第11話
「クソ!」
俺は悪態をついた
まぁ、それも仕方ないと思う
だって今、目の前に...クマがいるからな
しかも、普通のクマより大きく見えるのだが
俺たちは森に入ったあと、目的の品を取りに向かったのだがその道中クマに遭遇した
もちろんすぐに逃げようとしたが振り返るとそこにもう一匹のクマがいた
おそらく番なのだろう
で、それが今の現状である
後ろにも前にもクマがいる
しかも、そのクマは獲物を見つけたかのような目でこちらを見てきている
どうにかクロだけでも逃せないものか
しかし、考えるひまもなく、クマはその鋭い爪を使って攻撃してきた
そう、クロに向かって
俺はクロを助けようと意識するまでもなく動いた
しかし、少し遅かった
クロにはほとんど傷を負わなかった、しかし、クロを突き飛ばしたさいにクマの爪が俺の背中をざっくり切り裂いていた
おそらく致命傷だろう
俺の鮮血が飛び散っているのが想像できる
それと同時に強い痛みと高熱が襲ってきた
俺は立っていることもできずその場で倒れた
体の感覚が無くなってきているのがわかる
もう体を動かせない
そしてあんなに熱かった体が急速に冷えて行くのが感じた
おそらく、傷が深すぎて血を流し続けているせいだろう
そこで俺はやっと死を実感した
記憶がなくても死ぬのが2回目だからだろうか、死ぬということに関してはあまり怖くない
でも、クロは死なせるわけにはいかない
だから、お願い
創造神でもいい、だから誰かクロを助けて
....俺はどうなってもいいから
俺は倒れたまま意識を手放した
*
「全く,他人頼みか...お前らしくないな」
俺はよくわからない場所で目覚めていた
前に目覚めた死の世界は一面真っ白だったはずだ
だが、ここはあそことは正反対で一面真っ黒だった
しかし、誰かいるようだ
先程、男のような声が聞こえた
とりあえず彼に聞こえるように叫んでみるとしよう
「すみませーん!!だれかー!!いないかー!!」
「うるさいなぁ、そんなに叫ばなくても聞こえているぞ」
どうやら彼には声が届いているみたいだな
俺は声が聞こえた方へ向かった
しかし、途中で見えない壁に阻まれてしまった
「ここから先はまだいけねえよ、ここで話そう」
どうやら俺は相手を認識できないが、相手は俺を認識できるようだ。
とりあえず俺は質問を投げかけることにする
「俺は死んだのか?」
「どちらだと思う?」
質問に質問で返されてしまった
普通あの傷だったら死んでいておかしくないはずだ
しかし、何かが違うような気がした
俺の何か大事なものがまだ生き続けているみたいな感覚だ
「まだ生きているような気がする」
「ふーん、まぁ、及第点か。生きてる、生きていないかで言えばお前はまだ”生きてる”だ、でも今のお前の状態はそのままでは死ぬ”仮死”状態だな」
生きてるっちゃ生きてるけど”仮死”このままだと死ぬか....
「なんとかならないか?クロを助けたいんだ」
「さっきまで他人頼みだったのにか?」
うっ、痛いところを
でも、なぜそのことを?
まぁ、いいや
「それは、このまま死ぬかと思ったからだ。それに、お前言ったよな?”このままだと死ぬ”つまり何かすれば生き帰れるんじゃないか?頼むクロを助けに行きたい、だから教えてくれ」
もう、彼に頼ることしかできない
結局他人頼みだがもうそんなの気にしない
「....代償を支払うことになるぞ」
「それでも構わない」
クロを助けられるなら俺は....
「だろうな、じゃあそこにある扉を開けてくれ」
「扉?」
すると見えない壁に扉が出てきた
これを開けるのか
俺は扉に手を触れ力を込めた
扉はとても重いが少しずつ確実に開いていった
一定のところまで開けるとあとは自分で開いていった
やがて全開になると扉の向こうから光の玉がやってきた
「受け取れ」
俺はそれに触れた
すると、初めて”鑑定”したときみたいに情報が流れてきた
あのときと違うのはやはり痛みがないことか
「最後に言っとく、お前なぜ”代償を支払ってでもクロを救おうとするのか”を考えたことがあるのか?」
「それはどういう?」
「じゃあな」
俺は彼の言葉の意味も理解できずにもとの体に戻った
*
「お兄ちゃん!!」
目覚めたらクロに抱えられていた
そして、丁度に2匹のクマが俺たちに向かってその爪を振り下ろした
クロは死ぬ覚悟を決めたのだろう
歯を食いしばって、目を閉じうつむきながら震えていた
...大丈夫、助けてやるから




