18話
森に降りた俺は例の存在を探していた
どうやらその存在は俺がさっきいた場所に向かったようだ
俺は気づかれないように後を追った
そして、さっきまで俺がいた野原に着いた
そこにいたのは木の精霊を纏った大きな狼だった
その狼は何かを探しているようだった
おそらく俺を仕留めたと思って死体をあさろうとしたのだろう
さて、どうしたものか
相手は狼種の魔物だ、向こうから攻撃してきたんだし話し合いは無理だろうが、このままだと街に被害が出るかもしれないな
そう考えた瞬間俺の纏っていた何かが消えた
「!?」
何故か狼に気づかれた
なぜだ”隠密”をかけていたはずなのに
狼が近くまで迫ってきた
俺は逃げるために”俊足”を発動した
そして、ある程度距離をおいた後”隠密”を発動しようとしたが使えなかった
「クソッ!!」
とりあえずこのまま逃げてテラに報告しないと
しかし、現実は甘くなかった
狼と距離を取りたいのに中々取れないのである
速度はほとんど互角か
俺は”跳躍”を使って空高く跳んで逃げ切ろうとした
「ワオーーーン!」
いきなり狼が吠えた
すると狼の周りにいくつもの風の槍ができ俺を襲った
「イ゛ッ!?」
痛みに耐えながらも体をよじり致命傷を避けたが、服はボロボロで体のあちこちからは血が吹き出していた
俺は地面に墜落した後、カードを出し、ぶっつけ本番で”治癒”してみた
血は止まり、傷は見えなくなったが痛みがまだある、だが傷口が空気に触れているよりはマシだった
速さは互角、跳んでも狙撃される、”隠密”は使えない
ならもう....戦って殺すしかない
俺は神片を顕現し、カードを自分の周りに展開して戦闘態勢をとった
そして、カードを使って、筋力を上げる”攻撃”、素早さを上げる”移動”、守りを上げる”守備”を発動した
そして、木の精霊がいるほうを見るとあいつが向かってくるのが見えた
すると、俺に纏っていた何かが消えた
「チッ」
なんとなく予想していたが流石にムカつく
俺は向かってくるあいつの正面に立ってそのまま走った
おっ?なんかいつもより速い
まさか、”移動”は消えなかったのか?
そう考えながらも俺は向かってくるあいつの股をくぐり腹を切り裂いた
振り返ると地面にバケツをひっくり返したぐらいの血が流れていた
なのにまだ死んでいない
それどころか、少しずつ癒えている
俺は止めを刺そうと一歩踏み出そうとして気づいた
足が地面から生えてきた蔦で拘束されている
俺は双剣を足元の蔦を切るために投げた
ふと、魔法の気配を感じた
俺はとっさに正面にカードを展開した
すると、あいつが放ってきた大量の風刃が襲ってきた
俺はカードで受け止めたが、受け止められなかった一つが俺の右腕を切り落とした
痛い、熱い
俺は正面をカードで固めながらも”治癒”を発動しようとしたが、はつどうできなかった
まさか、あいつの前では魔法が使えないのか
いや、違う。”移動”は使えた
移動....そういえば”俊敏”も”跳躍”も移動だよな
”移動”は木属性の魔法...まさか木属性の魔法以外はあいつの周りだと使用不可?
俺は風の礫と石の礫をあいつに向けて発動してみた
すると、風の礫のみ発動して、風刃の一つと相殺した
やっぱり、木属性の魔法のみ発動可能
じゃあ、打ち合いと行こうか
俺はありったけの魔力をカードに変換して、周りに展開して、魔法に変えた
そこからはお互い魔法の打ち合いだった
お互いに魔法を放ち、相殺し合いながら攻防一体の戦いが続いた
途中、相殺しきれなかった魔法が俺の脇腹や太ももを切り裂いたが俺もあいつの足や片目を潰した
そして、この戦いにも決着がついた
先にガタが来たのは俺だった
魔力の使いすぎや、出血多量で倒れてしまった
だが、あいつも魔力をちょうど使い果たしたようだ
あいつが近づいてくるのを感じる
俺は死ぬのか
このままこいつに喰われて死ぬのか
ゴメンな、クロ
すると、力がみなぎった、火事場の馬鹿力と言うやつだろうか
最後の力を振り絞りちょうど噛みつこうとしていたこいつの首に双剣をぶっ刺した
「.........見事だ....」
なにか言ったあと俺に覆いかぶさるようにして倒れた
その言葉は俺に対しての称賛に聞こえた
そして、俺はゆっくりと目を閉じた




