▶これまでのあらすじ◀
【第1巻『海賊の冒険』までのあらすじ】
by メアリ・シレーン
わたしはとある海戦で運命を感じて、シャーク海賊団の船に乗ることになった。
船を率いるのは『海賊の王子様』ラムズ・シャーク。宝石のためなら命さえ惜しまない、ちょっと頭のおかしい船長。
シャーク海賊団が強い理由、それは船員のほとんどがルテミスだから。
──ルテミス。
赤髪赤目、強靭な筋力と高い敏捷力・跳躍力を持つ元人間。彼らは人間だった時に、神様(*1)に依授されて姿や性格が変わった。姿は赤髪赤目に、性格は戦闘を好むように。
依授っていうのは、神様が神力という特別な力を生物に与えること。人間以外の使族(*2)や、魔物(*3)も依授されることがある。
人間が依授された時は、殊人って呼ぶの。そのうち、「赤髪赤目、強靭な肉体と筋力」という神力をもらった人たちを、ルテミスと名付けたというわけ。
この船で特に仲良くなったのは、ラムズの他に二人のルテミス。
かわいい顔して戦闘狂のジウ。
船員のまとめ役、苦労性のロミュー。
あぁ忘れてた、最初の船から世話になっているルドもいたわね。彼は茶髪黒目でただの人間。最近はちょっと雰囲気が変だけど──。
無人島では石版の言葉をラムズに教えてもらった。ラムズは大体意味が分かるらしいけど、わたしにはさっぱり。もう言葉の内容も忘れてしまったわ。わたしの呪いには関係ないもの。
わたしはクラーケンとの戦いで歌の力を使った。歌うことで、生物を操ることができるのよ。それにも限度はあるけどね。
でもそのせいでガーネット号の船員にわたしが人魚であることがバレちゃって、鱗が剥がされそうになったの! 本当に痛いのに!
そしてそれを見たラムズは、自分の宝石が盗まれた時と同じくらい、激怒した。というのも、ラムズはわたしの鱗に宝石くらいの価値を見出しているから。
わたしは船長室でラムズに鱗を見せてあげた。代わりに、人間から守ってもらう約束も取り付けた。
ところが、わたしが船長室を出ようとした瞬間、扉にかけた罠の魔法が発動しちゃって──?!
わたしは今は夢の中。もうすぐ海賊島に着くらしいけど……大丈夫かな? 早く誰か助けて!
*1 神様
(神様は全部で七人いるの。七人の神様はただ自然界を操ったり、使族を創ったりする存在としてしか捉えられていないわ。人間はともかく、少なくともわたしは崇拝してない)
*2 使族
(使族っていうのは、神様が創った存在のこと。人間や人魚、エルフ、ドラゴン、クラーケンなんかも使族よ)
*3 魔物
(わたしたちの世界には使族と魔物しかいない。魔物は空気中の魔力から自然発生する存在。魔物が言葉を話しているのは見たことないわ。基本、わたしたち使族を襲ってくることが多いのよ)
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