最下層【居住区画】4
破かれた、つまり攻撃を受けたということだ。
けれど無残な姿になった装備の隙間から見えるその肌には傷らしい傷は無い。
「何とやりあったんだ」
「なに、狼型二頭と鳥型が一羽程度さ」
「鳥って、マジかよ」
「なんでその程度で済んでんだお前……」
鳥型の【sc】は常に飛行しているため、基本武装では攻撃が届かない。
さらにその速度は速く、例え高価な銃武装を持っていても易々とは当てられない。
「うまく刃落としが当たってくれてよかったよ」
「投げたのか」
「ていうか当てたのか」
よくもまぁ、あんな棒切れと変わらん物で探索に出るなとは感心していたが、そうか。
こいつにとって武器と言うのは、良し悪しでは無く使えるかどうかなのだろう。
「まぁ、お前みたいなのでも客は客だ。物があるってんなら買い取るから出しな」
「相変わらずツレない態度だね」
そう言いつつ肩をすくめ、バックパックから無造作に置かれたそれを見て俺と店長はさらに驚くことになる。
「おま、これ!」
「D型の! しかもほぼ無傷!」
「なんとそれが三つあるのさ!」
次いで出された無傷のD型キャブレッサー二つ。
ありえない、なんだこいつ。
運がいいとかいうレベル通り越してるぞ。
「わかった、三つで四、いや五千で買い取ろう」
「ありがたい」
「ご……」
五千、だと?
さっきの僕のガラクタが五つで20コル。
「…………」
「いろんな意味で桁が違うな」
ニヤケ面でそう宣う店長を横目に、俺は只々項垂れるばかりだった。