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白狐のミソロジー  作者: ヴァイス
末裔の白狐
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この世界における魔法

 私がステータスカードを貰ってから早一ヶ月。


 今まで気にせず適当に充実な日々を過ごしてたけど、とりあえず、お母さんにこの世界の一年がどれくらいなのかを聞いた。

 え? 聞くのが遅い? 知りませんなぁ。


 この世界での一年は三百六十日。一週間が六日、それが五週で一ヶ月。十二ヶ月で一年ってことみたい。いいわねそれ。計算しやすいのは好きよ。


 それで、季節のことなんだけど。ビックリしたことに私の前いた日本と同じで四季があって、しかも大陸全土が同じ時期に同じ季節なのよ。この世界は球体じゃないってこと?

 年ごとに若干の違いはあるけど、一月から三月までが春、四月から六月までが夏、七月から九月までが秋、十月から十二月が冬。こんな感じのサイクルね。

 ちなみに、私の誕生日は十二月二十五日。日本では恋人の日ね。リア充なんて爆ぜてしまえの日である。彼氏なんていなくたって困らないもん!

 当たり前だけどこの村にそんなイベントはない。というかそもそもこの世界にクリスマスなんて概念があるかどうかも分からない。ないと思うけどね。


 ていうか凄いビックリな事実として、私、前世もこの日が誕生日だったのよね。偶然?

 だから、転生した時は十五で、もし生きていれば今日で十六。精神年齢だけ十六か。


 起きて着替えて朝ごはんを食べに行く。


「おはよう。お父さん、お母さん」

「おはようリリ」

「ディアマイドウタァァァァァァァァァァァァァッ!!」


 お母さんは料理していて、お父さんは私を見た途端椅子から飛び上がって両手を合わせながら私に向かって突っ込んでくる。さながらル〇ンダイブね。服は着てるけど。

 ていうか高い身体能力を無駄なことに使うのやめてよ。あと、挨拶返してくれる?


 考えても考えても矯正が無理そうだからいつも通りにダイブしてきたお父さんをいなして後ろからネックロック。そのままほっぺすりすりで感電させて行動不能にする。


 いつも思うんだけど、なんでお父さんって汗臭い割にほっぺがモチモチなのよ。ホント、クセになっちゃって、撃退方法がいつもほっぺすりすりなのよね。毎回する私も大概だと思うけど。

 幸せそうなニヤケ顔で倒れてるお父さんは放置の方針です。


 しれっと食卓に着いて朝ごはんを食べ始める。そして食べ終わる。


 その後は、お母さんの負担をちょっとでも減らすべく、自分で食器やコップを洗い水切りに入れておく。食器やコップが乾いた後の片付けも自分でしようと思ってるんだけど、いつの間にかお母さんが片付けちゃってるのよね。

 だから、もうその部分の負担軽減作業は諦めたわ。


「じゃ、行ってくるね」

「行ってらっしゃい。気を付けるのよ?」

「分かってるって」


 そう言って家を飛び出す。何をするかっていうと走り込みと筋トレ、それから魔法とスキルの練習ね。外に行けば大抵ココはいるから、合流して一緒に鍛練。

 ステータスが明確になってから私は鍛練をするようになった。している鍛練は木刀での素振りや刀術の型の鍛練。それから魔法と錬成術や錬金術等のスキルのトレーニングもしてる。勿論、ココも一緒にね。


「使い辛いの」


 ココは今杖術のために木の棒を振ってます。振り回してます。そりゃもう適当に。手からすっぽ抜けて私の方に飛んでくることもあります。というか、すっぽ抜けたら大概私の方に飛んできてます。狙ってんじゃないでしょうね? いや、そんなことないのは分かってるんだけどね。


「なんで杖術スキルがあるのに上達しないの?」

「棒なんて使い辛いの」


 杖術スキル持ちが何を言うか。


「魔法だけじゃダメなの?」

「そりゃあね」


 魔術師は勿論、後衛の職業になる。前衛が敵を引き付けている間に詠唱をして、それが完了したら前衛が後退したタイミングに合わせて魔法を放つ。魔術師は普通そういう立ち位置なんだけど。集団戦になった場合、前衛次第では敵が溢れて後衛に突撃してくることもある。そういう時に詠唱の時間稼ぎや撃退をするために魔術師の大半は杖術スキルとか色々と自己防衛手段を手に入れておかないとマズい。

 ただ、ココはそれがお気に召さないみたい。多分、ココが描いてる理想像って、相手を翻弄しつつ単騎でしかも魔法で敵を倒すっていう感じのスタイルだと思うのよね。

 分かる。分かるのよその気持ちは。どっちかっていうと私も暴れたい側だから、前世で暴れてないからね。それに関しては全く関係ないと思うけど。


「ココもそれは理解してるでしょ?」

「分かってはいるけど、人の後ろに立って待つっていうのが気に入らないの。軟弱みたいに見られるの」


 狐人を軟弱とか言う人いる? いたら多分、問答無用で凹られると思うけど。


「しょうがないじゃない。それに、ココだってまだ上のレベルになったら詠唱が必要でしょ?」

「それを無くすためにもっと魔法の練習がしたいの」

「ていわれてもね・・・・・・」

「魔法が即時発動できたら一人でも戦えるの」


 さすがにノータイム発動は難しい。

 この世界における魔法というのは、詠唱する場合としない場合でかなり違ってくる。詠唱するのなら、イメージを定着させるところまでを自動でできる。最近知ったんだけど、とんでもない魔力をつぎ込んでない限りは魔法の自動発動なんてしないみたい。試しに、魔力をかなり抑えてやってみたらそれまでのように自動発動はしなかったから気付けたことだけどね。

 私は魔力調整が上手くいかずに通常ありえないレベルで魔力を込めてしまったために水弾は自動で発動した。けど、お母さんから聞いた話だと、基本的には速度まで設定しないと普通は発動しない。しかも、生まれた時にはそれが自然とできるっぽいことも教えてもらった。ココもそうだったみたいだし。要は、魔法のない世界から意識がこっちに来たために上手くいかなかったってことね。なまじ知識がある分、それが裏目に出ちゃったわけだ。

 けど、そもそも存在が規格外なために何が起こっても不思議ではないっていう捉え方をされたから自動で水弾が発動したことはお母さんもお父さんもココも全員納得してた。

 ダラダラと言ってきたけど、つまるところ言いたいのはただ一つ。


 魔法を発動するには速度設定が必須。よって、私みたいにあり得ないレベルの魔力量がないとノータイム発動は不可能ってことよ。


 魔力操作を使った無詠唱で詠唱の時間を短縮できる。けど、イメージで補正したり、大きさを決めたり、速度設定をしたりするとどうしてもラグが発生する。魔術師が単騎で戦っていた場合、下手をすればこのラグが命取りになりかねない。だから、そのラグを杖術スキルでカバーすることになる。ソロで活動したいなら余計に。


「即時発動とか無理だって」

「アーティファクトで何とかならない?」

「いや・・・・・・」


 聞いたことないってタイムラグを打ち消すアーティファクトなんて。

 魔法の威力を単純に上げたり、魔法的ステータスの補正をしたりするアーティファクトなら沢山あるけどね。


「作ってほしいの」

「無茶ぶりが過ぎるわよ?」


 言ってしまえばアーティファクト作成は魔法付与段階でつまずいてる。武器の錬成まではできてるんだけど、その後にする錬金の魔法付与で自壊する。惜しいとこまでいったものはあったけど、結局最後はダメになったし。


「目の前で見たでしょ? あの大惨事一歩手前の出来事やアーティファクトにしようとした途端に壊れちゃったの」

「見たの・・・・・・」


 ココも私も半月前のことを思い出す。

ありがとうございました。

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これからもよろしくお願いします<(_ _)>

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