Q12 出発と赤?
はい、すみませんでした
「お、来たな二人とも」
「どうだいライアス君、私の娘に起こされる気分は。最高だろう?」
そう言って俺たちを迎えたのは俺の父親とルインの父親のロナウド国王だった。
すでにあたりには貴族の子供たちとその親たちが集まっていた。そしてその中央には鉄製の馬の形をしたゴーレムと、そのゴーレムにつながれている大きな馬車が数台ほど止まっていた。そのうち一台はほかのものよりも小さいが、豪華な装飾がされていた。
「へ~、あれに乗って学園に行くんだ」
ルインは物珍し気にその馬車を眺めていると、国王が話しかけてきた。
「あの馬車は学園専用の馬車でな、空間拡張などの様々な魔法がかけられ、通常の馬の数十倍の馬力をもつゴーレム馬が牽く世界最速の馬車だ。ちなみにあの小さい馬車がお前たちののる馬車だぞ」
国王がそう説明するとルインはますます興味を持ったらしく、ほ~やらへ~やら言いながら見た後に俺のほうを向いて乗ってみようと言った。
「俺は別にいいけど……」
「行ってきなさい、私たちのことは気にせんでいい」
「そうだぞライアス。それにまだ時間はあるからな」
俺が迷っていると二人の父親がそう言ってきた。
「分かりました、行ってきます」
俺たちは自分たちが乗る馬車を一通り見てまわると出発の合図が出た。
「お別れの挨拶は済んだか? ルイン」
「うん、もちろん。でも、ちょっと会えないだけでお別れって言うのはねぇ?」
「そのわりには寂しそうだけど?」
「……少しね」
強がりな事を言っていたが、中身を開ければこんなもので、ごく普通の女の子のようだった。
「そんなに寂しそうにしなくても、また長期休暇の時にでも帰ってこられる」
「……そうだね!」
ルインがいつもの元気を取り戻したところで、出発の笛が鳴った。
子供たちが馬車から親に向かって手を振っている。俺とルインも国王たちに手を振った。
そして、貴族の子供を乗せた馬車は城門を抜けてから飛びたっていった。
そう、飛びたっていったのだ。
空中に魔力で形成されたレールが次々と敷かれては消えていき、馬車は空を駆けて行った。
空を行く理由としては、盗賊などに襲われたりしないようにだとか、空中のほうが速度を出せるだとか色々ある。と言っても俺は飛ぶなんて聞いてなかった。
後で聞いた話だが、この事を知らなかったのは俺だけでルインや他の子供たちは知っていたらしい。どうやら父上は伝え忘れていたようだ。
魔法がかけられている上に空中を走っているおかげで振動もなくそれこそ最高の乗り心地だったが、そんなことは関係ない。
…………後で覚えてろよ、父上。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
無限に広がる青空の中、ポツンと一つの点を打つように存在する赤がいた。
その赤には大きな体と、太くて長い尾、体の大きさに見合う大きな翼、雄々しくのびる角があった。
しかし、今やその美しい体には無数の傷跡があり、絶えず青黒い霧のようなものを帯びている。
赤は、自分を蝕む青黒い霧に苦しみ、悶え、暴れていた。
ふと、赤は自分の近くを何かが飛んでいることに気づいた。
赤は、霧によって生まれた破壊衝動のままにそれに近づいていく。
その眼に、光はない。
はい、すみません。かーなーりー遅れてしまいました。ここ最近色々とありましてね、リアルでもドラゴンズドグマオンラインでも忙しい日々でした。今後もなるべく更新していく所存です。