第3章 現代の最新理論――量子論と情報理論の示唆
3-1. 量子力学における情報優位の考え方
量子力学の研究が進むにつれ、“情報”こそが物理学の根底にあるのではないか、という見方が強まっている。量子もつれをはじめ、観測行為が物理的実在を確定させる「波動関数の収縮問題」など、物質やエネルギーというより「情報」のほうが本質的なのではないか、という議論がある。
もし物理現象の背後に情報処理があるとすれば、私たちの宇宙を「デジタル情報を処理するシステム」と見なすアプローチが自然になる。
3-2. ホログラフィック原理
理論物理学におけるホログラフィック原理によれば、ブラックホールの情報パラドックスを解消するため、空間の体積内に存在する情報は実は“境界面”に投影されている可能性が指摘される。
この“投影”というメタファーは、「3次元の世界が2次元の情報に実装されている」とも説明され、実質的に私たちが見ている立体的な世界は、高次元や別の境界面に保存された情報を再生しているにすぎない――まるでホログラムのようだという意味になる これも、宇宙が巨大な情報処理装置であるシミュレーションの一種かもしれないという発想と親和性が高い。
3-3. シミュレーションの実装可能性
現代のコンピュータゲームやバーチャルリアリティを見れば、既に私たちは“人工世界”を相当リアルに再現する技術を手にしている。
もちろん、現在の技術で“宇宙全体”のシミュレーションをリアルタイムに計算するのは不可能だが、もし何千年、何万年後に計算機パワーが驚異的に上がれば、仮に“人間の脳の活動や物理現象”をすべてモデリングできる余地があるかもしれない――こう考えるのがシミュレーション仮説の根本である。




