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白狐のミソロジー  作者: ヴァイス
末裔の白狐
15/43

今の叫び声、何なの?

ココ視点です。最後の方で切り替わります。

 ココが狩りをするようになってから二ヶ月ほど経ったある日。




「ガルァアアアッ!」

「ッ―――」


 間一髪で噛みつき攻撃を避ける。


 私の前には白い体毛を持った二メートルくらいの魔物、ホワイトレオパードがいるの。本日の獲物さん四号なの。


「ルォオオオオオッ!」


 ホワイトレオパードが吠える。すると、ホワイトレオパードの周りに尖った氷の塊が六つ現れる。ホワイトレオパードの固有魔法《アイシクル》。ホント厄介なの。


 固有魔法というのは魔物だけが持つ特殊な魔法なの。詠唱が必要ない(できないだけ)上に即時発動というホントに厄介な魔法なの。


 いつも思うけど、森の中なのになんで氷系統の魔物が出てくるの?


「ルガァアアアッ!」


 六つの氷塊が飛んでくる。


「”炎壁”!」


 魔法で炎の盾を作り氷塊を全て防ぐ。


「こっちの番なの! ”雷槍”!」


 大きさ5、速度8なの。


「行けっ!」


 高速の雷槍を放つ。


 ホワイトレオパードは危なげなく左に躱す。


「読み通りなの」


 大きさと速度の設定を既に終えて待機させていた魔法を発動。


「”氷弾”!」


「ルァンッ!?」


 ホワイトレオパードは氷弾で頭を粉砕されて、そのまま光の粒子になったの。そして、その場にはドロップアイテムが出てくるの。運に左右される分、狩りの効率が悪い気がするの。


「それにしても、リリの言ったことは凄いの」


 普通、氷弾とかの物理的な攻撃魔法になると狙いがブレてしまうの。氷系統や土系統に適性がある人はこの初級魔法を上手く使えるようになって初めて一人前への第一歩を踏み出せるの。

 かなりの修練が必要で、基本的には結構嫌われてる系統なの。命中率は悪く、しかも設定した速度よりもちょっと遅いから望む速度から一段階上の速度を設定しなくちゃいけないの。私はそれが面倒だったから諦めようと思ったの。

 そのことをリリに伝えたら、空気抵抗があるからとか何とか言ってたの。ただ、その後にリリが教えてくれた解決法のおかげで、氷系統を諦めずに済んだの。


 リリが言った解決法。それは、氷弾に回転をつけることだったの。


 リリの指示通りに回転をつけると、氷弾は狙ったところに当たったし、速度も落ちなかったの。


 そのまま練習をして、十分に使えるようになったの。どうしてできるようになったのかリリに聞いたら、回転を与えることで軸を安定させて動かなくなるジャイロ効果を利用して何とかかんとかって言ってたの。聞いてても全く分からなかったの。それを伝えたらリリは「まあそうよね」って言って苦笑いしてたの。


 けど、やっぱりリリは凄いの。色々と私が知らないようなことを知ってるし、それを自慢したりとか全然しないの。あれだけ知識があるなら誇っていいと思うの。


 そんな感じで私は氷系統の練習をしているの。尤も、使う魔法によって回転を変えないといけないからそのあたりは要練習なの。


 私はホワイトレオパードからドロップしたアイテムを拾うの。


「ホワイトレオパードのお肉、ゲットなの!」


 ホワイトレオパードのお肉はとても美味しいの。けど、ドロップ率は凄く低くてかなりの高級品になるってパパとママが言ってたの。まあ、狐人族にとっては運よくたまに食べられる程度の物なの。


「今日もいっぱいなの」


 狩りで手に入れたお肉もそうだけど、食用植物とかもキッチリ確保してあるの。後は帰るだけなの~。ラララ~♪


 そのまま私は道なき森の中を歩くの。狐人族なら、何となくどこに村があるかを感じ取れるからいいけど、他の種族だとそうはいかないから、マーズ大森林は遭難者が絶えないの。ご愁傷様なの。


「?」


 村に帰ってる途中で気配感知に何かがかかったの。すぐに側の茂みに身を隠して気配のする方に近づくの。


 そっと覗いてみると、白い体毛を持った小さくて可愛い魔物がいたの。それは――――


「ラピッドラビットなの」


 この世界で最も美味とされるお肉を持った魔物なの。

 個体数がかなり少なく見つけることがまず困難なの。よしんば見つけたとしてもその逃げ足の速さや危機察知能力の高さゆえに狩ることがかなり難しいの。

 でも、見つけた以上これはチャンスなの。


 食事に夢中になってる今のうちに私は魔力操作で右手に魔力を集めて魔法を練り上げる。使う魔法は雷系統上級魔法”雷撃”なの。


 明らかにオーバーキルだけど、これが今使える魔法の中で最速の攻撃なの。確実に仕留めないといけない以上、これは仕方ないことなの。


 だけど一撃は難しいかもしれないの。だから、左手にも同じことをするの。


 ラピッドラビットが何かを感じたようでキョロキョロしているの。


 けど、遅いの!


「”雷撃”!」


 茂みから一気に飛び出して先読を使いながら左手の雷撃を放つ。


 その直後に右手からも放つ。


 ラピッドラビットは一撃目の雷撃を大ジャンプして躱す。しかし――――


 そこには既に放たれていた二撃目の雷撃が迫っているの。


「キュイッ!」


「嘘ぉっ!?」


 ラピッドラビットはそれを大きく身を捻ることで躱したの。


 それでも、ちょっと掠ったみたいでスタン状態になりながら地面に落ちるの。


 そのチャンスを逃さず”風刃”を発動。


 ラピッドラビットの首を切り裂いて絶命させる。


 光の粒子になったラピッドラビット。その場にはドロップアイテムが出現するの。


「やったお肉ドロップしたの!」


「ぬぎゃああああああああああああっ!!」


「ふぇ!?」


 ラピッドラビットのお肉がドロップしたのを喜んでいると、結構近くから叫び声が聞こえてきたの。


 私は全力の気配感知と魔力感知を発動。・・・・・・・・・・・・誰もいないの。


「今の叫び声、何なの?」


 疑問に思いつつも、特に何も感知できなかったから私はそのまま帰ることにしたの。




~~~~~~~~~~Other side


 我は時空神メティウス。時間と空間を司る崇高なる神成。


 しかし、現状の我は器を失っており魂だけの存在だ。あの忌まわしき魔王のせいだ。


 だが、彼奴は我を仕留め損なった。


 我は新たなる器を探し、力を蓄える。次に会った時が彼奴の最後よ。ヌハハハハハッ!


「ぬ?」


 魔力を感知したが、今の我では感知するのが精一杯で知覚することが出来ん。


 刹那。


 我に、雷が直撃する。


「ぬぎゃああああああああああああっ!!」


 そこにはキョロキョロと辺りを見回すココだけが立っていた。


「今の叫び声、何なの?」




 その日、一柱の神が消え、一人の魔王が誕生した。

憐れ時空神。力を蓄える前に逝っちゃいましたね。

賛否両論あると思いますが、作者なりにコメディに走ろうと努力した結果です<m(_ _)m>


ありがとうございました。これからもよろしくお願いします<(_ _)>

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