11話 破滅の洞窟 ーその5ー
今回は少し短めです。
(魔物)
「た、た、た、卵!」
(人造魔物)
(月)
(あ、最後に”ん”ついたからお前の負けな!ヴェルデ。)
(クゥウウ!俺の負けだ。もう一回しよう。もう一回!)
僕は一体何をやってるんだ?
何やら親睦を深めるとっておきの方法なのらしいが…。
ただのしりとりジャねえか!
なんで異世界に来てしりとりしてんだ?竜と。
てか、炎之竜ってしりとり弱い...?
10回くらい続いただけで”ん”がついて終わってる。
でも、結構彼等とは仲良く慣れた気もするが気は抜けない。
肩に手をかけられただけで僕の肩はグチャグチャになるだろう。
いつそうなってしまうのか気が気でなかった。
もっとも、グチャグチャになってもレナの魔法で直せるらしいけど…。
そうなるなんてゴメンだ。
でも良いやつとは思う。気さくに話しかけてくるし話しやすい。
結構竜とも仲良くなれたところで本題に入る。
何やら雰囲気が変わった。
さっきの明るい雰囲気とは違い、重々しくなっている。
そして、炎之竜の長らしき1体が前に出る。
(お主、名をなんと言う?できれば聞かせてほしい。)
「僕はタクヤ。北見卓也。これでも冒険者をやっている。」
(タクヤ...。良い名だ。我は炎之竜の長。
ヴェルグルードと言う。どうぞお見知りおきを。
長くなるかもしれないが話を少しばかし聞いてくれんか?)
「僕は良いけど、レナは?」
「お構いなく〜。」
どうやら、ヴェルデという竜と仲良くなってるみたいだ。
そして、長が話を始める。
(我らが炎之竜は代々、この地を守り続けていた。
あの頃は幸せだったのう。草木は生い茂り、動物や魔物もたくさんおった。
同種の竜もたくさんおったわい。
しかし、10年前だった。
10年前のあの日、奴は現れた。圧倒的力で我らを蹂躙していった。
相手はとても強かった。全くと言っていいほど歯が立たなかったのだ。
魔物界最強とも言われた我らでさえも。
そして、何もできないまま娘がさらわれた。
それからだった、封印された洞窟に奴が住みだしたのも。
我らの望みはだた1つ。
封印された娘の開放。それだけだ。
タクヤよ。お主にこの仕事を頼めるかのう?
礼は何でもする。娘をお主の旅の友に連れて行っても良い。
彼女は強いぞ。頼む、我ら一族の願いを聞いてもらえぬか?)
状況はだいぶ理解できた。
いきなりのこと過ぎるが、もし開放できたら竜種が仲間になるのはデカい。
他の冒険者PTなら喉から手が出すほどほしいはず。
実際僕達の近接戦闘要因がおらず困っていた。
でも、都合良すぎないか?
あの最強とまで言われた竜種ですら歯が立たないなんて…。
何か裏がありそうだ。
「うん、分かったよ。その願い叶えてあげる!」
ちょ…?
レナ何を言ってるんだ?
僕はまだ受けるなんて一言も...。
(そうかそうか。ありがたい。ご武運を祈っておるぞ!)
(((我ら一同、心より帰還をお待ちしております!!)))
ヤバい。
レナが何も考えずに返事したおかげで願いを受ける事になった。
一体何を考えてるんだ...。
僕は彼女に呆れてる暇もなく洞窟を後にした。
洞窟の外は、満天の星空。
魔物の気配など微塵もなく、森は静まり返っている。
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「おい、どうしてくれるんだよ!受けるつもりなんて全く無かったのに。」
「仕方ないでしょ!あのまま放っておけって言うの?
そんな事して、彼等の娘が死んじゃっても良いって言うの?
そういうんだったら、私あなたとPT組むの辞めるから。」
PT解散されたらたまったものじゃない。
ここは大人しく、彼女に従おう。
そして、僕は竜の願いを受けるしか無いという現実を受け入れる。
まず、あの竜達の頼みを聞く上で問題がいくつかある。
1つ目は、相手の戦力が未知数だと言うこと。こちらの戦力は多少あるかもしれないが、竜種を打ち負かすほどの強者に通用するか否か。
2つ目は、完全にこちらの準備不足。食料も結構少なくなってきているし、回復薬だって少なくなってきてる。それは小規模PTからすると死活問題だ。
そして3つ目、レナが心配。結構うっかりな彼女なのだが、こういう大事なときに限ってその”うっかり”が発動してしまうかもしれない。それだけじゃない。洞窟の調査ならまだしも、明らかに強敵と分かっている奴の根城に突っ込んでいくなんて自殺行為。相手が噂通りの強敵だった場合、僕達が生きてる保証なんて0に等しい。
しかし、依頼を受けた以上やり遂げなければ。
状況判断をミスらなければ、死んだりはしないはず。
僕達2人は破滅の洞窟へと向かうことにした。(二回目)
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目の前にはさっきの洞窟とは桁違いな程の大きな穴がある。
中からは、異様な冷気が出てきており、前に立っているだけで肌寒い。
そう、これこそが僕達の遠征の目的地。
破滅の洞窟だ。
ここまでの道のりは長かった。
そのせいか、竜達がいた洞窟からは短く思える。
僕達は改めて目的を確認する。
最大の目的は、この洞窟の調査&探索。
これはこの遠征の目的でもあるのでこれを成し遂げるまでは洞窟からは出ない。
他にも小さな目的はたくさんある。
竜との約束を守るため。
貴重な戦利品の収集。
等々、まだ色々あるが私情が結構入っているのでそこは伏せておく。
けれど一番大事なのは生きて帰ること。
以前の僕とは違い、帰る場所も悲しんでくれる人もいる。
その人達は僕にとって命の次に大切だ。
勿論、レナも例外ではない。ここまで一緒に旅をしてきた仲間。
おそらく、この世界に来て一番一緒の時を過ごしている。
そんな人に悲しい思いをさせたくないし、したくない。
それが守れなければこの遠征は大失敗と言っても良い。
「タクヤ〜。そろそろ洞窟に入るよ。実は私結構楽しかったんだ。
タクヤとの旅。
こんな洞窟で終わりなんてイヤ。だから生きて帰ろう?
そして、また一緒に旅をしようね?」
その言葉を聞いた僕は決心した。
絶対に生きて帰ろう。
レナと一緒に。
そう強く決心し、僕は一歩、また一歩と地面を強く踏みしめ歩みだす。
話がぜんぜん進まなくて申し訳ないです。
付き合ってくれている皆さん感謝の言葉でいっぱいです。
次回もよろしくおねがいします。




