13話
「ちょっと待って!?殺した!?クマを!?二匹とも!?」
「ああ、」
さすがに信じられないようだな
そして、テラは何か気づいたようだ
「でも君、傷を負って死にかけたんだよね?どうやって、倒したの?」
ん?ああ、そっかテラは俺の神片と固有能力を知らないのか
「あのとき、俺は自分の神片をとりだしたあと、とある固有能力を使ったのだが...これは黙秘権を行使する、あとは身体強化で無理やり体を動かして...殺した」
因みにあのとき使った固有能力は”俊足”で、ただ足が速くなるのではなく、体の動きや思考が速くなる固有能力みたいだ
だから、おれはクマと戦ってるとき、クマの動きがものすごく遅く感じた
それと、”守護”も発動していたかも知れないけどそこは割愛する
そして、俺はテラに見せるようにカードを空中に展開した
するとテラは意地が悪そうな顔をした
「へぇー、やっぱりあの人の子供なんだ」
ん?あの人の子供?母...サラのことか?
「それは...母さんのことですか?」
クロもそのことが気になったのだろう
「ふふん、教えない」
イラ、何か無性に腹が立つこいつ
「そういえば、身体強化なんて高等技術よく知ってたね?」
ああ、そこに戻るのか
「悪いが教えられない」
これだけは言っても怪しまれるだけだ
俺が死にかけ、あの真っ黒な世界で受け取った光の玉...あれは俺の固有能力や神片の使い方の詳細と応用、俺自身の最適な戦い方や体の動かし方、魔力の扱い方や応用、魔力操作のコツや神片の展開のコツ等のコツ、そして世界の知識等などが詰まっていた
光の玉を受け取ったとき、頭だけではなく体にも強制的に覚えさせられた
因みに身体強化の使い方も入っていた
まあ、そのおかげでクマの攻撃を防いだり、冷静に戦えたけど
「ねえ、身体強化って?」
そっか、俺も光の玉を受け取るまで知らなかったし、いつも一緒にいたクロが知るはずがないか
まあ、使えるかわからないけど教えてみるか
「身体強化は自分の魔力を使って自分の動きを補助する技術だ、注いだ分だけ補助してくれる」
あのとき俺は身体強化を使って死にかけの体を動かした
”俊足”は動きや思考を速くするだけだから、動かなければ効果は出ない
「因みにシンは簡単に言うけど、さっきも言ったけど高等技術だよ、かなり難しいんだよ」
体ごと覚えさせられたから難しいとも思わなかった
「はぁー、疲れた、もうこの話は終わり」
テラが疲れたような顔をして話を打ち切ってきた
「そういえば、クマの死体はどうしたの?捨ててきた?」
「いや、クロが持ってる」
「ふーん、収納系の固有能力持ちか...」
しまった、教えなければ良かった
「じゃあ、ついてきて」
俺たちはテラに連れられてギルドの石造りの倉庫のようなところに連れられた
「ここでは、持ち込んだ魔物を解体したり、お金を払ったりして解体してくれるよ」
つまり、解体してもらえということか
「なあ、これ自分で解体していいんだよな?」
手に入れた知識には生物の構造も含んでいたから多分...
「いいけど、失敗しても知らないよ?」
俺はうなずくとクロにクマを出してもらった
えーと、種族は....メスがブラッディベアーとオスがデストロイクローか、一応種族は同じらしいけど性別によって呼称が変わるみたいだ
物騒な名前だな
ん?テラが固まっている
とりあえず、胸を開いて臓器を...おっ、これ食べられるのか。あっ、これは薬になるのか、とりあえず捨てずにとっておくか
そして、手足を関節ごと切り離して、毛皮を剥いで、肉を部位ごと切り分けて...できたー
同じようにもう一体も...うん、もう慣れた
「完成ー」
解体した結果、大きな毛皮と大量の肉、大量の臓器、そして透明なきれいな石が出てきた
この石はどうやら魔力の塊...魔石というらしく、魔術や魔術具の媒介になるらしい
因みにギルドで作った石も純度が低いが魔石らしい
「....お兄ちゃん」
ん?クロに呼ばれた
振り返るとなぜか青ざめていた
「大丈夫なの?」
「ん?なにが?」
質問の意味が理解できない
とりあえずクマを見てみよう...ああ、そうか
「おう、大丈夫だ。この通り、元気だ」
おそらくクロはこのクマに毒がないのか気にしたんだろう
ん?もっと青ざめたぞ
するといつの間にか遠くにいたテラに呼ばれた
「おーい、ちょっと来てくれない?」
なんだろう?とりあえず片付けないと
「頼めるか?」
クロは青ざめながらも素材を収納してくれた
テラに連れられたのはギルドの受付や掲示板があるギルドのロビーだった
途中、ギルド職員や冒険者にギョッとした目で見られた、何故だ?
そして、テラは掲示板の一角を指差したそこには白紙の紙が貼られていた
テラには何か見えているのか?
そして、テラが触れると文字が浮き出てきた
見せてもらうと依頼内容はブラッディベアーの討伐だった
でも何故見えなかったんだろう
「これはランクによって見えないようになっていてね、今の君たちがEランクでこれがBランクの依頼だから君たちだけだと見えなかったんだよ」
なるほどそれで...えー!!つまり、Bランク相当のやつを倒したのか
「こっちはAランクだね」
そして、テラはもう一枚紙を出してきた
依頼内容は...デストロイクローの討伐
「....」
「依頼達成だね、良かったね」
まぁ、いいことなのか?
「でも、ランクが足りないし...」
「別にランクが足りなくても依頼達成にはなるよ。でも、依頼を受注してキープできないし、そもそも見えないから」
「あー」
そっか、依頼を受注しておかないと他の人に横取りされるしな
「他にも、これとか、あれとか...」
テラから渡された何枚かの紙束にはクマの肉や内蔵などの納品系お手伝い依頼だった
「なるほど、討伐して手に入れた素材を他の依頼に回せるのか」
「うん、他にもギルドで買取してるよ」
じゃあ、次、討伐依頼をうけたときも...いや、それにはクロを連れて行かないとな、流石にまた危険な目には合わせられない
「じゃあ、依頼の品を置きに行くから来て」
俺はクロに頼んで納品する素材をテラが指定する場所に置いたあと別の場所に連れてかれた
そして、俺達はなぜか受付ではなくさっきまでいた部屋に連れてこられた
テラいわく、混乱を避けるためらしい
そして俺はなぜかソファーの上ではなく、硬い金属製の椅子に座らせられた
そして、俺は自分の衣服を見て理解した
真っ赤かなのである
なんでかというと、解体したときに血がたくさんついたからである
何故、気づかなかったのかが理解できない
仕方なくおれはその椅子に座り話を聞くことにした
「じゃあ、まず依頼報酬...金貨20枚」
「金貨20枚!?」
日本円換算200万円
あんなので?
「誤解しているようだけど、あれでも強いからね?ブラッディベアーはCランクだと数人程度だったら返り討ちにされるし、Bランクでも苦戦するからね?それに、デストロイクローはAランクじゃないと倒せないからね?」
「でも俺は...」
「それは君が子供で、重症だったから油断したのと、君の魔力が大きかったからだよ」
「.....?」
「あれはただのクマではなく魔物だよ、魔物は魔力を持っていて、とても厄介なんだ。アレの場合、魔力で強化された攻撃と守りのせいで攻撃が通らない。しかも、凶暴で見境なく生物を殺すんだよ」
そっか、確か神片は持ち主の魔力の量によって切れ味や、耐久性が上がるんだったな
それで、俺の魔力が多いと
「理解できた?」
「ああ、」
つまり、あれは凶悪な部類の魔物で、ただのクマとは違ってかなり強いし、厄介だということか
「あと、強い魔物の肉はとても美味しく、血抜きをしていないのに逆に美味しく、しかも血や内臓は薬の材料になるから高額な値段で取引されるんだ」
「へぇー」
食べれるのは知ってるけど、美味しいとは知らなかった
幸い、まだクロの空間の中に大量の熊肉が残っているし
後で焼いて食べよう
「はい、これ報酬」
と、テラから渡された大量の金貨
....重い、とりあえず半分はクロに渡した
「ちょ、ちょとこれは流石にお兄ちゃんが全部もらうべきだよ!」
「だが、クロのおかげでクマを運んでお金に変えることができなったし、その分だと思って」
俺はクロに無理矢理にも持たせることにする
クロも引く気がないとわかったのかそのまま空間に入れた
...便利だな
「こほん、さて本題に入りましょう」
「本題?」
どうやら、テラはまだ話したいことがあるようだ
「ええ、あなた達のランクをBに昇格させるよ」
なるほど昇格.......えっ!?
「なんでいきなりBランク!?Dは!?Cは!?」
いきなりすぎる、なぜ昇格に?
「D、Cランクへの昇格条件は一定の実績、または一定以上の強さが認められた場合に昇格できるんだよ、あとBランクへの昇格条件は実績や強さの他にギルド職員またはAランク冒険者の推薦が必要になるけど...そこは、私が推薦するから大丈夫だよ」
何が大丈夫だよ
「でもそれだと周りから、嫉妬や妬みを買うと思うんだが...」
「買うだろね」
俺の質問にさも同然のように答えやがった
「辞退は...」
「今、高ランクの冒険者が少なくて、依頼が溜まって行くんだよ、だからだめ」
こいつ!!
「あのー」
ん?クロが手を上げた
「どうしたの?」
「ランク昇格の条件に”一定の実績、または一定以上の強さが認められた場合”があるじゃないですか、それだと私は当てはまらないと思うんです。だって、おそらく強さが認められた理由はBランクとAランク依頼の魔物を倒したからですよね、でも、それはお兄ちゃんが一人で倒してくれたから、私の強さではないと思うんです。私は何もできなかった...私は役に立たずなんですよ」
クロは自分が役に立たないというがそれは違う
クロがいなければ俺はあのまま死んでいた
傷を癒やしてくれただけの話だけではない、クロがいなければ気を失ったとき、そのまま立ち上がろうとしなかった。クロがいたからこそ俺は代償があると言われても俺は戦う力を手に入れた。クロがいたから、俺はあの魔物を倒し、生きて帰れた
だから、言いたい。クロは役立たずじゃないと
「んー?それはちょっと違うかな?」
俺が口を開く前にテラが先に口を開いた
「シン、君は”傷は自然に癒えた”っていったね?」
「.......」
いきなり何を言い出すんだ?
「ねぇ、シン。君が何を隠しているのか、私は知ってるよ?」
まさか、
「まぁ、そうだよね。大事な妹に強力な力があって、周りからその力を悪用させないために隠すことは」
気づいているのか
「答え合わせをしようか、君の傷は”自然に癒えた”のではない、”誰かに癒やしてもらった”、しかしそれは”魔法ではない”と君は考えた、しかし”治癒”という魔法が存在するのに何故魔法と考えなかったのか、それは”普通の治癒ではありえないことが起きたから”でしょ?何が起きたのか、それは”普通の治癒では血は戻らないし、血溜まりは消えない”それが起きてしまった、まるで”その空間の時間を巻き戻す”かのように、そして、君は考えてしまった、”この力がこれだけなのか、まだ、一部ではないのか”と、そして、君は前に見せてもらった”固有能力”の名前からその力の”源”と、その”力の本質”を知ってしまった」
「えっ?」
クロ...ごめんな
「その力の本質は”時空に干渉する力”そう考えたんでしょ、シン」
こいつには隠しごとが無意味なくらい頭がいいとはわからなくて
「お久しぶりですね。”時空神”様」




