第10話
「ちょっとまってくれ!俺たちの担当ってどういうことだよ」
この言い方は失礼かもしれないが、実際俺はこの女...テラが嫌いだ
重要なことは黙っていて人が驚くのを見て楽しむし、何よりウザい
だからこいつとはあまり関わりたくない
クロも同意なのかものすごくうなずいている
「お前たちの言いたいことはわかるがこれは仕方がないんだ」
マームが同情するような表情で諦めるように言ってくる
「仕方がない」?何が、どうして?
「ギルドの義務でね、学園を卒業していない子供がギルドに登録するとき、その子供がある程度ランク昇格するまで、その人専用のアドバイザーがつくことになってるんだよ。だからあきらめてね?」
「じゃあ、他のアドバイザーは?」
「それも無理、なぜなら君たちはあの人の子供だからね、恐らく今までの常識を超える力をもっているんじゃないかな?そんな人たちを普通の人に任せられないよ」
ウッ、そういえば俺たちの技能が異常だとか言われたな
クロに至っては「時空神」だし
「さて依頼の説明に戻るけど、依頼には三種類あって。まずは「お助け依頼」、これは主に街の人の手助けをする依頼で、もちろん依頼料は依頼主が負担するよ、あとちゃんと達成可能な依頼と健全な依頼しか承っていないから安心して。でも、依頼に書いてあること以上の事はしなくてもいいから依頼主になにか言われても気にしないで。次に「討伐依頼」、これの依頼主はギルドで民を襲う生物や盗賊の討伐が仕事だよ。あとは「緊急依頼」これは冒険者が何回も失敗したクエストや今すぐに片付けないとまずい依頼が出されるよ、ちなみに報酬は結構高額だけど難易度が高いよ」
勝手に戻すなって
しかし、「討伐依頼」か
死んだらどうするんだ?
「依頼で怪我をしたり死んだらどうするんだ?」
俺の質問にテラは真顔で
「怪我の場合は依頼の内容、難易度、怪我の原因などで負担額は変わりますがある程度医療費は負担します。しかし、壊れた防具や道具は負担しません。また、死んだら自己責任としてギルドは何もしません」
「何もしない!?」
まじかよ、遺族とかはどうするんだよ
「こちらは依頼を強制しているわけではなく、逆に選ばせているんです。それに自分の実力も知らずに危険な依頼を受けるのはバカのすることです。「バカにつける薬はない」と同じように馬鹿にかける情けはありません。」
さっきまでのウザさとは裏腹にとても厳しく、慈悲がなかった
そしてまた今までと同じような声に戻り言った
「さて、話は変わるけど、あなた達には今からとある依頼を受けてもらうよ。」
「「依頼?」」
まさか「討伐依頼」か
流石に俺たちは実践をまだ経験していない
こののままだと死ぬ
俺は青ざめつつもクロの方に視線を向けるとクロも真っ青な顔で震えていた
その顔に気づいたのかテラは
「違う、違う。「お手伝い依頼」の方だよ」
と訂正してきた
その言葉に少し安堵したがすぐに頬をこわばらせた
こいつがまともな依頼を出してくるはずがない
「ちなみに、この依頼はお姉さまが選んだからね」
俺たちは今度こそ安堵した
マームが選んだなら安全だろう
「じゃあ、依頼の受け方を説明するね。まず、この紙を受付に出して。それと一緒に....お!キタキタ。これを出してほしい」
ちょうどいいタイミングでこの部屋に従業員が来て2つの板を置いて部屋から出ていった
その板をテラは俺たちに差し出してきた
「これは?」
板は銀色の金属でできており
板には俺のフルネームと家族構成、登録したギルド、ランクが書かれていて、左上には銀色の透明な石がうめこまれていた
この石はもしかして魔術具から取り出したあの石か?
「これはね、ギルド登録証って言ってね。これ一枚で、通行許可証、身分証明証などの役割を果たせるんだよ。」
「「なるほど」」
「というわけで、あとは頑張ってね」
「「はあ!?」」
テラはそのまま部屋から出ていった
お前アドバイザーだろ、他に言うことないのか
「まぁ、頑張れ。あと、自分の技能を確認したほうがいいぞ、確か役に立ちそうな技能があったはずだからな」
マームまで行ってしまった。まぁ、アドバイスくれたしいいか
「ええと?確かこの紙を提出するんだよね」
「ああ、確かそうだな」
もう、ここにいても仕方ないし依頼始めるか
俺たちはこの部屋を出て受付に向かった
*
「これを願いします。」
俺はあの紙と登録証を提出した
「はい、承りました。では、こちら登録証と依頼の控えになります。依頼を終える際は控えとともに提出してください。」
「「はい」」
「あとこちら薬草を入れる袋になります。依頼を終える際にお渡しください」
「「あっ、は....い?」」
そういえば俺たちは自分たちが受ける依頼について理解していなかった
そして、もらった依頼の控えを読むと
[ お手伝い依頼 達成条件:依頼品の納品 報酬:青銅貨 50枚 依頼品:袋いっぱいのタカトオグサ 追伸 根っこごと抜かないで地上部だけにしてください]
「....お兄ちゃん」
依頼を読み終わったあとクロが質問してきた
「タカトオグサって何?」
どうやら依頼品が何かわからないようだ
ならば答えよう
「俺も知らん!」
「言いっ切って置いてそれ!?」
知らんものは知らん
「そういえばマームが技能を確認しておけって言ってたな」
確か役に立つ技能があるとかないとかで
俺たちはとりあえず技能を確認することにした
使えそうなものはないかな........お!これ使えるんじゃね
「私の方で使えそうなのは「鑑定」かな」
クロが使えそうなものは鑑定だけか
「俺は「鑑定」と「探知」だな。探知は目的の生物がどこにあるのかがわかるらしい」
「わーお便利だね、早速使って見てよ」
言われたとおりに探知を使ってみることにした
探知を意識して...お、何か文字を埋められそうな気がしてきた
じゃあ、「タカトオグサ」 を入れてみるか
するとここから離れた... 門を超えた先に点々とした反応があった
「門の向こうに反応があったが....いくか?」
「いく!!」
試しに質問してみたら
元気な即答が返ってきた
俺たちは門まで歩き(とはいってもギルドの隣なのでそれほど歩かなかった)門番に声をかけられた
「身分を証明できるものを提示してください」
そういえば登録証が身分証明書になるんだったっけ
「これでいいですか?」
とりあえず登録証を見せた
「ああ、はい、どうぞ通って」
良かった使えたようだ
門をくぐった先には森があって、あと森を切り開いて作ったのか街道まであった
「反応は森の方にあるみたいだな」
俺たちは森に入り、反応がある方へ進んで行った
*
一方、ギルドの一室では二人の女性...テラとマームが話していた
「そろそろ、公園に入った頃かな?」
テラはティーカップを片手に呟いた
そのつぶやきを聞いたのか、マームはお菓子を食べる手を止め
「その気になればわかるだろう」
そういったあとまたお菓子を食べ...貪っていた
確かにテラ自身は二人が何をしているのかを知ることができる
その理由としてはテラ...いやテラやマームを含めた大精霊が持っている技能「眷属化」が関わっている
本来「眷属化」は大精霊とその眷属となる者が直接魔力をお互いに交換することによって発動する。
しかし、テラは冒険者と直接魔力を交換するのではなく登録する冒険者の魔力でできた石...「冒険者の魔石」とテラの魔石と冒険者の魔石で作られた「登録証」を交換することによって冒険者を完璧な眷属ではなく仮の眷属にしている
そして、冒険者を仮の眷属とすることによってテラは冒険者の行動、位置、何をしていたのか、生死、能力値を知ることができる
なお、完璧な眷属の場合、主が許可を出せば仮の眷属を含め主の「眷属化」の一部機能が使えるようになる
テラはギルド職員をみんな自分の眷属にして冒険者がしっかりと依頼をこなすことができたのかをチェックしたり、冒険者の能力値を測って冒険者に伝えたりしている
だから主であるテラは仮の眷属たる二人の動向がわかるのだが
「メンドイ」
「あっそ」
などという感じで一切二人の動向を見ようとしないのだ
「ていうか姉さま....太った?」
「!?」
「だってそうでしょう、昔は誰もが羨むスタイルだったのにいまでは恰幅のいいお母さんだよ」
「!?」
確かにマームにも自覚があった、本来大精霊であるマームたちは食事を取らなくていい体なのだ、そしてマームは生まれてずっと使命を守ることだけを第一に数年前まで一度も食事を取ったことがなかったのである
しかし、十年前サラに拾われたときサラはマームが大精霊だとは知らなかった。そして、マームは取り憑かれたのだサラが差し出してくれた食事と菓子の魅力に
そのまま食べることの魅力に取り憑かれたマームはどんどん太っていった。スタイルのいいお姉さんから恰幅のいいお母さんに
その光景に見かねたのかテラはとある提案を出した
「半年くらい私が二人の面倒を見るから痩せる旅にでてきたら?」
「ああ、頼んだ。じゃあ、行ってくる」
マームはテラの提案をうけそのまま、走って旅に出ていってしまった
一方残されたテラはお茶を飲み、不吉な笑みを浮かべていた
「ウフフ、お姉さまったら。でも、これでいいのよね...サラ。さぁて、私もお茶会を盛り上げるために二人を完成させなきゃ。楽しみだわ...サラ」
彼女の呟きはそのまま空気の一部として誰にも聞こえることなく消えて行った
そして、彼女は2人の動向を一度も見なかったことを酷く後悔する。
誤字ではないです。2人が向かったのは森です。




