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手紙

作者: 夜霧
掲載日:2026/07/05

あなたなら、この手紙に何を書き足しますか?


ポストに一通の手紙が入っていた

差出人の欄には自分の名前が書いてある

見覚えのない、少しだけ大人びた字だ


中には短い文が並んでいた


「明日、駅の階段で左側を歩いて」

「取引先との商談を1度持ち帰って」


どれも具体的だけれど、何のことか分からない

悪戯かと思いながらも、書いてあるとおりにしてみることにした


左を歩いていた事で落ちてきたスーツケースに当たらずに済んだ

即決しても良さそうな良案件だったが、1度上司に相談することにした

その会社は翌週不渡りを出した


どれも、あとから思えば「そうでなかったかもしれない」出来事だった


数日おきに同じ差出人から手紙が届くようになった

内容は相変わらず短くて、少しだけ先の自分の行動を書き換えるものばかりだ


「今日は帰り道で空を見て」

「その本は、返却日に返すこと」

「泣かれて辛くても、許さなくていい」


そのうち自分の生活は少しずつ、でも確かに変わっていった



ある日、手紙の封筒がいつもより厚かった

中には、一枚だけ余計な紙が入っていた


「ここまで読んだ頃のあなたへ」

そこには一行だけ書かれていた

「ここから先はあなたが好きなように書き足してください」


ふと気づくとテーブルの上に置いたはずの最新の手紙がどこにも見当たらない

封筒の中には白い便箋と、ペンだけが入っていた


そして、宛名の欄にそっと自分の名前を書いた

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 「もし自分で(未来や過去の)自分に手紙を送ることができるとしたらなんて書くだろう」ということを考えたりすると、なんだか不思議な気持ちになりますね。あまり詳細すぎる内容は書かないほうがい…
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