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02話 武器調達

戦闘シーンは今回なしですいません。次回かその次くらいまでお待ち下さい!




 僕が異世界に来て一週間が過ぎた。

 しかし、進展は全くと言っていいほどない。

 強いてゆうなら、土木工事によって体力のアビリティが上昇したくらいだ。

 僕はこの世界を半ばあきらめかけている。

 それはどうしてかって?

 そんなの決まっている。

 モチベが全く無いのだ。

 魔王を倒して英雄になる?いや、なってどうする?

 富、地位、名声が手に入って何になる?

 

 そんなことを考えるのも正直無駄だった。

 今は生きることに専念するほうが大事だ。

 一週間で仕事を見つけ、生きてこられたのはギリギリ及第点だと僕は思う。


 「あんた、冒険者なんだからモンスター狩り行かないのかい?」


 岩妖精(ドワーフ)のアスラさんが言った。

 彼女は僕を雇ってくれているいわば命の恩人である。

 しかし、時々見せる優しさとは裏腹にとってもキツイ仕事を押し付ける。


 ー今日はこのあたり一面を2m掘り下げるんだよ!ー

 ー今日はここらの木をすべて切り倒すんだよ!ー

 ー今日は倉庫の荷物を移動させるよ!ー


 こんな調子で毎日とんでもない量の仕事をさせられている。 

 正直もう転移前に帰りたい。

 

 しかし、モンスター狩りというのも興味深い。

 話を聞く限り、結構お金を稼げるしアビリティやLv.も上がるらしい。

 本音を言うと、この世界に来て異世界っぽいことは何一つとしてやっていない。

 だからというのもあれだが、僕はモンスター狩りに行くことになった。


話によると、ギルドにある冒険者依頼(クエスト)を受けてその報酬をもらうという形らしい。

なので、早速ギルドに向かうことにした。 


 ギルドに向かう途中は色々な人から声をかけられた。

 しかしなぜか、「強く生きろよ!」とばかり言われる。

 ここではそういうのが流行っているのだろうか。

 

 そんなことを考えていたらすぐにギルドに着いた。

 扉を開け、受付へと進む。

 昨日とは違う受付の人だったが気にせず声をかけた。


 「冒険者依頼(クエスト)を受けたいんですけど、難易度低めのありますか?」


 「難易度が低いのはありますが、丸腰で挑まれるのですか?」


 僕は、一瞬何を言われているのかがわからなかった。

 腰にはしっかりと剣が入って...

 

 いいや、入っていない。

 そういえば、この世界に来て防具屋なんて行ったことなんてない。

 そもそも、最初から手に持っているものだとずっと勘違いしていたのだ。 

 

 「武器ってどこで買えるんですか?」


 受付の人は優しく、そして丁寧に防具屋の場所を教えてくれた。

 武器を買う上で大切なこと。

 費用はどのくらいかかるのか。

 本当にゼロから教えてくれる。感謝の言葉しかない。

 一通り説明が終わったので僕は受付をあとにした。

 そして、なけなしのお金を握りしめ防具屋へと向かっていった。 




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 


 教えてもらった防具屋の一軒目にたどり着いた。

 そこは、古き良き昔ながらの店という感じがする。

 しかし、この店には看板がない。

 少し不思議に思いつつも、早速中に入ってみることにした。

 

 しかし、すぐに追い出されてしまった。

 なんでも、僕が買うにはまだこの店は早すぎたみたいだ。

 扉を開けてすぐ。

 「お前みたいな貧乏人に売る武器なんざねえ!とっとと帰りやがれ!」

 と言われた。

 貧乏人というのは否定しないが、はっきり言われると少し傷付く。

 店の前に立ち尽くしていると、「さっさといけ」と言わんばかりの視線が送られた。

 僕は仕方なく店をあとにした。


 次は二軒目である。

 一軒目にすぐに追い出されてしまったこともあり、少し慎重になっている。

 この店は、さっきの店とは違い看板があった。 

 看板には、現地の言葉で『名無しの防具店』と書いてあった。

 不思議な名前である。

 扉の前でおどおどしている僕に気づいたのか店員さんが声を掛けてくれた。

 

 「武器、買いに来たのかい?それなら早く入りな。」


 すごい優しい人だ。

 年齢は60歳くらい(?)の女の人だ。

 多分、僕と同じ人間だと思う。

 しかし、さっきの店とは店の雰囲気がぜんぜん違う。

 きれいなショーケース。おしゃれな壁紙。

 そして、店員さんの優しさ。

 前の店とは何から何でも違う。


 「何を探してるんだい、坊主。」


 「駆け出しの冒険者におすすめの武器ってありますか?」


 僕は店員さんに詳しい事情を説明した。

 つい最近冒険者になったばかりなこと。

 ついさっき、別の店で追い出されたこと。

 おばさんは僕の話を最後までしっかり聞いてくれた。

 そして、

 

 「これなんてどうだい?駆け出しにはおすすめだよ。」

 

 おばさんが勧めてくれたのは漆黒の短刀。

 僕は一瞬でこれだ!と思いとっさに「これください!」と言っていた。


 「これは100000ヘルティアだけど、あんた出せるのかい?」


 僕は、ポケットの中身を確認した。

 そして、汗がドッと出てくる。

 51000ヘルティアしかないのだ。道端で串肉なんて買ったからだ。

 慌てふためいている僕を見ておばさんは言った。


 「50000で良いよ。あんた、お金ないんだろ?将来うちのお得意様になってくれればそれでいい。」

 

 「いいの?おばさん。」


 「私はまだおばさんじゃない!!」


 「ごめんなさい...。」


 少しおばさんに怒られた。

 なんで女性は年齢に関しては厳しいのだろう。

 それにしても本当にこの店の人は人が良すぎる。

 何度もお礼を言い50000ヘルティアを支払い、店をあとにした。


 「やっったぁああああああ!」


これで僕も立派な冒険者の一員だ。

そう思っていた自分がいた。

いざ、冒険者依頼(クエスト)の場所へ向かうとそこは地獄だった。

氷の狼(フロスト・ウルフ)と呼ばれる白い狼が冒険者を一網打尽にしていたのだ。

冒険者依頼(クエスト)内容は、ここら一帯に住み着いている氷の狼(フロスト・ウルフ)の掃討だ。

こんなの、僕が受けるべきものじゃないと現場についてから知った。

しかし、帰るわけには行かない。

異世界初めての冒険者らしい仕事だ。

途中で放り出すなんて許されない。いや、自分が許さない。

僕は勇猛果敢に狼の群れに突撃した。 

そして、無惨にも引っ掻き回され傷だらけでアスラさんの仕事場に戻るのだった...。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「あんた、情けなくないのかい?初仕事でそんなにボロボロにされて。」


 もっともな感想である。

 僕は何も言えずずっとうつむいていた。

 今日は心も体もズタボロにされた。

 世界の生きづらさ。

 世界の過酷さ。

 自分の非力さ。

 僕は異世界生活開始一週間で心が折れた。

 これも、引きこもりだった反動なのか?

 しかし、僕にはそんなことを考える余裕の一つもない。

 今はアスラさんの仕事をこなすので精一杯だ。

 それすらもままならないほどに疲れていた。

 そして、仕事を終えると初めて宿をとり部屋に入るなりすぐ眠りについた。

 今まで寝ていた馬小屋とは違いフカフカのベッドで眠るのは転移以来。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 カーテンの隙間から日差しが入る。

 まぶた越しにも伝わる日の暖かみ。

 時計を見ようと思ったが、この世界には時計はない。

 みんな、太陽の高さを見て行動している。

 バリバリの現代人からしたらとっても辛い世界だ。

 

 ーコンコンコンー


 「はーい。」


 「タクヤさん、時間です。」



 宿の主人だ。

 宿を閉める時間になったので声を掛けに来たらしい。

 僕は迷惑にならないように素早く準備をした後、宿からでた。




 宿を出ると外は雨。

 ジメジメとした仲、一人の少年は暗い気持ちで新しい一日を迎えるのだった。

 














読んでいただきありがとうございます。

次回は明日、明後日くらいに投稿できると思います。

次もお楽しみに〜〜!

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