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小話 皇太子殿下の小姓は『オトコの娘』?(前編)

UTA様、イラストお礼企画。リクエストのお題は「光の聖獣・リーフの女体化」。

だったのですが、『オトコの』で許して貰ってます。

 小話 皇太子殿下の小姓は『オトコの』?(前編)




 我の主は優しい人だ。

 でも最近、本当に鬱陶しい奴らに付きまとわれている。

 それはズバリ新フィンダリア皇太子妃願望者だ。その誰もが名だたるフィンダリア貴族の名花と称えられる娘達である。

 でも何でそんな女達が次々と現れたのか。

 それと言うのも主が相思相愛の婚約者を失ったからだった。


 主が「新しい花嫁になる姫はもう要らない」といった所為もある。


 でも一番の理由は、やっぱりアイツ。

主の大事な花嫁を奪ったのは……主の可愛がっている実弟セネリオの言い方に倣うなら「あのクズ」の所為だ。 


 だから主の新しい姫君あいてはもう他国よそのくにからやってこない。

そこで台頭してきたのが“国内から新皇太子妃を誕生させよう”という気風だった。


 今日もまた主が夜会に顔を出せば、貴族という称号持ちの女共が、これぞとばかりに着飾って我の大事な主に群がってくる。


「まあ皇太子殿下、お久しぶりでございます」


 今宵一番のうっとうしい貴族娘その1は、主を見つけるなり甘い猫撫で声で駆け寄ってきたソバカスいっぱいの奴だ。

 ちなみに今の我は、主の邪魔にならないように『銀の腕輪』になって主の傍にいる。

 だから思い切り叫んでやるのさ。


 寄るなブス!!


 そう叫んで直ぐに他の女もやって来た。


「ご機嫌は如何ですか、リオン様」


 今度の貴族娘その2は、はち切れんばかりの寸胴体型に真っ赤なドレスを来た奴だった。

 機嫌?

 お前らの所為で良い訳無いだろう。

 あっち行けトマト!


 などと我がプンスカしている内に、あれよあれよ集まって来る会場中の若い貴族娘達。

この勢い、最早狩りに出ている捕獲獣。

 こいつら雌貴族決定だ。


「私、今日まで長らくリオン様の拝芝はいしの栄を得られずに、ずっと寂しく思っておりましたのよ」

「ええ本当に、またこうして凛々しいお姿を拝見できて嬉しく思いましてよ」


 別に主はお前らの顔なんか見たくはないさ。

 きっと主はそう思っている。


「だから今夜の夜会、とても楽しみにしていたのですよ、皇太子殿下」


 主は始終笑顔を振りまいている。

 とても楽しそうにして……

 でも主は……

 主は、まだ夜会になんて出たくなかった。


 でも皇帝主催の夜会だから。

 新皇子ジュリアス・アウグスタスの誕生の祝いの席だから、我慢して此処に居るんだ。

 そんな主の心を知らないで、この雌貴族共はピーチク、パーチク五月蠅く話しかけてくる。


「ですがご公務には復帰成されたばかりですし、お疲れではございませんか?」


 お疲れ?

 お前らの相手で益々疲れるだろう。

 分かったら早く失せろよ、うっとうしいぞおんな共。

 でも主は……

 そんな雌共に我の大好きなその笑顔を与えた。


「そうだね……でも“疲れた”と言ってられないかな。 暫く国を離れていたり、帰ってからも色々とあって国事に関われなかった分、精を出して勤めを果たさないといけなからね。 しかしこうして貴女方に労って貰えると嬉しいよ、ありがとう」


 優しい声で紡がれた台詞と最高のスマイル。

 大概の雌共は、主のその笑顔を向けられただけで逆上のぼせる。

すると主はにっこりと笑ってこう云うのさ。


「ではそろそろ失礼するよ」


 主は逃げる……いや頃合いを計るのが上手い。

 夜会ではこうやって難なくひらりと雌貴族を躱すのさ。


 またある時は。

 主にわざわざ面会を求めてくる雌もいる。


 忙しい時は当然主は断る。

 でもどうしても断れない“止ん事無い令嬢”という雌貴族もいて厄介なところだ。

だからそういう時は、主は仕方なくその相手とお茶をする。

勿論給仕は我の仕事。小姓業務なんてお手のものさ。

ちゃちゃっとお茶の準備をして、主が持てなしている客室に入室する。

我が入った部屋の中では、主が穏便に笑う姿と、ホホホとご機嫌のご令嬢。


―――いい気なもんだ、主の仕事の邪魔をして。


 我はムカムカを顔に出さないように近づくと、その時我に気づいたご令嬢がちらりと我を見た。


「あら皇太子殿下、そちらの小姓姿の女の子(・・・)はどなた?」


 我の素性を訊ねた目が、我を敵だと認識している。

 フフン、我の方が可愛いだろ。

 すると向こうもそれを自覚したらしい。

 我を見る雌貴族の目が険しさを増した。

 このままいけば険悪な雰囲気になる。


 だが、そうはさせないのが我の主だ。


「ああ、この子はこう見えても歴とした男の子ですよ。 名前を“リーフ”と言いましてね、私の身の回りの世話をしてくれています」


 そう言って小姓の我を紹介する主。

 主の麗しの美貌、柔らかな眼差し追加でそう言われれば、大概の令嬢達は矛を収めてしまうから不思議だ。

 

「そうですか、済みません。私……てっきり女の子かと」


 口元に手を当て、『如何にも私驚きましたわ』ポーズを取る令嬢。

これも良くある事だ。

だから我は何時も通りの台詞を口にした。


≪お気遣い無く、よく言われますから≫


 社交辞令には、社交辞令。

 まあ、主の為に必要最低限のマナーは守るさ。


「この子の入れる茶は絶品ですよ」


 勿論さ。

 主の為に選んだ季節の茶葉。

 良いのが無い時はアリサノスに頼んで新茶を手に入れてるし。


「まあ、それは頂くのが楽しみですわね」


 そうか。

 取り敢えずお前に出す茶には、雑巾の絞り汁特製ブレンドだからな。

 この雑巾の絞り汁は、お前に気づかれないように、事前にティーカップに一滴たらりと垂らしておくのがポイントさ。

 そうそう安心しろ、一緒に出すお菓子には何もしていないからさ。

 主もちょこっと摘むしね。

 では召し上がれ。


「如何ですかな?」

 茶を出し菓子を並び終えた茶席。

 一口茶を味わった主がニッコリ令嬢に感想を聞く。

 すると勿論、この令嬢達もこう云うのさ。


「ええ、本当に美味しいお茶ですこと」


 結構なお点前で。

 そりゃどうも。



☆。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜☆。.:



「リーフ、また何かしたのかい?」


 茶会の後、主が我に溜め息をついて訊ねてきた。無論我は否定しない。


≪これでもう主と茶を飲もうと思わないですよ≫


 何せ今日の令嬢は、茶席の最中に顔を青くして早々に退席したからだ。

あまり胃腸が丈夫でなかったらしい。

部屋を出るなり“貴婦人の為の部屋”に籠もり、暫く出てこなかったという。

 派手な音も聞こえたそうだ。

 だが我の知ったことではない。


「あまり意地悪な事をしてはいけないよ、彼女たちが可哀想だ」


 皇太子と茶を飲んで腹を下しました。

 確かに醜聞になるかな。


「だから分かったね」


 でもそう我を咎める主の目は、苦笑の入ったものだった。

それは我の思いが伝わった事からだと思う。


≪はい、主≫


 だから我は嬉しかった。主の役に立てたと思ったからだ。


 でもどうすれば彼女達はみんな来なくなるのだろうか。

―――あんなブス共に囲まれなければならない主が可哀想だった。






意味合いの違い。

『オトコの』:オトコノムスメともいう。これは、女装の有無関係なく見た目が女の子にしか見えない綺麗な男の子のことをいう。同性愛も女装趣味もない。

『女装』:女性願望の有無に関係なく男が女の格好をする事。ここに美醜の有無はなし。だから髭ありマッチョの女装あり。

『オカマ』:“男色傾向ある男”“女装趣味”“女みたいな男”のことなどの混合語。

『オネエマン』:女っぽい仕草や振る舞いをする男性。必ずしも男色家、また女装趣味はない。

『ニューハーフ』:身も心も女になりたくてそのように振る舞う男性。見た目は女。性転換をした人。

だからリーフは『オトコの娘』、ピカゾーは『オトコの』+『オネエマン』の中間かな。


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