザケルナ!

 僕はできる限りのことをした。

 良かれとやって行動した。 

 それが「僕がいない方が早く撒けました。」なんて。

 嘘でもありがとうって言ってほしかった。


 すねている僕を見てレナは声を変えてくれた。


 「ごめんね。でも、助けてくれてありがとう。許してくれないの?」


 や、やめてくれ。

 銀髪美少女の上目遣いとか。

 僕のドタイプなんだぞ!

 でもこんなの許すしかない。


「許すよ。だけど、条件がある。これから僕と一緒に行動してほしい。」


 彼女はその深紅の瞳を大きく開き言った。


 「うん!これからもよろしくね。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





        こうして少女『レナ』と出会ったのだった。









 








 






我ながらタクヤの単純さに呆れています。(←書いた本人が何を言う)

次回は何故レナが追われていたのかについて書きたいと思います。

多分、だいぶ長くなるので明日更新できるか怪しい...

次回も是非読んでいってくださいね〜

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