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今世は健康体になりました  作者: 染谷鈴秋
1/1

0.epilogue

作者の私は、野中暖と書いてノナカノンと読みます。どうぞよろしくお願いします。





ピーピーピーピー





けたたましいサイレンに、失いかけの意識を取り戻した。



何人かの医療関係者が、パタパタと足音を立ててこちらに向かっているのがわかる。

だが、彼らはこの箱に着くまでに「私の」菌が移らないような服に着替え、除菌をしなければならないだろうから、私が死ぬまでにここへたどり着くことはできない。


_______最も、たどり着きたいと思っていないだろうが。



ふと、天井を見る。

この真っ白な天井を見ながら考えるのは何時も、自分の人生について。



私の人生を一言で表すとするなら「無」だ。

私には本当に家族も友人も将来の夢も、生きる価値も、何にも無い。


いや、正確には愛も優しさも目標も持っていたが、そんな幻想はとうの昔に全部、すてた。




「.....っん?」



あれ?この雨みたいに頬を濡らすのはなんだろう。

少し暖かくて、塩っぽくて、苦くて、でも甘い。


なんだか胸もいつもと違う痛みを感じる。

ぎゅーっと締め付けられるような、でも優しく抱き締められたらこうなるんだろうなっていう。

死ぬ直前だから感覚がおかしいんだよ、きっと。



ああ、息が苦しい。




ピー、ピー




こんなあっさりとした最期なら、神様、少し欲を言ってもいいのなら、



「次はもう少し幸せになり......た.....い...」






ピー......
















「...........来世の君に幸福を。」




そんな言葉が、最期に聴こえた気がした。












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