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Q14 火竜と雷魔の剣?

結構話の流れ変えたので、Q12の後半ぐらいから読むと良きです。

 



 ルインの言う通り、あの火竜は普通じゃない。


 そもそも竜という魔物は戦闘能力が高いだけでなく、他の魔物に比べて知性が高いのが特徴だ。さらに、竜の中でも特に力の強い古龍と呼ばれるものに至っては、人の言葉を介することもできるらしい。


 たしかに火竜というのはほかの竜に比べれば気性が激しく、縄張りに侵入したを人間を襲うこともあるが……。


「あれはどう見ても縄張りから私たちを追い払おう、って感じじゃないよね」


「ああ、それにあの青黒い霧はなんだ?」


「あの霧、あんまりいい感じはしないな……見てると気持ち悪くなってくる」


 火竜の体にまとわりついているあの霧のようなものは、かなりの速さで飛んでくる火竜の周りに常に漂っていることから、火竜自身が発生させているもののようだ。

しかし、青黒い霧を発生させる火竜など聞いたこともない。


「放送では問題ないって言ってたけど、どうなんだろう……」


「わからん。とりあえず様子を見てみよう」



 少しすると、一つの馬車から、人ひとりが乗れるサイズの円盤に乗った人が数人出てきた。例の護衛の者たちのようだ。


 護衛の構成としては、剣を持った前衛が三人と、魔法使いと思われる者が二人。

 護衛たちが乗っている円盤は空中での移動などに使われる魔道具で、それを使って彼らはは火竜のもとに向かっていった。



「火竜ぐらい、俺たちに任せろ!」


「あの火竜、デカい上にいつもと違う。気をしめていくぞ!」


 そう言って彼らは勇ましく火竜に攻撃を仕掛けた。


「おらぁ!」


「アイスニードル!」


 火竜に護衛達のの剣や魔法の数々が叩き込まれた。それによって元々傷を負っていた火竜にさらに大きな傷が出来た。しかし、


「ガァァァアア!」


「うおっ!?」


 火竜は自分の体に大きな傷が出来たのにもかかわらず、護衛に攻撃を仕掛けてきた。


「なんだコイツ、全然ひるまないぞ」


「痛覚がなくなってるようだな……この霧のせいか? 少し面倒だ」


「流石に体力上限までないってことは無いだろ。攻撃はいつもよりも単調だから、注意すれば大丈夫さ」


「ほらほら、来たぞ」


 さっきまで護衛たちが話していたところに、火竜の炎弾が飛んできた。


「さっさと決着つけて、さっきのポーカーの続きだ!」


「「「「おう!」」」」


 気合を入れた護衛たちは、勇猛果敢に謎の火竜に立ち向かった。








「大丈夫かな、あの人たち」


「装備や立ち回りを見る限り、大丈夫だとは思うが……」


 火竜は護衛の者たちを蹴散らそうとしていたが、なかなか攻撃が当たらず、逆に護衛たちの攻撃にさらされていた。


 かなり有利な状況になり、このまま討伐も可能なのではと思うほどだった。


 が――――



「グルルルルルル……」


「な、なんだ? 急に苦しみだしたぞ?」


「チャンスだ! 一気に決めるぞ!」


 そう言って護衛たちは火竜に接近していったが――




「グオオオオオオオオォォォォォォォーーー!!」


 苦しんでいた火竜が突如、纏う霧の量を増幅させて襲い掛かってきた。


「なにっ!?」


 繰り出された鈎爪(かぎづめ)は、さっきまでのものよりもさらに素早く、荒々しく、それでいて正確に、近くにいた護衛を切り裂いた。


 振るわれた火竜の尾は、さらに強靭に、そして鞭のようにしなりをつけて、彼らを吹き飛ばした。


 吐き出された灼熱の吐息(ブレス)は、さらに巨大で、高温で、そして速く、彼らに打ち込まれた。


 火竜の攻撃はより苛烈になり、護衛たちと火竜の形成は一瞬で逆転してしまった。


 護衛の前衛の者たちが火竜の攻撃をもろに食らってしまい、戦闘不能となった。そのせいで戦線が崩れ、後衛の魔法使いたちにも火竜の攻撃が叩き込まれた。


 そして先ほどよりも禍々しさの増した火竜は、護衛たちを叩き潰してもなお暴れたりないのか、一直線にこちらに向かってきた。



「これ、追いつかれたりしないよね……?」


「護衛の人達が時間を稼いでくれたおかげでかなり加速できたから、おそらくな。……それよりも――」


「――落ち着け、ルイン。あれが彼らの仕事なんだ」


「っ、でもっ!」


 俺はルインが今にも飛び出していきそうなのを必死に抑えていた。


「今は、彼らの稼いでくれた時間を無駄にしてはならない」


「…………わかった」


 こいつは、人が困っていたり傷つけられていると、後先考えずに突撃していく癖がある。


 持ち前の正義感からくる行動のため、俺も危ない時以外は止めないようにしているが、今回はその危ない時だ。


 ――伊達に勇者はしていないというわけだな……。


 俺は涙目になっているルインから手を放し、もう一度窓の外を見た。


「……ん? あの馬車だけ、遅くないか?」


「え?」


 俺たちを乗せている馬車のうち、最後尾を走っている馬車だけが妙に遅かった。


「あれじゃ追いつかれるぞ」


「まさか、故障!? 大変!」


 ルインの言った通り、何か駆動機関にトラブルがあったらしく、その馬車は徐々にスピードを落としていった。


 その背後には、禍々しい霧を吹きだしながら迫る火竜の姿があった。


「助けなきゃ!」


「っ!? まて、ルイン!」


 ルインは馬車のドアをあけ放ち、そばにあった脱出用の円盤を使って飛び去って行った。


「ああもう全く! 世話のかかるやつだ! 武器もないくせに!」


 俺はもう一つあった円盤に乗り、ルインを追いかけた。









 ルインは故障した馬車に向かって大急ぎで向かっていた。


「くっ、間に合え!」


 ルインが馬車の近くに来たときにはすでに火竜がその馬車の防御結界を壊しにかかっていた。


 火竜十頭のブレスにも耐えられるというその結界は、青黒い霧に覆われた火竜のブレスでいとも簡単に破壊されてしまった。


「やい! こっちだぞ、火竜!」


 ルインは、いざ馬車を襲おうとしていた火竜の目の前を颯爽と通りすぎた。


 すると火竜は、狙いを馬車からいきなり目の前に現れたものに変え、それを追いかけ始めた。


「よし! ここから…………あ」



 ――どうしよう、何も考えてなかった!




「と、とりあえず逃げ回る!」


 ルインは火竜の周りを飛び回って、火竜の注意を馬車に向けないようにした。


 しかし火竜も負けておらず、鈎爪や尻尾などを無茶苦茶に振り回してルインを追い払おうと狂ったように暴れた。


 ルインのほうも全力で回避に専念していたが、ノリと勢いで飛び出して来たため武器になりそうなものは何も持っておらず、その上円盤に乗ったのも実はこれが初めてなのでかなり危険な状態になっている。


「うぅ、やばいかも……って、うわっ!」


 ルインの頭すれすれを火竜の尻尾が振りぬかれた。


「ん? あれなんだろう?」


 火竜は、その大きな尻尾を思い切り振ったおかげで体制を崩していた。そのすきにルインは火竜に弱点は無いものかと観察すると、火竜の胸のあたりに何か違和感を感じた。


「……あっ、あの霧ってあそこから出てきてるんだ」


 よく見てみると、火竜の胸のあたりは青黒い光を放っており、そこからあの謎の霧が漏れ出していた。


「あそこを狙えば……」









「ルインーーー!!」


 円盤の操作に手間取っていた俺は、大急ぎでルインのもとに駆け付けた。


「あっ、ライ君」


「飛び出すんじゃない馬鹿! ケガはないか!?」


「そんなことよりもライ君! あれ見て!」


 ――そんなことよりって、けっこう心配していたんだが……。


 そんな俺の心情などお構いなしで、ルインは火竜のほうを指さしていた。


「多分、あの火竜の弱点は胸のあたりだよ」


「……あの光ってるところか。何故だ」


「なんとなく」


「……」


 まあこいつの勘はよく当たるし、信じてやるか。


「それで、どうするつもりだ」


 俺もルインも、今は武器らしい武器を持っていない。そのため、いくら火竜の弱点が分かろうと意味はない。このままでは危ない。この状況を打開する策があるとすれば……、



「ライ君、武器つくれる?」


「もちろん」



 俺のスキル【魔剣創造】による、魔剣(ぶき)の作成だ。とはいえ……、


「今の俺の力ではろくなものは作れないぞ」


 そう、昔ならばまだしも今の力では強力な魔剣をつくるのは難しい。そのため、なるべく威力のあるものをつくろうとするには、ほかの何かを削らなければならない。例えば、魔剣が存在できる時間や作成時の魔力消費量などだ。


「大丈夫、すぐに終わらせる」


「……分かった。ただし、チャンスは一回だ。それと、俺が集中している間火竜の注意を引き付けてくれ」


「まっかせといて!」


 ルインは頼もしく返事をして、火竜に突撃していった。


 そうして俺はスキルの発動準備に取り掛かった。


 魔剣の創造に重要なのはイメージだ。多少例外もあるが、基本的にはあらかじめどんなものを作るか決めておかないと、何ができるかわからないのだ。




 ――形状は、『長剣(ロングソード)』。 持続時間は、『30秒』。 属性は、攻撃力が高く火竜とも相性の良い『雷属性』。 消費魔力量『大』。 消費魔力量と継続時間を犠牲にして、威力を大幅強化。



 最後に『魔剣技』を設定。



 魔剣技とは、その魔剣が使うことのできる固有の技のことを言う。魔剣技には強力なものが多いが、連発できるものではない。まさに必殺技だ。


 本来なら一振りの魔剣につき一つの魔剣技しか設定されていないが、俺が作る魔剣は作成時に俺が自由に決めることが出来る。



「よし、こんなもんだな。…… 『魔剣創造』(ソードクリエイト) 」



 俺がそう唱えると、俺の前方に光る魔法陣が発生した。魔法陣からは常に電気がバチバチと音をたてながら発せられている。


 魔法陣は回転しながら光を増していき、その中央から帯電しながら発光する剣の柄がせり出してきた。


 俺はその柄をつかんで、ゆっくりと引き抜いた。





「顕現せよ、 『雷魔の剣』(らいまのつるぎ) 」







次はお待ちかねの戦闘シーン! (書けるかなぁ……)

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