章末問題 神々の思惑
今回はかーなーり短めです
魔王ライアスと勇者ルインが再会した頃、ある白い霧が立ち込めている場所で一人の人の形をした何かが、その様子を観察していた。
「ふむ、二人は出会ったようじゃの……しかし、この世界は確か――」
「私の世界を見るのはそんなに楽しい? 7番目」
唐突に霧に向こうから声がかけられた。
「……誰かと思えば、87番か。前にもちゃんと目上の者には敬意を持った呼び方をしろと言ったはずじゃ」
「何が目上よ、たかが私よりも少し早く発生しただけでしょう? 7番目さん」
「少しではないじゃろう。それと、わしのことは第七世界管理者と呼べ。……全く、これだから最近の若いのは」
「うるさいわね世界の『悪しき力』の均衡も保てない老害が。そんなんだからあなたの世界の人類が絶滅しそうになったんでしょ」
「少々調整をミスしただけじゃ。それよりも、多少の被害で抑えたわしの手腕をほめてもらいたいの」
「誰がほめるもんですか。はぁ、それに比べて私の世界はなんて完璧で美しいのでしょう。どこかの誰かの世界とは大違いだわ。それぞれの種族が手を取り合って、完全に調和している」
「よく言うわ、『オド』を一か所に集めているだけのくせして。いずれ爆発するかもしれんぞ」
「黙りなさい、そんなこと起こすわけないでしょう」
「の割にはわしの世界で生まれた特異点の魂を欲していたようじゃがなぁ? よかったのぉ、一つならず二つも手に入れられて」
「もしもの時の備えはするに決まっているわ。ま、もしもなんて起きるはずないけどね」
「勝手にやっとれ。……言っておくが、あの二人はわしの世界の『オド』の犠牲となった者たち、丁重にあつかえよ?」
「当たり前でしょう?」
「それと最後に――」
「老人は話が長いわね。それで、なによ」
「あまりため込みすぎるなよ」
「…………」
「それじゃあの」
そう言って、七番目とよばれたもの……神はその場から消えていった。
「……言われなくても、分かってるわよ。そんなこと」
そして苛立ちをにじませながらも、もう一人の神も去っていった。
濃い霧があたりを包み込むように広がっている。
風もないのに、霧は常に揺らいでいた。
そこには誰もいなかった。
第一章完結です。 あと、分からなくなったら登場人物紹介のほうを見といたほうが良いかもしれません。
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