▶これまでのあらすじ◀
【第4巻『宗教』までのあらすじ】
by ラムズ・シャーク
俺たちはケンタウロスのヘレウェスたちの背中に乗って、ハイマー王国の港町アゴールから首都ベルンに向けて旅立った。
ケンタウロスってのは、ヒッポス(馬)と人間を掛け合わせたような使族のことだ。こいつらは仲間意識や家族愛なんかにこだわりがある。
俺はメアリに告白をしたが、その件についてヴァニラに真実を伝えた。まあ金の腕輪のこともあるから、まだあいつとは協力関係にありたいしな。なに、気にしなくていい。これはこっちの話だ。
道中、ラピスフィーネというニュクス王国の王女に会ったが、彼女とはしばらく関わらないだろうから一旦置いておこう。
はあ? 護衛騎士? そんなのいたか? もう忘れた。
問題はベルンの冒険者ギルドで会ったアリスティーナだ。
紫髪の気の強そうな女で、海賊になりたい商人の娘だ。人間ってだけで面倒だが、人魚に偏見は持っていないようだから今回は良しとする。
そういえば、アリスティーナは人探しをしているらしいな。ウィルスピアもそうだ。
そもそも、冒険者ギルドにはフェアリーの言葉を話せる能系殊人(*1)を確保するために出かけた。
そこで例のウィルスピアという少年を見つけたが、彼をフェアリーのいる森に連れていくためにクエストをやらなければいけなくなった。
クリュートという街で子供が消える原因を探せだと。面倒臭い。だが運命的に断る必要はなかったんで、俺たちはそのクエストを受けることにした。
狂妖鬼の話をメアリに少ししてやったが、あんなのただの雑談だからな。ま、もしかするとそのうち本物の狂妖鬼様とお見えするかもしれんがな。
一方のレオン。
レオンは、ようやく俺がルテミスたち(赤髪の化系殊人。ジウやエディのことだ)を奴隷として売ったわけじゃないと気付いたらしい。化系殊人ジョーカー(*2)の仕業だったってな。
ジョーカーは、ガーネット号に乗ってたルド・アネルという男だ。あいつ俺の宝石を盗んだ件にも一枚噛んでるから、会ったら絶対に殺さねえと。もちろん嬲り殺しで。
それで、とりあえずレオンは同じ転移者の黒須熾衿を探すことにした。
崇神教(*3)の教祖、ゼシル・ゴディアス・ヴォルフの協力もあって、無事シエリ奪還に成功。彼らは二人で聖ナチュル国に向かうことになった。
だがこのゼシルって男がなかなか曲者でな。
レオンに協力を約束しておきながら、実際あいつはシエリを攫ったスワトと知り合いだったりするわけだ。
ったく。あいつの「お分かり?」って口癖はいちいちイラッとくんだよな。今後また絡んでくるかと思うと、それだけで頭痛がする。
スワトは闇社会の王みたいなもんだ。青髪で肩に刺青のついた、いけ好かないただの人間。光神教(*4)を信仰しているスワト会のトップだ。
シエリはシエリで、完全にゼシルを自分のヒーローとして崇めてる。あんなやつがヒーローとかお先真っ暗だな。同情するよ(できねえけど)。
もちろん当時の俺は、この時レオンやゼシルが何をしていたかも、シエリの事情も知らないぜ。
ん? 魔法で見てるんだろってか? いーや、そこまで魔法は万能じゃない。この【あらすじ】は当時を振り返って書いてんだよ。
あーなに、覚えておかないといけないキャラ?
そうだな。レオンと同じ転移者のシエリ・クロス、あいつらを助けた胡散臭い騎士のゼシル、あとは俺たちが出会ったアリスティーナくらいだな。
それ以外はしばらく出てこねえし、一旦忘れちまっても問題ない。メアリだって完璧超人じゃないんだからな、名前も顔もすぐ忘れるんだよ。
気を取り直して、ここから先はクリュートという街の話に入る。例のギルドで依頼されたクエストのせいだ。
そうそう、ついこの前の怪しい三人組の企みは、また少し後で関わってくることになるだろう────。
*1 化系殊人
(殊人は二種類に分かれる。
化系に分類される場合、神に依授(≒授与)されたあとで見た目と性格が変わっているという条件が必要だ。逆に能系は見た目も性格も変わらない。能力を貰うだけだ。
人間も魔物も人間以外の使族も、とにかく依授されれば全員神力持ちと呼ばれる。
そのうち、
依授された人間は殊人、
依授された魔物は獣人、
という特別な名前がある)
*2 ジョーカー
(ジョーカーというのは、ルテミスなどと同様、同じ神力を持つ化系殊人ごとの呼称だ。ジョーカーの依授された神力(後天的に神にもらう特別な力)は、黒い瞳と相手に嘘を信じ込ませる能力)
*3 崇神教
(ゼシルが作った宗教。七人の神を同等と見なしている。使族は皆神から試練が与えられていると考え、真っ当に生きていくべきと唱えている。ようは、とりあえず神様信仰しとけって感じの宗教だ)
*4 光神教
(光の神フシューリアを主神と見なし、世界が混沌で溢れていればいいという考え方の宗教。とにかく頭がおかしいんだ。カオスを好むため戦争や争いごとをわざと仕向けるような真似をしたり、な。本来プルシオ帝国で主流の宗教だが、昨今スワト会がハイマー王国で光神教を広めている)
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【参考画像】
《神力持ち》
《宗教》
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※いつも閲覧ありがとうございます。
以前お伝えした通り、キャラも使族もその詳細も、また難しい国家間の情報や魔法のあれこれなど、全部出てきたその時だけ楽しんでもらえれば大丈夫です。常に登場しているキャラクターの名前だけ、覚えていてくれればと思います。
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