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19話 連れ去られた少女



 彼女は報告を終えると、竜の姿ではなく人の姿へと戻る。

 余程、急いで飛んできたのかシオンが息を切らしている。

 そんな光景めったに見れないが、一体どういうことだ?

 すぐに戻れだなんて

 

「なあ、シオンどういうことだ?急にもどれだなんて…。」


 息を整え、深呼吸をする。

 そして、シオンは口を動かし始める。


「落ち着いて聞くのじゃ。レナが、王都へ連れ去られた。」


 どういうことだ…。

 レナが連れ去られた、だと?

 僕は一瞬思考停止してしまったが、すぐに我に返る。

 

「シオン、詳しく状況を聞かせてくれ。」

「了解じゃ。ここではちと話しづらい。場所を変えよう。」


 そう言うと、シオンは人化を解き(ドラゴン)の姿へと戻った。

 そして、私の背中に乗れと言わんばかりの高さまで腰をおろした。

 アキネも一緒に乗るかと思ったが、人化を解いていた。

 多分、シオンには乗りたくないのだろう。


「それじゃ、出発するぞ。ちと速いかもしれぬ。妾にしっかり掴まっておけ。」


 刹那。シオンは一気に加速し大空へと舞い上がった。

 高速で飛行しているせいか、風が強い。

 正直、高度が上がり始めて結構怖い。

 眼下には、バラーラダモスの町が広がっている。

 その先には、農耕地帯が見えている。

 ホント、この世界は平和だと思っていたが…。


 

 僕が1時間かけて走った距離をシオンはたったの5分で走破してしまった。

 しかし、本当にどういうことだ。

 レナが攫われるなんて、なにか理由があるのか…?


 そして、ハンナさん達がいる建物についた。

 シオンは降り立ってすぐ、人の姿へと戻る。

 やはり、この姿の方が見慣れているので見ていて落ち着く。

 そんな事を思っていたら、ハンナさんが口を開いた。


「タクヤ、シオンちゃんから聞いていたと思うけど、レナが攫われた。いや、()()()()()という方が正しいかも。」

「レナが、連行…?一体、彼女が何をしたって言うんだよ!」


 そして、ハンナさんは事の発端を語り始めた。


「タクヤは知らなかったかもしれないけど、この際だから言うわ。

 実は、レナは貧民街出身なのよ。それは何の問題もないかと思うかもしれない。

 だけど、それは大きな間違いなのよ。この国では、貧民街出身の冒険者を認めてない。

 しかも、貧民街出身で冒険者になったら最悪、死刑。

 この国では何故か、貧民街出身というだけで、息苦しいの。」


 知らなかった。

 レナが貧民街出身だなんて。

 でも、なんで貧民街出身だからって捕まるんだ?

 正直、レナの魔法はスゴイ。

 そんな逸材を自分から切り捨てる行動に出るなんて。

 いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。

 彼女を助けに行かないと。

 でも、どうやって…?


「そこで、私達はレナを救出しに行こうと思うの。」

「一応聞くけど、何か対策ってあるの?」


 僕がそう聞くと何故か得意げに首を大きく縦に振った。

 どうやら、戦力になりそうな人に宛があるそう。

 それに、僕達には上位の炎之竜(ファイヤードラゴン)が数体いる。

 戦力的には問題はないそう。

 

 しかし、1つだけ懸念点がある。

 どうやってレナを救出するかだ。

 昔から、反乱等数多く鎮圧してきたアミーゼ。

 今回の救出作戦において一番の障壁となりうるのが騎士団の存在らしい。

 通常、騎士団に連行されていった人々は王都内のとある刑務所に収容される。

 しかし、貧民街出身の者は違った。

 王城の地下に収容されるのだ。


 王都内の刑務所の警備は正直ガバガバ。

 こちらの戦力に比べればないと言っていい程のもの。

 しかし、王城は違う。

 多種多様の監視体制。

 その監視力は凄まじく、過去に一度しか突破されてないそう。

 もし、一人の騎士にバレでもしたら詰み。


 大量の騎士団員が侵入者のもとに駆けつけ即刻殲滅される。

 おそらく、見つかった瞬間退却せざるをえなくなる。

 そうなってしまえば、レナ救出作戦は完全に実行不可となる。


 僕達は色々話し合った上、過去に突破したことのある人を訪ねる事にした。

 もしかしたら、協力してくれないかもしれない。

 しかし、今はそんな悠長な事を言っている場合ではない。

 最悪、死刑と決まれば即効実行される。

 もし、そうなってしまったら…。 

 そんな事は考えたくもない。

 今は一刻を争う事態だ。

 なるべく早くその人の元へ行かねばならない。

 

 その日の遅く、僕達はバラーラダモスを出発した。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








「いい加減に、しろ!お前は貧民街出身なんだろう?」


 拷問官なのだろう。

 私を痛めつけて、吐かせようとしてくる。

 けれど、そんなのに屈する訳にはいかない。

 以前とは違い、今は仲間がいる。

 

「私は、貧民街で生まれてなんかいない!」

「そうかそうか。まだお仕置きが足りないようだな。」


 そう言うと、拷問官と思える男は部屋の外に行く。 

 そんな時、レナは思ってしまった。

 助けてほしいと。

 だめだ、そんな弱気になってはダメだ。

 なんとか自力でここを脱出しなくては。

 そう思い、あたりを見回す。

 幸運なことに、近くには小さなナイフがあった。

 よし、これでここを脱出して…、


「変な気を起こそうとするなよ?」


 部屋の隅から何やら声が聞こえた。

 全く気配に気付けなかった。

 一体何者だ、と思ったが少女は戦慄する。


 そこにいたのは、この国最強にして最恐の男。

 数々の、凶悪事件を起こし処刑されたと聞かされていた男。

 そして、男はゆっくりと立ち上がる。


「俺もなぁ、女を痛ぶる趣味はねえんだ。」


 そう言いながら近づいてくる。

 レナは恐怖のあまり正気を失ってしまった。


「やめて。来ないで。やめてぇええ!!」


 少女の抵抗虚しく、男はレナの横腹を思いっきり蹴る。

 足がレナの腹に当たった瞬間、骨が折れるような音がする。

 そして、少女の意識はゆっくりと薄れていった……


読んでいただきありがとうございます。

順調にPVが増えてきて嬉しい限りです。

これからもよろしくお願いします〜!

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