表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白狐のミソロジー  作者: ヴァイス
末裔の白狐
5/43

狐人族、マジチートェ・・・・・・。

できました。


誤字脱字あったらすみません。

「『狐人』?」


 タイトルが二文字で済む本とか久しぶりに見たわ。本自体もそこまで厚みが無いし。夏と冬の祭りで物販されてる薄いアレ?


 冗談はともかく私はその本を読みだす。


 三十分後。


「ふぃー」


 読み終わった。

 何というか、まさしく狐人について書かれてたわね。


 内容的には、村の掟や仕来り、そして狐人族という種についてって感じ。


 まず、狐人族は寿命が長くて一万年近く生きる人もいれば、千年で死んでしまう人もいる。どっちにしたって、一般的な人から見ればとんでもない長寿よね。短くて享年千歳って・・・・・・。

 しかも、狐人族は老いというものを知らず、どれだけ生きても若々しい体を保つらしいわ。よし! これで老化に悩まなくて済むわね! どうでもいいけど。

 理由は解明されていないけど、一説には他種族が通常持つことのない霊力を持つからだとか。

 それから、狐人族は長い寿命を持つが故か子供も生まれにくい。同年代が三人以上いれば多い方みたい。加えて、一家庭につき一人の子供しか生まれないっていうのもあるみたい。ていうか、なんでこんな長寿な種族なのに村が一つだけで、しかも二百人前後しかいないのかしら。

 今いる人の数も生まれる子供の数も少ない。絶滅危惧種じゃない?


 狐人族の種族特性については、一言でまとめれば『チート』ね。


 狐人族は勿論獣人族の中の一つなんだけど、その身体能力は獣人の中でもトップクラスみたい。単純な力比べなら、怪力自慢の熊人には勝てないけど、総合的な一個体の身体能力なら狐人族の右に出る種族はいないそうよ。


 それに、狐人族は成長が早くて、一年もすれば自立行動ができるし、二年すれば狩猟とかもできるようになる。成長が早かったのは種族特性だったのね。


 そして、狐人族は能力の成長限界というものを知らない体質みたいで、人によっては熊人すら力で圧倒する人もいるみたいね。

 狐人族、マジチートェ・・・・・・。


 しかも、身体能力だけではなく、魔法の扱いに関してもエキスパートみたい。


 狐人族は平均で四系統以上の魔法を使える。この世界では、一般的に二系統使えるならそれなりの実力者なことを考えれば、狐人族の平均が四系統なのが如何に凄いかというのがよく分かるわね。

 人によっては全系統の魔法を高いレベルで使いこなすみたい。

 しかも、種族特性かなんか知らないけど、持ってる魔力も他種族より遥かに多いらしいし。


 系統外については、狐人族である限り必ず系統外は使えるから。種族固有の魔法があるし。


 種族固有魔法【幻術】。魔法なのに・・・・・・・・・・・・術? これはスキルでは?


 ま、それは置いといて。さっきも言ったけど、村全体にも幻術が使われてて外からは見えない。狐人族は全員がこの幻術を持ってるから、自然と見極められるんだって。私もある! と思う。試したことないから知らないわよ。


 さて、ここまで書いといてあれだけど、狐人族には今まで言ってきた以上のとんでも能力が存在するのよ。それは――――


 種族固有スキル【血滾(けっこん)


 身体強化を遥かに超えた物理法則の限界すら突破する肉体(・・)強化スキル。


 霊力を持つ狐人の身体だからこそ耐えられる強化スキルで、他種族が使えばたちまち肉体は崩壊するんだって。尤も、狐人族以外の種族が持っているスキルではないみたいだけど。じゃあ、どうやって肉体が崩壊するって調べたのよ。


 まあ、固有スキルだからと言って誰もが使えるわけじゃないけどね。むしろ、大抵の人は使用不可になっているみたいね。いや、スキルとしての意味をなしてないじゃない。

 まあ、固有スキルはこれだけじゃないから気にする人はいないけど。ていうか、血滾は使用後の反動がハンパないから、むしろ使いたくないと思ってる人の方が多いわね。私は使ってみたい!


 種族固有のスキルはまだあるわよ。

 一気に言うと、【魔力操作】【夜目】【透視】。この三つね。まあ、語感的に判断はできそうだから説明は省くわね。あ、やっぱり一つだけ。


 【魔力操作】。これは読んで字のごとく。魔力を操作するために必要なスキル。なんでこれを説明したいかっていうと、魔法につながってるのよね。


 魔法は詠唱が必要で、詠唱をすることによって体内の魔力を体外に放出して魔法を発動する。つまり、その放出するためのプロセスをスキルで行うことができるのよ。そうなると無詠唱で魔法を発動することができるようになるわけね。


 他の人種だと、この魔力操作がないから詠唱短縮はできても無詠唱はできないってことね。魔力操作を持っているのは狐人族、エルフ、そして魔物。これだけ。


 魔物が持っている理由は声帯がなくて、しゃべることができないから進化の過程で魔力操作を持つことができるようになったんだとか。


 エルフは人という名が付く種族ではあるけど、本来は小精霊と呼ばれる人族よりも高位の種族だから使えるってこと。まあ、詠唱がカッコいいと思ってる人には悪いけど。精霊とかが魔法発動のために一々詠唱していたら私的にはドン引きものね。


 さて、ここまでが狐人族という種に関する説明でした。


 次は、村の掟について。といっても、掟ってほどの掟はないわね。


一つ、悪事を働くなかれ

一つ、己が力を奢るなかれ

一つ、自らの行動に責任をもって行動せよ

一つ、他種族の争いごとに介入するなかれ


 以上。

 上三つなんて人として当たり前のことよね? 掟にする意味あるの?

 四つ目は、現村長が付け加えた掟みたい。何でも、現村長は結構な面倒くさがり屋なんだとか。そんなのが村長でいいわけ?

 まあでも他種族の戦火が狐人族にまで及ぶのは誰も望まないでしょうし、掟にしなくても介入はそうそうしないと思うけどね。


 掟についてはこんなところかな。で、次に仕来りだけど。


 まず、二歳になった子供は全員狩猟に行かせるみたいよ。かなりスパルタね。

 魔物を狩って、その日の食料にする。狩猟の仕方は子供に一任されるわね。さすがに火系統魔法で焼き過ぎて肉が残ってないとかは問題だと思うけどね。たまにあるみたいよ? で、女の子の場合だと狩猟を怖がる子もいるから、食べられるのなら山菜を持って帰ってもいいみたい。まあ、それを続けてたら、いずれ両親監視の下狩らされることになるけどね。


 さあ、食料を確保するのが子供のすることであるなら大人はどうするのか。

 答え。基本的には農作業。何も狩猟だけで生計を立て続けようなんて考えていないのよ狐人族は。だって、そうでもしないと幼い子供が大人を養うっていうわけのわからない状況になるもの。


 尤も、危険度は子供たちの方が明らかに高いから、死んでしまう子もいるみたいだけど。全員それは承知してることだから、悲しみこそすれ「どうしてウチの子が」みたいに泣き崩れることはないわね。それが親が子供を狩場に立たせるためにした覚悟だから誰も慰めないし、咎めない。


 そして、その生活を三年続けた後、つまりは子供たちが五歳になったときに旅をさせる。


 狐人族での五歳は一般の人の十歳くらいに当たるため、旅させるのは不思議じゃない。この世界での成人は十五歳。けど、一般の人族でも十歳には自立して色んなことをするのよね。人によっては親にベッタリの子もいるみたいだけど、狐人族はそれを善としないから、自立をさせるために無理やりにでも旅をさせるのよ。過去に旅なんて行きたくないと駄々をこねた狐人が寝てる間に旅のフルセットと共にどっかの森にポイされたこともあったみたいよ。容赦ないわね狐人族。


 十歳になるまで旅をさせて、その後に村で約二年ほど過ごすことになる。


 なんで二年かっていうと、学園に通わせるため。

 アスティア王国は十二歳から十五歳までが義務教育期間になってるの。それは王国領土内に籍がある限り種族関係なしに子供の義務になるみたい。そのおかげで、アスティア王国の識字率はほぼ百パーセントなんだって。だから、若い冒険者とかは割と頭がいいみたい。


 まあ、王位継承で国王が変わってからこの義務教育制度ができたのよね。王位継承も七年前だから、古参の冒険者は基本的に新人よりは頭は良くない。そうじゃない人も普通にいるとは思うけどね。


 で、話が変わるけど、狐人族も義務教育の対象になるので身分証が必要になる。


 一般的だけれど、ステータスカード。これが身分証になるわね。元の世界にある異世界ものの小説とかでありがちな物だけど、この世界にもあるのね。


 ステータスカードは教会で発行しているものを受け取ることになっている。基本的には五歳になってからもらうものなのよね。けど、狐人族は孤立した集落のような村だから当然教会なんてものはない。じゃあ、どうするかっていうと、一歳の誕生日に村長が直々にステータスカードを渡しに来るみたいね。

 勿論、これは村長だけじゃなくて、国王直々の仰せでもあるから受け取っても問題ない。ていうか、受け取らないと怒られる。


 村でステータスカードを渡すのは、旅の心構えをさせるためって意味合いも込めてるみたいね。まあ、自分の能力が分からない状態で旅に出すとか死んで来いって言ってるようなものよ。いくら覚悟のあるスパルタな狐人族もそこまで冷酷無比じゃないわ。


 書いてあったのはこれぐらいね。というわけで、『狐人』を本棚に戻す。


 その後も、気になる本を次々と読んでいって一日を過ごす。


 何かに夢中になってたら時間って過ぎるの早いわよね。もう夜じゃない。

 それでは皆さんお休みなさい。また明日。


はい。説明回の分割は完了しました。


次回からはちょっとずつ物語を進めようと思います。よろしくお願いします。


5月23日修正。狐人族について少し設定をくわえました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ