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白狐のミソロジー  作者: ヴァイス
末裔の白狐
18/43

百合と言われても文句言えない。

結構短いです。

「オーパーツってホントなの!?」


 ココが驚きをあらわにして聞いてくる。


「えぇホントよ。識別名は天玉。何でも願いを叶えてくれるオーパーツみたいね」

「何でもって・・・何でもなの!?」

「うん。何でも」


 私の肯定を聞いて、ココはポカンと口を開けながら呆けている。うん、やっぱりココは可愛いわね。百合? 言いたければ言っとけばいいわ! 否定も肯定もしない!


「じゃあ、今すぐ願いを叶えるの?」

「あぁ。どうにも感情が極限まで高まってないとオーパーツは反応しないみたいなのよ」

「どういうことなの?」

「極端なこと言っちゃえば、我を忘れるほど怒り狂ってる時とか、大切なものを失って絶望の底にいる時とか」

「それ、まともにお願いできる状況じゃないの」


 ココの言う通りね。極限の感情っていうのは冷静な状態じゃないから、その時その時で考えたことが願いとして聞き届けられることになりそうね。

 ただ、この効果を知らなかったら単に願いが叶えられるっていうところにだけ食いついて奪い合いになる可能性は高いわね。


「いずれにしても、最良は処分した方がいいんだけどね」

「処分しちゃうの?」

「勿体ない気もするのよね・・・・・・」

「優柔不断なの」

「失礼なことを言わないで欲しいわね。性能を見る限り処分はした方がいいけど、せっかくのオーパーツだからただ砕いちゃうのもアレかなぁって思っただけよ」

「それを優柔不断って言うの」

「なんてこと!?」


 私はその場に両手両膝をついて落ち込む。そうか、私優柔不断なのね。


「結局どうするの?」

「まあ保留よね」

「復活早すぎなの」


 立ち直りの早さにはとても自信があります。


「現金とは思うけど、持ってることで何かしらプラスに働く可能性があるし」

「そう上手い話はないの」

「そうね。ま、とにかく保留よ」


 私はオーパーツを収納に仕舞う。


「さて、帰りましょうか」

「待つのリリ。今、サラッととんでもないことしたの」

「何が?」

「いきなり黒い穴が現れたと思ったらその中に天玉を入れたことなの!」

「あぁそれね」


 時空魔法の鍛練してる時に魔法で荷物持てないかなって考えてたのよね。で、思い出せば、前の世界で読んだこういう魔法のある世界じゃ、アイテムボックスとか収納とかそういう荷物運びに便利な魔法があることに思い至ったのよね。ちなみに、時間も止まるからお肉とかも腐らないわ。ドロップアイテムとは言え普通に腐るっていうことは覚えとかないといけない。


「まあ、荷物運びに便利かなぁって思って時空魔法の鍛練がてら作ってみたのよ収納。容量無限のアイテムボックス程使いまわしは良くないけど。狩りする分にはかなり使えるわよコレ」

「普通はマジックバッグなの。魔法で持ち運びとか聞いたことないの」

「でしょうね。多分、使える人少ないと思うわよ?」

「少ないというか皆無なの。まず時空魔法なんてものを持ってる人がほぼいないの」


 そうね。空間魔法ですら怪しいのに時空魔法なんてぶっ飛んだ魔法持ってる人は中々いないでしょうね。


「ま、そこは私だからってことで」

「ホントリリは無茶苦茶なの」

「てへぺろ」

「ウザいの」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「あからさまに落ち込まないでほしいの」

「ウザい・・・ウザい・・・・・・」


 ヤバい。元の世界じゃ平気だったのにココにそう言われたらショック度合いが段違いだった。


「リリ、リリ」

「・・・・・・」


 肩を揺すられているような気がするけど今は少しそっとしていてほしい。ショックが大きすぎてヤバい。


「リリ。大好きなの」

「ココーーーーッ!」


 大好きと言われた嬉しさでココに思いっきり抱き着く私。


「単純なの」


 ココが何か言ったみたいだけど気にしない。抱きしめたココの柔らかさを存分に堪能する。私の四つの尻尾はあたかも犬のようにブンブンと振られている。自分の意思でやってるわけじゃないからね?


 一時間後。


「リリ。もうそろそろ離れて欲しいの」

「ようやくその言葉を言ったわね。正直言って数分でそう言うと思ったわ」


 言われないのをいいことにずっと抱きしめてた私も大概だと思うけど。だって柔らくて温かいんだもんココって。しかも、ココの二本の尻尾がこれまでにないくらい振られてたのを見て嬉しくなって余計抱き着く時間が長くなってしまったし。

 これは百合と言われても文句言えない。


「まあ、リリに抱きしめられて嬉しかったっていうのはあるの」

「それでも一時間無抵抗は大概だと思うけどね」


 元の世界で同じことやっても数秒で引っぺがされると思う。


「とりあえず、今日の狩猟数は一定に達したわけだし帰りましょうか」

「そうするの」


 こうして私とココは村に帰った。


 その後は、特に変わることなく月日が過ぎていく。


 けど、その平和が長くは続かないことを私たちは知らない。


 まだ、知らない。

ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします<(_ _)>

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