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第9話

 


「ああ、お金の事は気にしなくていいよ、それにこの魔術具は使い捨てで例え壊れなくてもこの石を取り出すために壊さないといけないからね。」


 そう言いながら俺たちにさっきほど残骸から掘り起こしてきた石を見せてきた


 それは金色の透明な石だった


 あの残骸から取ってきたということは俺のと同じなのか?


 俺のは銀、クロのは金


 人によって違うものなのか?


 その後俺達は、また別の部屋に通された。どうやらあの石を加工するらしくそれまでこの受付嬢から色々説明してくれるらしい


「いやー、さっきはごめんね驚かすつもりがまさか気絶するとは思っていなくてさ、まぁ反応が面白かったからまたやるけど、てへペロ」


 うざい、ウザすぎるぞこの受付嬢、よくクビにならなないな、俺だったら即解雇だ


「さてまずはこのギルドについて説明を始めるよ。ここ、冒険者ギルドはこの世界の各地にあるんだけど、その目的は主に市民の手助けなんだ。」


「手助け?」


「ウン、落とし物の捜索から危険な生物の討伐まで全部あるんだけどもちろん受けたい依頼は自分で決められる」


「あの、強制ではないんですか?」


「いい質問だね、強制にすると得意ではない依頼に当たって失敗するとギルドとしても良くないし、そもそも冒険者になんてやりたいと思う人がいなくなるからね」


「そんなのでギルドになんのメリットがあるのですか?」


「メリットとかは関係ないんだよ、ただギルドの最高責任者は土の大精霊ノームだからね」


 大精霊?ノーム?何だそれは、ていうか理由になっていないような気がするぞ


「なんですかそれ?」


「あー説明不足だったね、話が脱線するけど大昔ここはとても栄えていたんだよ、ただ何故かいきなり廃れ初めてそれを見た神々が自らの眷属...5人の大精霊をこの世界に送り込んだんだ、そして大精霊たち一人ひとりに使命が与えられていてその一人、土の大精霊ノームの使命は「助けを求めている人を助けること」だから、一人だと無理だからギルドを作った、そういうことだよ。ちなみに、火と土の大精霊以外は自分の国を作り今も自分が治めているんだよ」


「火と土は?」


「土はギルドを創設したあとにもう一つ...いや正確には五つの自分を守る術を身につけてもらうために各国に学園へと繋がる門を設立したんだよ」


「各国?」


「ああ、火の国アグニ、水の国ウィネ、木の国ユグドラシル、魔国、最後にここ大陸中央中立都市にあるんだ」


「ここってそういう名前なのか」


 初めて知ったしここに学校があるとは知らなかった


「まぁ、あるって言ってもこの都市の超上空にあるし外からは見えないようになってるからわからないと思うよ」


「どうやって行くんだ?」


「そこは「闇」の大精霊に頼んで作ってもらった魔術具を使って転移して移動するんだ、ちなみに都市の中央に大きい扉があるんだけどそれが転移の魔道具なんだ」


 そもそも家からあまり出たことがないからわからないな


 出たとしても俺の行動範囲は街の門の近くの市場だけだし中央なんて行ったこともない


「まぁ、学生じゃないと使えないけどね...ていうか君たちもあと数年後に学園にいくんじゃないかな?」


「俺たちでも入学できるのか?」


「そもそもお姉様のことだから行かせると思うけど...それはともかく火のほうは昔に火の国を作って治めていて、そのうち自分の子孫に国を任せて自分はその政治をずっと近くで見守り続けると決めていたんだけど...ある日自分の子孫の人が暴走し出したんだ」


「暴走とは?」


「火の国では代々王になるものまたは次期王に大精霊が王の証として自分の魂の欠片...自分の「神片」を与える習わしがあるの、そしてその王は本来一つの神片を2つ使えるようになるんだよ」


「神片は与えられるのか?、そもそも俺は2つなんだが」


 確かクロもそうだったような気がするがそこは言わないでおこう


「ん?ええっと...それはともかく火の大精霊は自らその候補に出向きそして王たる資格があるのかを見極める、そして悲劇が起きた...とある二人の王候補がいて片方は勉学、武術共に優れていたけど民を見下していた、しかしその時の王の実の息子でもあったことから性格に難はあったものの王は自分の子を次期王として育てられた候補、そしてもう片方は庶民と大精霊の血を持つ者の間から生まれた子で勉学も、武術も次期王よりも低い、しかし彼には人の心を理解し、感じ、思いやることができる優しい人だった、だから市民の人気は高かった。そして、次期王を決める日、王は大精霊にこういったんだ「私の息子はあらゆる面に優れ、国を良い方向に動かせますなので...そこの庶民の息子よりも我が息子を次期王にしてください」とね。結果はどうなったと思う?」


「「...........。」」


 わからない、国を思うなら前者を、民を思うなら後者を


 前者を選ぶと国は動くけど、民は苦しむ


 後者を選ぶと能力不足で茨の道


「答えはね、後者を選んだんだ。しかもそれだけではなく王から自分の欠片を奪ったんだよ、ん?..元々自分のだから取り返した?まぁいいや、だから王の証を失った王は王様なくなり後者はそのまま王になったんだよ」


「でも...それだけではなかった」


 それだけなら、悲劇とは言わない...まだなにかあるんだな


「うん、その後大精霊が王を補佐したおかげで国は安定し続けた、でも大きく発展しなかった。それを不満に思った一部貴族と軍を元王とその息子が煽って反旗を翻した。しかし、その反乱は民には死傷者を出さずに一夜にして終わった。一番触れてはいけない火の大精霊の使命「皆が苦しまないように、悲しまないように、後悔しないように最後を迎えさせる」に触れてしまった。そこからは地獄だった。大精霊は使命を守るために民を悲しませる原因...反乱軍を切り裂き、打ち抜き、吹き飛ばし、そして火で炙り殺した。そして、王国の悲劇は終わった」


 酷いな...でも納得がいったなぜ前者より後者を選んだのか


 前者だと自分の使命に抵触する可能性があり、後者はそれどころか自分の使命が果たされるから


 そして、その時の王を王の座から降ろしたのも恐らくいつか使命に抵触する可能性があったから降ろしたといことか


「しかし大精霊の悲劇はそれだけでは終わらなかった」


 ....ん?まだ続くのか、ここで終わりでいいと思うんだが


 俺はクビを傾げた


「大精霊が殺した人にも家族がいた、そしてその家族は一家の大黒柱を失ったことによる苦しみ、家族を失ったことによる悲しみ、好きだった人に思いを伝えられなかった後悔、それらを抱えたまま中には自殺する人までいた...火の大精霊のせいで。これがどういう意味かわかる?」


「「あっ!!」


 俺たちは気づいてしまった火の大精霊がしたことは自分の使命の抵触...いや、自分の使命を犯している


「その後大精霊はひどく悲しみ、苦しみ、後悔した...そして自分を殺そうとしが...」


「使命が許さなかった」


 火の大精霊の使命は「皆が苦しまないように、悲しまないように、後悔しないように最後を迎えさせる」


 もし、そこに自分も含められているならこのまま死ぬことを使命が許さない


「その結果大精霊の「悲しみ」「後悔」「苦しみ」が膨れ上がりそれが余計に死ねなくし、死ねないことがそれらを膨れ上がらせる悪循環になった」


 このとき大精霊にどれだけの重りがあったのか俺には想像がつかない


「そして、その悪循環は終わりを告げた、その大精霊は一人の少女に救われた。数年前、何回目かわからない自殺を橋の上でしようとしたとき一人の少女に止められ気絶させられたらしいよ」


 ん?どこかでその話を聞いたような気が?


「その少女は闇魔法の使い手で名前は....サラだったね」


「「ちょっと待て!!」」


 俺たちは同時にその話に待ったをかけた


「サラって私達のお母さんよね?お兄ちゃんの話からすると火の大精霊って」


「ああ、マームだろう」


 マームにこんな過去があるなんて知らなかった


 ていうか無防備だったとはいえ反乱軍を一夜で皆殺しにしたマームを気絶させるとは....俺たちの母やべー


「ていうかなんでその話をあなたが知っているんですか?」


 事件の事は確かに知られていてもおかしくない。しかし、マームと母の出会いはなぜしっているんだ?


「フッフッフ、それはね私が「土の大精霊本人だからなこいつ」」


 受付嬢の正体を聞こうとしたときマームが入ってきて、受付嬢が得意げに話そうとしたとき正体をばらしてしまった


「何するんですかお姉さま。せっかく私がかっこよく正体を明かして驚かせる手はずだったのに。ぶーぶー」


「「お姉さま!?」」


 マームがお姉さま!?てことは火の大精霊と土の大精霊は姉妹


 ていうかこの人がギルドと学園を作った人って....ないわー、絶対ないわー


「お前が勝手に俺の過去と正体を教えたからだろう。本当は殴りたいんだがお前硬いから殴れないんだよ。せめてもの意趣返しだ。...クソ、サラにも話せてないのに」


「あっ、彼女の場合事件の被害とマームの戦い方からある程度わかってたよ。それに「大精霊のことなら大精霊に」って私のところまで訪ねてきたし」


「マジかよ」


 あっ、マームが崩れ落ちて「私の後悔何だったんだろう」って呟いてる


 そりゃ「後悔」ってことは「使命」に抵触してるしな


 そりゃ大変か


「あと、サラの伝言「数年後に私達の子供たちのことでお話しましょ」って」


「なんでいま!?」


「マームの正体がこの子達に知られたら言ってほしいって」


 また、これも「占い」と「未来予知」を使ったんだな


 ていうか「お話しましょう」って


 まるで....


「まるで生きているみたいだな」


「「!?」」


 おれの言葉に土の大精霊を除いてこっちを向いた


「サラが生きてる、じゃああのとき死んでいな....」


「それはない」


 マームのつぶやきに俺は否で返した


「な..んで」


「マームも見ただろう?俺たちの鑑定結果。そして、家族構成のところに「母 サラ・ホールド(故人)」「ホールド家に殺された」って書かれていたじゃないか」


「あっ」


 もしあの鑑定が本当ならサラはもういない


「あのー、未来が変わったってことはないの?」


 確かにその線もあるしかし、そうとも行かない


「それもない、確かに「未来予知」単体だったら鮮明だけど正確さが欠けるしかし、「占い」をかけ合わせると占いは断片的だけど、正確だ。だから、鮮明で、確かな未来が見えるということだ」


「なるほど」


「じゃあこの「数年後に私達の子供たちのことでお話しましょ」はどういうこと?」


 マーム...まだ諦められないんだな


 感情が高ぶって口調が変わってるし


 ただ、サラは死んでいるこれは確かだろう


 燃え盛る屋敷の中から出産したてで体力がないのに脱出できたとは思えない


 しかし、俺には2つほど生きている仮説がある


 死んだあとに蘇った可能性と転生した可能性


 前者はどうやって蘇ったという疑問があるし、だからといって(故人)扱いになるとは考えられない


 後者は前例として俺や他の転生者が存在することから可能性がある


 でもマームに変な期待をもたせたくないからこれは心の中にしまっておくとしよう


 でも一つ言えることがある


「でも一つ言える、俺たちは数年後に誰かとお茶をするということだ」


 うん言ってみたけど普通のことだな


「あのーちょっといい?」


 受付嬢がなにか言いたそうだな?


「私の自己紹介まだしてないよね?じゃあ私の自己紹介始めるね」


 おいおいかってに始めやがったぞこいつ


「私はテラ・ノーム テラって呼んでね。一応ギルドのグランドマスターと学園総長もやってるけど、まぁあなた達の担当受付嬢になるからよろしく」


「「はぁ!?」」



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