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01話 異世界での洗礼

本編が開始いたしました。

タクヤの運命はどうなるのか?

最後まで読んでいってください!



 「おい、兄ちゃん。ボケっとしてないでさっさと体動かせ、()!」


 「どうしてこうなったぁああああ!」


 強面の女の人に怒鳴られ、体を一秒前よりも早く動かす。

 全身の細胞が悲鳴を上げている。

 「動きを止めて!」「このままじゃ死んじゃう!」と、体中から聞こえてくる。

 そうだ、僕は今非常に疲れている。そして、戸惑っている。

 どこに行ってしまったんだ。

 僕の華々しい異世界生活は〜〜!

 


                  

                ー約一週間前ー


 「異世界転移〜〜〜〜〜〜!?????」


 ありえないくらい大きな声が出た。

 なぜそんなに大きな声が出たって?それは驚いていたからだ。

 でも、きっと悪いことばかりではない。

 その時はそう考えていた。

 異世界転移できたということは、この世界には何か特別な設定があるはずだ。

 とりあえず。この世界での僕の立ち位置を確認することにした。

 

 転移初日、僕は自分が転移した場所の散策をすることにした。

まず分かったことがいくつかある。ここがアミーゼという国のバラーラダモスという大きな宿場町ということ。そして、この世界には異世界では定番の『地下迷宮(ダンジョン)』があること。さらに、魔王がこの世界を牛耳っている。世界は、魔王を倒し世界を救う『英雄』を待ち望んでいるといることも。

  

といっても、僕は転移したばかり。何がなんだかよくわからないが、長年ヲタクとして過ごしてきた勘が働き、冒険者が集まるいわば『ギルド』なるものを探すことにした。



 しばらく歩いてみると気づいたことがいくつかある。

 この世界には様々な種族が存在する。

 すれ違う人々の中には、森の妖精(エルフ)や、人間、岩妖精(ドワーフ)までいる。

 他にも様々な容姿の種族がいる。さすが異世界。


 「おい、兄ちゃん。どうしたんだい?そんなにあたりを見回して。」


 背後から急に、図太い声がした。

 振り返ってみるとそこにはガタイの良い一人の岩妖精(ドワーフ)がいた。

 すこし、戸惑いながらもしっかりと返事をした。


 「冒険者になりたくて、ギルドを探しているんですけど。場所、教えてくれますか?」


 「あぁ。駆け出しか。この道をまっすぐ行って突き当りを右に曲がったらあるぜ。」


 「ありがとう。」


 さっさと行け。と言わんばかりのキツイ視線を僕に向けてきた。

 引きこもりにとって外界は魔境である。そんなことを思いつつも言われたとおりに行った。



 「ここがギルドか〜〜。」


たどり着いたその先には、年季の入った決して大きいとは言えない建物があった。

入ろうとするが気が引ける。

場違いではないのか。

入った瞬間に締め出されるかも。

もしかしたら身ぐるみを剥がれて…。

いや、そんな大層なもの僕は持っていない。

不安もあるが、思い切って扉を開いた。

そこには、夢と希望が詰まったような世界が広がっていた。


 ー昨日大変だったみたいだなー

 ーいや、そんな事あるよー

 ーくぅ〜。やっぱ冒険のあとの酒は一味違うな〜!ー

 ーここんとこ冒険者依頼(クエスト)、難易度高いのばっかでいや〜!ー


あちこちで、冒険者の声が聞こえる。ゲームヲタクの僕からすれば最高の空間だ。 

やっぱ、異世界生活はこうじゃなくっちゃ!と、思ってた矢先。


 「よぉ、坊主。見慣れない顔だな。どっから来たんだ?」


 「...ぁあ...。」


 びっくりして声が出なかったが、深呼吸をして答える。


 「僕は、北見卓也。『日本』から来ました。」


 すると相手の冒険者は眉間にシワを寄せ近くの仲間に話しかけた。


 ー日本なんて地名あったか?ー

 ーそんな場所知らねえよー


 当然だ。

 僕は日本から転移してきたのだ。この世界に日本という地名はあるはずがない。

 しかし、どうしたものだろう。明らかに怪しまれている。

 「こいつ、嘘でもついているのか?」「頭おかしいだけじゃね?」

 そんな会話がそこらじゅうから聞こえてくる。


 「あの〜。冒険者になれるのってどこですか?」


 ーフハハハ。そんなこともわかんねえのかー

 ー受付で登録するんだよー

 ーあの坊主、どんな能力なのか気になるなー

 

 僕は、教えてもらったとおり受付まで行った。

 本当にこの世界では知らない一に助けてもらってばっかりだ。

 受付には、一見気難しそうな森の妖精(エルフ)だったが優しく話しかけてくれた。


 「新規登録の方ですか?登録なのでしたら、お名前をお書きください。」


 そう言われ、紙と羽ペンが渡された。

 渡された紙を見ると『冒険者登録用紙』と書かれていた。 

 注意書きとかがたくさん書かれているが、あえて読まずに名前を書こうとした。

 しかし、僕はこの国の言葉が分からない。

 どういう風に書けば良いんだ?

 日本語でも大丈夫なのか?


 「名前って、この文字でも大丈夫ですか?」


 職員の森の妖精(エルフ)は不思議そうにこちらを見つめつつ、優しく説明してくれた。

 冒険者名とは、自分の冒険者としての名前であり本名ではなくても良いらしい。

 こういうのは結構大事そうな気がする。 

 しかし、僕には名前を考えるセンスの欠片もない。

 考えた末紙に、『タクヤ』と書いた。

 どこもひねらず自分の下の名前を書いた。

 

 「はい。お書きいただきありがとうございます。これで、貴方も冒険者の一員です。職員、冒険者一同貴方を心より歓迎いたします。」


 すると、周囲からドッと歓声が沸いた。

 あるものは、歓迎するという。

 あるものは、駆け出しがという。

 あるものは、頑張れよ坊主という。


 そして、僕はその声援に答えるかのように叫ぶ。


 「いっちょやったるかぁあああ!!」


 「そうだ、坊主。お前はどんな能力の持ち主なんだ?気になるから教えてくれ。」


 と、いかにも歴戦の戦士と言わんばかりの男が近づいてきた。

 そして、僕が受付の人からもらった紙を見るなりこう言った。


 「珍しいな。能力がない?でも、スキルが発現してしている。見たことないな。」


 っえ?能力が...ない?

 そんな展開ってありなんですか??

 異世界転移って言ったら何かすごい能力とかあるものじゃないんですか?

 能力なくて、しかもLv.1?

 初期の段階でLv.1って相当珍しいみたいだけどなんで?

 僕って、こっちの世界でも負け組なんですか?

 と、自暴自棄になっていると一人の少女が近寄ってきて、こう言った。


 「いくら、最初が弱くても努力次第でどれだけでも強くなれるよ。だから頑張って。」


 その言葉を言ってくれた少女は去っていった。

 そして、僕もまたギルドから去るのであった。



                    ー次の日ー


 お腹が空いた。

 食べるものがない。

 それどころかお金もない。

 そろそろ限界に近い。

 そんなとき、ある一人の男の声がした。

 僕には、神の声かと思えたのだ。


 「食べるか?」


 人間の男は僕の前に食べ物を差し出した。

 僕は無我夢中でそれに飛びつき、とてつもない勢いで食べ始めた。

 とても、おいしい。

 この世界に来て初めての食事がこんな形になったのは少し悔しいが。

 そいて、久々に人間の温かさを感じれた瞬間でもあった。

 食べ終わり、感謝の気持ちを伝えると


 「な〜に。良いってことよ。困ったときはお互い様だしな!」

 

 そういった男は、何も言わずに去っていった。

 食べ物にありつけたことで少し元気が出た。

 このままではだめだ。何とかしてお金を稼がなきゃ。

 少し歩くと、ある看板が目に止まった。


 ー働き手募集。3食付き。どんな方でも大歓迎。日給12500ヘルティアー


 なんだと?

 3食付き。しかも、どんな方でも??

 仕事内容が書いてないのは少し怪しいが...。まあ大丈夫だろう。

 それに、12500ヘルティア?1ヘルティア1円と考えても十分良い。

 よし、決まりだ。

  



     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 こうして、今に至る。お金自体はしっかりもらえている。

 毎食ご飯も出る。

 しかし、仕事がとてもじゃないけどきつすぎる。

 正直すぐに辞めて飛び出したいぐらい。

 でも、雇い主の岩妖精(ドワーフ)のおばちゃが逃してくれない。

 逃げる素振りを少しでも見せると。


 「何してるんだい?逃げ出したいほど仕事が少ないんだったらそういってくれよ〜。」


 と、笑顔で言い。頭のおかしい量を押し付けてくる。

 この世界に来て初めて命の危機を感じた瞬間だった。


 

 「こんな異世界生活はいやだぁあああああああ!!!」


 「うるせえぞ兄ちゃん。口動かしてないで体動かせ!!」


 

 不穏な空気が流れながら、僕の異世界生活は幕を上げた

 


 

 




読んでいただきありがとうございます。

これからも頑張って投稿していこうと思うので読んでいただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

次回投稿予定は24日です。

お楽しみに〜〜!

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